バカ神
掲載日:2025/10/16
かつて、全知全能の神がいた。
その神は宇宙を漂い、ありとあらゆるものを観察し、操っていた。
ある日、ついに現状に飽きてしまった。
最初からすべてを知り、何でもできる──それはあまりにも退屈だった。
ゼロから少しずつ成長していく過程を体験してみたいと願った。
最初から完全であるより、ゼロパーセントから九十九パーセントに至る過程の方が、驚きと不確かさに満ちている。
そこで神はまず全知の力を断ち、すべての記憶と知識を失った。
続いて全能の力も捨て、自らの権能を手放した。
そして、神は死んだ。
真空では呼吸ができないことを忘れていたのだ。
呼吸をしなくても生きられる力も、もはや残っていなかった。




