1話
この世に食べてはいけないもの。
それは…
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「ふぅ。お腹空いちゃったよ」
「マジで言ってんの?30分前に5つ目のお弁当食べてなかった?」
「もう30分前かぁ…お腹空いたなぁ」
「信じられない。同じ人間の女の子だとは思えない。しかも美人。よくわからない」
「それは私もそう思う」
「どっちに?」
「どっちも」
「はぁ…」
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『はぁ…』
「あの…ここはどこですか」
『ここは時空の間。あなたはこれから死にます』
「え?どういう…」
『食べ過ぎです』
「あ…」
『何もおかしくありません。1日に十数キロ食べて無事なわけがありません』
「いや…だってお腹が…」
『わかっています。本来であれば自制心などが働いて、食べなくなるのが当然なんです。ですが何か間違えがあったのか
その自制心が無いみたいです』
「どうすればいいんですか…」
『空腹に耐え、現実を生き残るか。別の世界に行って、食材に困らないところへ行くかです。残念ながら後付けで自制心
は付けられないのです。もし付けられたとしても自我が壊れそうなものですが…』
「実質一択ですよね…」
『そうですね、生き残ると言ってもほんの数分だけですからね』
「そうですか…死ぬときは苦しいんですか」
『胃腸が破裂して上からも下からも血を流す結果になるでしょう』
「それなら…別の世界へ」
『わかりました。あなたの食欲にも耐える体にしましょう』
「ありがとうございます」
『それでは』
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「うん…お腹すいた」