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崖の下からの麦下到十郎  作者: てるる
終幕 求
20/28

第20話 憧れの光 ①

 僕はまず、肩に提げた電話レンジを熊本県庁の壁に思い切り振り下ろしてブチ壊した。


「時を越えてやり直す?いいや、そんな女々しい真似はしないね。」

「そうか。それはこちらとしても助かるな───では…」


 小泉純一郎の瞳が紅く煌めく。

 そうか、穂乃果ちゃんやあっちゃんを始末しようとした謎の力だな。

 ───だが、僕相手にはどうかな。


 僕は、我れらが未来ガジェット研究所の開発した最終兵器にして、僕の最後の切り札を懐から取り出す。

 未来ガジェット第78号機(通称 - M78)!


「小泉純一郎が命じる……死n」

「おおっと、それはどうかな。あなたが言い終わった時、きっと僕は『40mの巨人』に成り代わってるだろう。」

「『40mの巨人』ッ!?───まさか貴様ッ」

「『ベーターカプセル』。このスイッチを押せば、プランクブレーンへの境界が開き、僕は遥か遠い銀河系から来た正義の使者『ウルトラマン』との融合を果たす。」


 言いながら僕は、既にベーターカプセルの起動点火ボタンを押していた。

 ───変身。

 僕の身体は100万ワットの輝きに包まれた。



◇◇◇(小泉純一郎視点)



「ベーターカプセル……まさかあれの『複製』に成功していたとはな。」


 私は熊本県庁を突き破って現れたその銀色の巨人を見上げていた。

 正義の使者……美しい。

 確かに、巨人に変身されてはギアスどころではないね。


「だが、わきまえていたか?それがもともと、我らの組織が研究開発したモノだとね。捨てたんだよ。私が谷和原が町内会のゴミ捨て場にね。」


 そして、私は今日、その強化改良版のベーターカプセルを伴って来ている。

 自分だけが巨人に変身していたなら、勝ちを確信するだろう……

 だが、その時既に、私の身体も100万ワットの輝きに包まれていた。



3:00:00

(ウルトラマンは地球上に3分しか存在できない)



 ドグオオオ─────ォンッ!!!


「ッ!?」



 鬼のいななきが如く、小泉純一郎はその爆音に戦慄を禁じ得なかった。

 自分もオカリンと同じく40mの巨人へ変身し、対等な土俵に立ってやった……その慢心を揺るがすに十分な爆発音が轟いていた。

 雨降りしきる熊本の地に、今放たれた一閃の煌めきに焼き払われた爆炎がゆらゆらと、怪しい光を放っていたのだった。



「ハ、ハウル───ッ!」


 私のすぐ背後で鳴り響いた爆音………

 そして、私の眼前で両腕を十字にクロスした体制で出で立つウルトラマン(岡田斗司夫)ッ!

 奴め何のつもりだッ!見せしめか!見せしめに『スペシウム光線』で『ハウルの動く城』を焼き払ったかッ!


「スペ、シウム……?スペシウム光線だとォォォオッ!?」



 2:49:55



 挑発なのか、それが正義の使者の行いか、小泉純一郎の眼の前で『ハウルの動く城』を焼き払ってみせたオカリンッ!

 そして……彼は十字に組んだ腕を小泉純一郎ウルトラマンに向けていた!



「……いいのかい?私なぞに貴重なスペシウムエネルギーを使ってしまって。」

「なに?なんだって!?」

「敵が、私だけとでも思ったかな?」


 ウルトラマン同士、一対一ならば我々は互角だろうね。

 いや……年の差分、彼の方がやや上手だろうか。

 しかしね──



 2:30:49



「熊本県庁職員がこぞって使うコーヒーサーバーがある。『混入』しておいたんだ。我ら組織が秘密裏に開発した『ウルトラマンの脊椎液』をね。これの意味が分からぬ君ではあるまい。」

「ウ、『ウルトラマンの脊椎液』ッッッ!」


 ウルトラマンは正義の使者だが、その脊椎液を培養した『にせウルトラマン』は果たしてどうだろうね。

 熊本県庁の職員は私の合図一つでウルトラマンという名の巨人と化す。

 それは、知性を奪われただ破壊と殺戮を繰り返す……さながら『巨神兵』ではないのかな。



 2:18:08



「オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オォォオ゛ッ!!!」



 唸り声を上げた!

 同じく正義の使者でありながら、なんと卑劣ッ!

 その咆哮を受け、熊本県庁の天井は次々に破られて行き、虚ろな目を漂わせる『偽ウルトラマン』が一斉に地鳴りを起こすッ!

 その様まるで、人類文明を根絶やすが如き世紀末の『地ならし』ッ!

 ───『進撃の巨人』だったッ!!!



 2:09:99



「そのスペシウム光線で私を撃つか?いいでしょうおやんなさい……スペシウムエネルギーを消耗した身体で、この大勢の巨人達を相手取れると言うならね。私と、知性亡き偽ウルトラマン達……果たして、真に危険なのはどちらだろうね。」


 私が言っている合間にも、偽ウルトラマン達は各々好き勝手に震災からようやく復興した熊本の街を蹂躙じゅうりんしていた。


「シャアッ!」

「わからんヤツだ。いま私を殺して後悔するのは君だろう。」

「………ッ!」



 ───その時、オカリンは一人の偽ウルトラマンと目があった。

 姿かたちは自分と同じであったが、オカリンにだけは分かるのだった。

 

「………安倍さん。」


 それは、熊本到着以来μ'sを導いてきた審査員達の姿であった。

 日本国総理大臣・安倍晋三、熊本県長・米津、秘書の勅使河原。

 皆、虚ろな目で自らが興した熊本の街を踏み潰していた。


 オカリンは想った。

 誇り高き熊本県庁の人間が、自ら熊本県を破壊する様をこれ以上続けさせてなるものか。

 彼らにだけは、この美しい熊本県を破壊して欲しくない。

 ───彼らを止めることこそが、彼らに選ばれた『熊本県公認アイドル』としての使命ではないのか……と。



 1:52:11



「ここまで僕らを導いてくれたのはあなた方です。ゆっくりと……お休みください。」



───「おおおォ!スペシウム光線ッ!!」

つづく・・・

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