90/91
言ってしまった
「冷蔵庫、ですか。別の世界だと普通にあったものですけど、この国にはあまり馴染みが無いですよね。どういう物かは知ってますけど、そのまま錬金術で作れたとしても機能しないですよ」
「錬金術で作るんでしょ?なら、この国基準、いえ、オンリーワンなものを作りましょうよ!ええ、それがいいわ!」
「なんでそんなに必死なの」
「冷たい飲み物が飲めるのよ?この馬鹿みたいに暑い国で」
「で、つくれるものなのかい?素材は?」
「待っ、待ってください!レシピが無いですよ……」
「だってさ」
「なんだ、無理なのね」
「なんですって?」
「え?だから無理なんでしょ?ごめんなさい、無理を言って」
「む、無理なんかじゃないです!やって見せますよ!度肝を抜かせてみせますよ!」
「そう?楽しみにしてるわ」
「……言ってしまった」




