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ギリギリ
「逃げよう。今は逃げて局長に伝える事を優先する。なら……」
よし、と気を入れ直して動こうとしても、動けない。
「えっ」
足が、手が震えて動けない。
鳴り続ける地響き。
ああ、そうか。無理なのか。
モミジが、えみが逃げながら攻撃を加えて足止めが出来る中、私は役ただずどころか危険な目に遭わせて、何も出来ない。
何のアクションも無い。モミジは動きを予測して大袈裟に回避を取る。
それでもギリギリ当たらないくらい。
伊達に王都にいた訳じゃない。
戦いに重きを置いていた王都出身だから、こんな化け物にも今も喰われずに済んでいるだけ。
逃げ出したいけど、サリバの陽動ありなら引かせることができると踏んだけど、そのサリバが居ない。
「……えみ、サリバが」
こんな時に動けなくなってる!
「実戦経験の無さが出た……!」
「……攻撃がまるで効かないよ!どうしたらいい!?」
会話にならない会話の応酬。
えみもモミジもパニックになっていないだけでギリギリだ。




