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心配
「もう!心配したんだからね!」
カンカンに怒ったメディがそれはもう見るだけで泣けてくるような形相で叱ってくる。
まさか、ウッキウキで出かけたサリバが死にかけて帰ってくるなんて思いもしなかったためだろう。
注意不足だったメディにも負い目はあるのか、自分を責めるような言い方でもあった。
サリバが勉学の為にこの街を離れて3年。その間にこの街には大きな変化が起きた。
魔物の数が急増したのだ。護衛も要らない子供の遊び場に過ぎなかった森も、脅威のある森に変わってしまった。
「ご、ごめんなさい」
「今日はもう帰りなさい」
「えっ、でも……」
「これだけ人様に迷惑かけて……」
「メディ、待った。サリバ、見せてくれないか?」
「え」
「錬金術だよ!実はここにいる誰もが他でもないサリバの錬金術を見たいと思っているんだよ」
「でも」
「メディの事かい?彼女はひたすら心配していたんだ。仕事もしないで部屋をウロウロと歩き回って窓から君が帰ってくるのを何度も何度も確認していたんだよ」
「きょっ、局長!余計なことは言わなくてもいいでしょう!ほら、やるんでしょう!?なに手伝えばいいの!」