74/91
知らない錬金術士
転んでしまった看護師をしったする声と、所々から歓喜の声が重なった。
萎縮してしまった看護師と、男は時間ごと待ったように固まって声のした方を見た。
死に体だった兵士たちが飛ぶように起き上がっていく。
何故。そう当然のように思い、注意深く当たりを見れば、水球がまるで飛び跳ねる猫の様にベットの怪我人にぶつかっていく。そうすると、びしょ濡れになった寝込んでいた人がたちまち起き上がっていく。
「なんなんだこれは……」
男は看護師が落とした瓶を拾い、ラベルを見る。
『偶然の奇跡 作、サリバ・ティチューリ』
(知らない錬金術士だ)




