数えの森
サリバが暮らしている国、サーバス・ハートは砂に覆われた国。でも水不足って言うことは無いんだ。
何世紀か前に偉大な錬金術士が水の無いこの国に和泉を創ったの。
でもその泉は魔力が強くって強い魔物が多くいて近づいちゃ駄目なの。だから、サリバは今、サーバス・ハートに幾つかある森のうちの一つ。「数えの森」に来ていた。
「懐かしいなぁ、変わってないや」
森について遊び回っていた時を思い出す。
「テンション上がって飛び出しちゃったけど、良かったのかな。怒られそう……ま、仕方ないよね」
中和剤に必要な素材を3つ揃えないといけない。出来ると言った手前、何としてもやり遂げないと!
森を隅々まで歩き回る。素材は至る所にあった。
「他の錬金術士は居ないから、生い茂るばかりなんだ。つまり独り占めだ〜!」
ワクワクしてご機嫌で素材を集めていると、籠がいっぱいになってしまった。
「ん?わぁ、もう入らないや。でもこれだけあれば十分だよね!」
少し夢中になり過ぎた。もう夕方近くになっていた。
「わわわっ!急いで戻らないと!」
急ぐサリバの前にアオイロが飛び出してきた。
アオイロは青色のぷにぷにした奴の事。子供でも逃げ切る事は出来る。大人なら武器を持った武術の経験者なら倒せる位の魔物だ。
でも、この森には魔物なんて居なかった筈なのに。