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錬金術師サリバの終わりゆく話  作者: 新規四季


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45/91

タイミング

手慣れたもので住民達はこの地下へ殆ど避難完了しており、買い出しにでてそのままここに居る人もいる。


なるほど、彼ら、彼女らはこの砂嵐でさえ日常になっているようだ。


端の方で走り回り、親にゲンコツを食らっている子供たちと、その1幕で笑う大人たち。


「どうした、珍しそうだが。ああ、君は観光でここに来ていたのか?」

「ん、そうだね。そんな感じ。でも、ここも危なそうだよ?」

「そんなことは無いぞ。砂嵐を抑えるのは大変だが、耐えるのはそこまで大変じゃない。別にこの国では珍しいことじゃないんだ」

「そう。でも、あそこ。ヒビ入ってるよ」

「なんだって!?」


10mはあるこの地下空間の天井付近に、あまりにも綺麗すぎるひび割れが入り、出来すぎなタイミングで、そのビビは広がってゆく。


「ああ、壊れる」

「くそっ!おい!サートス軍のブロウだ!上を見ろ!ヒビが入っている!直ぐに出るんだ!緊急事態だ、王宮へ急げ!」


判断が早く、統率力も見せたブロウの指示に従い皆一一斉に地下1番から飛び出していく。

我先へと人間の醜悪さを撒き散らしながら、先程までの談笑は怒号へ変わっていた。


「いいタイミングだよ、冬桜」

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