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錬金術師サリバの終わりゆく話  作者: 新規四季
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現状

「はい、ここがアナタのアトリエになるわ。て言っても今や錬金術を使える人は極わずかだし、ウチも砂漠の錬金術師なんて言ってるけど資格を取れてるのはアナタだけなのよね」



通された場所は私が憧れ、一度も入れさせて貰えなかった部屋でした。子供の頃に遊び場として、この支部内を駆け回っていて、よく怒られもしたけど、その中で私の進むべき指針が決まった時はこの部屋だったと思います。



メディさんの言葉を辛うじて聞いている状態です。

まるで、ご馳走を目の前に待てをされている気分です。

じわじわと扉ににじりより喋りながらアトリエと相まみえました。



「はい、ギリギリでしたね」



メディさんの方を向き、苦笑いを返します。

そして、アトリエを見て言葉を失いました。


埃っぽくて掃除から始めないといけない様な部屋。

カーテンも閉められていてまっくらだけど、胸が高鳴る。

恐る恐る入り、袖口で口を多いながら窓まで歩いて、何十年。もしかしたらそれ以上振りの陽の光をアトリエに与えます。


シャッとカーテンを開けて、窓を開ける。

ようやく自由を得たかのように留まり続けていた、昔のアトリエの空気が、窓から勢いよく逃げていく。


そして、アトリエに新しい風が入り、今を満たしていく。

風になびくは数々の本たち。所狭しと床に置かれている本達が、ペラペラとページをめくっていく。


カラカラと音がなり、音のなる方へ視線を向ければ、大きな円形にくり抜かれた机と、その上に置かれた器具たちのおびただしい数。


フラスコから始まって、化学の研究室も真っ青なくらいに色んな道具があって、目移りしてしまう。


(学園にあった機材よりもしかしたら多いかも!わぁ、見たことないのもある!何に使うんだろう!早く試してみたいなぁ!)


キラキラと部屋の隅々まで物色しては感嘆の声を上げ、時に奇声を発するサリバを可愛いやつめ、と見るメディ。

そのメディは思い出したように、サラッと言う。


「本当に、サリバがあと1歳若かったらうちは解体されてたわ」

「ほ、本当に間に合って良かった……」

「まあ、なので、かつて錬金術師達が築いただろう遺跡の産物もサリバに与えるわ」

「え、アレをですか?今まで触らせてくれなかったのに」

「……局長が無理やり許可を取ったらしいわ」

「だ、大丈夫なんですか!?」

「昔の功績で何とかやったみたい。でも、もう無茶は難しいって」

「そんなことは無いっ!」

「わ、わぁ!!ディーディアさん!」

「サリバよ、お前は私を局長と呼べ」

「は、はい!局長!」

「よろしい。サリバに何をさせるかまだ決まってなくてな、丁度いい使ってみるか?」

「はい!」

「あらあら、ウズウズしちゃって……」

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