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飛んで行け!7
「貴方は優れた錬金術士じゃないの?」
「誰かがそう言った?」
「それは……」
「……左遷だよ。やれる事が限定的、且つ宮廷では無意味だった。だから此処に来たんだ。そんな時に新しく此処に入る錬金術士が居ると聞いた。どんなやつかと思ったよ」
「私なんかでごめんね」
「………君は世間知らずだね。あの短時間で中和剤を作れる錬金術士は国内に居ない。まして、レシピを思いつくなんて事は無理なんだ。この国の錬金術士達は既存レシピの更に劣化版しか作れない」
「え」
「衝撃だろう。だから余計に才を持ちながら簡単な事で挫折した気になった君を許せなくなった。僕の八つ当たりだよ」
「知らなかった。こらがフラスコという学園では当たり前だったの」
「まあ、いいや。で?やるの?それとも、もう、錬金術士辞める?」
「やる。分かった。私、こんな所で立ち止まらない」




