飛んで行け!7
「貴方にも謝らないといけないね。ごめんなさい」
「……やめろ」
「私に付き合ったばかりに」
「やめろ!!」
「……っ!」
「ただ間に合わなかっただけ。ただ1回の成功が出来なかっただけ。それだけで随分と悲劇のヒロイン面するんだね」
「そんな言い方しなくてもいいじゃない!」
「まだ分かんないかな?何諦めようとしてんの?錬金術士として最も必要なものを持っておいてさ!」
「何言ってるの?私は何も出来なかったじゃない。1番近くで見てたくせに」
「ああ、見てたよ。君の閃を。何も思いつかなかった僕の横で、君はあの時何かを閃いた。それは僕には無いものだ。人は無い物ねだりをする物だね。今回は元々ゼロから何かを作り出す為の時間はあまりにも無かっただけ」
「本来、錬金術士は時間をかけて錬金術をする。その中に失敗も何度も含まれる。パパっと全て出来るだなんて思い上がるなよ」
「そんなこと思ってない!」
「思ってるだろ!じゃなきゃ辞めるだの無能だのと言えない。やれよ」
「何を」
「閃いたものを最後まで足掻いて作って見せろよ!」
「なんで貴方に言われなきゃ無いの!」
「僕には無理だから!だから、君に託したいんじゃないか!」




