23/91
飛んで行け!4
「絨毯は無理でも、既存の物に浮遊を継ぎ足せば……」
「ひとりで運び出すのは大変だろう、僕も手伝うよ」
「ありがとう!じゃあ、コレと、コレとコレを」
「いきなり人使荒くなったね、遠慮を知るといいよ」
「また今度ね」
「出来たかい?」
「ダメ!上手くいかない!どうして……」
無謀だったのかもしれない。まだ、手の届かない領域だったかもしれない。モミジはそれを察して、サリバはそれを無視した。
釜を睨みつけ、滴る汗に構うこともしないで、何度も繰り返した。
モミジは何も言えなかった。
モミジは何度目かの錬金術の失敗を横目で見て、そういえば静かになったなと思う。
アトリエの扉を開ける人物は、不思議そうな顔をしていた。メディは言った。
「こんなとんでもないことが起こったってのに、錬金術に夢中なんて、呆れるわ」
「え?」
サリバは何か聞き間違えたのかと聞き直す。
「え、なにか分かったんですか?」
「騒ぎの事は知ってたのね、局長が皆を静めて話を聞いたのよ。そしたらなんと、迷宮が増えたって話しよ?」
 




