表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/7

乏しい記憶

 それから数日の間、体が起こせるようになるまでの間だが、私はレステの記憶を探った。


 彼女はたくさんの子供たちと共に生活している。まだ掴まり立ち程度の赤ちゃんから、大きくても10歳程度に見える子供たちだ。連れてこられて以降、少なくともレステは外に出たこともないので、ここに住んでいるのだろう。


 食事の時間は全員集まっているのだろうか、とにかく賑やかだ。大きな部屋にはたくさんベッドが並んでいて、まだまだ小さな子供たちは数人で1つのベットに寝かせられている。生活は子供のほかに、数人の大人がいて、食事やトイレに手を貸してくれるようだった。


 言葉は聞こえているけど、人が話している言葉は意味が取れなかった。自分に向けられたシンプルな言葉は理解できる程度の、習い始めた外国語状態。日常生活も、ベット、食堂、トイレと、昼間置いておかれる部屋くらいしか認識していない。あとはいつも同じ人、10代後半くらいの女の子、が小さな子供たちの世話をしてくれているようだ。

 

 家具や道具は木製が多く、布地も生成りやアースカラーのような色味が多い。目に入る限り、木や革、ガラスや金属が少し。自分が使っているベッドのガサガサする感じは、もしかして干し草や藁が詰まっているのかもしれない。ビニルやプラスティックのようなものは皆無で、作られた素材がわかるようなものばかりだ。


 子供が集団で生活する場所。寄宿学校や病院にしては雑然としている。もしかして、宿泊込みの長期お預かりの保育園と学童保育みたいなものという可能性もあるが、普通に考えたら養護施設や孤児院的な何かなのだろう。


 幼児の見聞きした内容から考えたところで、ここがどこなのか何も分からなかった。医療らしい医療がなく、素朴な道具で生活する環境だ。野垂れ死んだり、浮浪児になっていないだけ幸運なだけなのかもしれない。


 動けるようになったら、情報収集。そのためには言葉を覚えること。でも、最優先事項は生き延びること、とでも考えたほうがいいかもしれない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ