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前世がコミュ障男な僕がVtuberになれますか?  作者: カムカム
4章 コミュ障、イベントに参加する!?
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38話 会場入り!

「うわぁ...!」


思わず声が出てしまう。

なぜなら目の前に建つ巨体な会場、画面越しでしか見られなかった憧れの地に今立っているからだ。


「歩ちゃん嬉しそうね」


「だ、だって...ずっと画面越しにしか、見れなぐで...!」


「ちょ、ちょっと!?なんで泣いてるの!?」


「すみません...あまりにも嬉しくて...」


「それだけMonster Liveが大好きなんだよね」


「うん...!」


「歩ちゃんもその一人」


「本当に僕がMonster Liveでいいのかな...」


「いいに決まってるじゃない!」


「ココ友もいっぱいいるし、私達も歩ちゃんは大切な仲間だと思ってるよ」


「歩ちゃんがいないと困る」


「みんなぁ...」


そこで三期生のマネージャー、大空葵さんが手を叩き僕たちの視線を集めた。

既にリアルでの自己紹介は済ませているが、やはり何度見ても美人である。


「一期生、二期生との顔合わせもあるので急ぎますよ」


「了解です!」


「了解しました」


「了解」


「りょ、了解です...!」


「歩ちゃん緊張してるね」


「だって推し達に会いに行くんだよ...?」


「大丈夫、私達もいる」


「そうよ、もう三期生の私達とは普通に話せるんだから大丈夫よ」


「さあ、行きましょう」


僕達は葵さんに着いて行き、会場に入っていく。

配られた入場許可証を首に下げ、受付に行くとスタッフ用の通路へ通された。

白い通路には様々な小道具が段ボールに入れられて置かれており、舞台の裏を見ているようでテンションが上がる。


「こちらが控室になります」


「ありがとうございます」


案内された扉には『Monster Live様』と書かれた紙が貼られていた。

葵さんは扉をノックし、そのまま開けて室内に入って行く。


「ほら、歩ちゃんも」


「う、うぅ...」


「後ろにいていいから」


暴れているようにドクドクと心臓が脈打ち、手が震える。

緊張と興奮と不安がまとめて襲ってくる、僕は言葉に甘えて恵ちゃんの後ろに隠れるようにして部屋に入った。


広い部屋には身だしなみを整える鏡やお菓子が置かれており、用意された長机には資料が配られていた。

そして僕達が部屋に入った事で、既に室内にいた人の視線が集まる。


「おはようございます、三期生マネージャーの大空葵です」


葵さんに合わせて室内にいた九人の女性が頭を下げる。

そこでスーツ姿の一人が僕達の前に歩いてきた。


「はじめまして、一期生、二期生のマネージャーを勤めている山野緑子(やまの みどりこ)です。

こうして顔合わせをするのは初めてですね、三期生の皆さん」


葵さんといいこの女性といいどうしてこうも美人さんが多いのだろうか。

すると、葵さんに促されるようにライバー同士の顔合わせが始まる。


「はじめまして、私が鬼野鳴子です」


「私が赤桶奈女々ですよ!」


「ガシャ=ド=クロです」


三人が言い終わるとみんなの視線が恵ちゃんの後ろにいる僕に集まる。

大人数に見られるのが苦手な僕は俯き、恵ちゃんの後ろに収まるように隠れてしまう。

挨拶しなきゃと思っているのに声が出ず、足も前に進まないのだ。

その時、成美ちゃんと優里ちゃんに優しく手を引かれる。


「大丈夫よ」


「うん、大丈夫」


僕は二人の手をギュッと握って九人を見て口を開く。


「あ、えと...きゅ...九尾、こ...狐狐...です...」


僕は言い終えたと同時に不安感がどっと押し寄せ、今度は成美ちゃんの後ろに隠れる。

低身長の僕が誰かの後ろに隠れるのは容易だった。


「想像通りの可愛い子ねー」


「そうですね、イメージ通りです」


「君が狐狐ちゃんだね!僕がルーだよ!」


「ちょっと、抜け駆けはなしだよ」


「よく来たね、三期生のみんな」


先輩達の配信、通話でしか聞けなかった声が生で聞こえる。

一人一人が名前を言っていく中、僕は感激して隠れながらも耳を澄ますのだった。


「狐狐、はじめまして」


この声...絶対に聞き間違えるはずがない。


「ル...ルドラ...さん...」


「ああ、よく来たな狐狐」


ルドラさんはモデルと似て凛々しい表情の女性だった。

大人びた服装が似合っていて、頼りたい先輩のようだ。


「は、はじめまして...です...」


「はは、緊張しなくてもいいのに」


「す...すみません...」


「大丈夫だ、みんな優しいからな、すぐ慣れるさ」


頭を優しく撫でられる。

追いかけていた推し達に会うことができ、しかも最推しに撫でてもらえるなんて...


「さあ、打ち合わせもあるし行くぞ」


「はい...!」


既にマネージャー、スタッフで話が進んでおり僕達はステージの確認や簡単なリハーサルを行うことになった。




通路を進み、会場に入る大きな扉が開かれた。

その先には超大人数が入っても良いような席の数、ステージには超大型モニターが設置されあそこに僕達が映るのだろう。


「それではタイムテーブル通りに進めますのでよろしくお願いします」


事前に配布されたプリントを見ると、イベント開催前のアナウンスを何人かで行うらしい。

このイベントは前半は無料配信だが、後半は会員限定の有料配信な為、写真や動画を撮ることが禁止されている。

そのことをライバーでアナウンスするというファンサービスがあるのだ。

僕も何度も配信で聞いてきたが、まさか...


「ぼ、僕が開催宣言アナウンス...!?」


「そうです、今Monster Liveファンの中で盛り上がっているのが狐狐さんなので」


「ほら、狐狐ちゃん」


奈女々ちゃんがトイッターを見せてくれる。

そこには♯Monster talk Liveのタグで皆んなに囲まれ鼻血を出す狐狐のイラストや緊張で目がぐるぐるになっているイラストが並んでいた。

ファンの投稿も僕を楽しみにしているような投稿が目立っている。


「狐狐ちゃん、期待されてる」


「こら、プレッシャー掛けないのよ」


「とにかく、みんな狐狐ちゃんのこと大好きなんだから楽しんでいこうよ!」


「強制ではありませんので、嫌でしたら...」


「や、やります...!」


僕は自分を変えるべく、そして応援してくれるみんなのためにそう決意しアナウンスを務めることになった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「とにかく、みんな狐狐ちゃんのこと大好き何だから楽しんでいこうよ!」 上記を誤字報告しました。意図したものでなければ修正をお願い致します。 「なんだから」は「なのだから」を実際に口頭で話す際…
[良い点] 何を書けばいいのかわからないけど、今はとても嬉しいです!!!。とてもかわいい!!!!
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