19話 Monster Live大運動会・前編
「さぁ!最終種目!赤チーム代表ニコ・ウラナ!白チーム代表九尾狐狐!互いのチーム代表者による対決だ!」
エコーが掛かったルーさんの声、それに合わせて盛り上がるコメント欄と他のMonster Liveの人達。
全員のモデルに赤、白の鉢巻が巻かれ運動場の背景にMonster Liveが全員集合している。
一体どうしてこうなってしまったのか、話は三期生三連休コラボ翌日に遡る。
『次の土曜日、日曜日は何かご予定はありますか?』
『いえ、何もないです』
夕方に来たマネージャーからの連絡に、僕はすぐに返信をした。
数分後既読が付き、マネージャーからの返信が来る。
『了解しました。
実はMonster Liveの皆さんからコラボをしたいとお話が来てまして、この際なので全員でゲーム大会を開催しようと思っているんです』
『全員でゲーム大会ですか...』
『はい、大丈夫ですか?』
『問題ありません』
『では伝えておきます』
こうして、Monster Live全員で行われるゲーム大会がトイッターで告知され、ネットは大盛り上がりとなった。
セブン先生の告知用のイラストには全員が運動場で集まってカメラに視線を向けているもので、チーム分けは決まっているのか頭には赤、白の鉢巻が描かれていた。
そのイラストに♯Monster Live大運動会というタグが付けられ、そのタグを使って応援イラストやメッセージがどんどん書かれていく。
僕もいろんな絵柄のみんなが見たいと思いそのタグを漁る日々を送っていた。
ちなみにチームは赤チームが“レミ、ニコ、パン、ルー、ドクロ、鳴子”。
白チームが“ソラ、ルドラ、リン、イオ、奈女々、狐狐”。
僕とルドラさんが同じチームなことに運営の思惑が見える。
実際は嬉しいのだが...
迎えた当日、配信はみんなの視点で行われるらしくファンの中には複数の配信を同時に見る人もいるだろう。
Monster Liveの通話部屋にどんどん集まり、僕も入室する。
「来たな狐狐ちゃん〜!」
「こんにちは、今日はお願いします」
「狐狐ちゃん今日は頑張ろうね」
「よろしくなのだ!」
「よろしくな、狐狐」
「よろしくー」
「皆さんよろしくお願いします!」
「狐狐、私にも敬語は使わなくていいぞ」
「ル、ルドラさんに敬語なしはまだちょっと...」
「そ、そうか...」
あからさまにルドラさんがしゅんとする...
僕は意を決して敬語をやめることにした。
「わ、分かりました...!
ル、ルドラさん...!よろしく...!」
「あぁ...!よろしくな!」
「狐狐ちゃん私は?」
「ソラさんもよろしく...!」
「イオも敬語なんていらないのだ!」
「イオさんもよろしくね...!」
「私もタメ口でいいよー」
「リンさんもよろしく...!」
「よかったね〜狐狐ちゃん!」
「な、奈女々ちゃん...」
「僕達も敬語なしでいいよ!」
そのあと赤チームのみんなとも敬語なしで挨拶をした。
敬語を無くしただけでものすごく距離が近付いたように感じつつも、大丈夫かなと不安も感じでいた。
でもMonster Liveの居心地の良さに甘えさせてもらうことにする。
「それじゃあみんな準備はいいかな?」
今回のコラボは声の通るルーさんが選手兼司会をやるようだ。
各自配信をスタートしていく、僕の配信待機場にも一万を超える人が待ってくれていた。
【コラボ】Monster Live全員集合!白チームで頑張るぞ!【Monster Live大運動会/九尾狐狐】配信中
@九尾狐狐 Monster Live三期生
遂に来たMonster Live大運動会!
頑張って活躍したい...!
皆さん応援よろしくお願いします!
♯狐狐ライブ
♯Monster Live大運動会
配信が始まると同時にみんなの声がガヤガヤと聞こえる。
コメント欄も爆速で流れていく中、自己紹介がはじまった。
僕も成長しているので、もう噛むことはない...!
「じゃあ最後の選手!白チーム九尾狐狐!」
「はい!Monster Live三期生、九尾狐狐です!今日は白チームで頑張っていきたいと思うのでよろしくお願いします!」
「狐狐ちゃんはこれまで配信したゲームでゲーム上手い説が出てるから楽しみな選手だね!
それじゃ早速第一種目目に行くよ!」
事前に準備したゲームを起動し、観戦でルームに参加した。
一種目目はレースゲームでまずは四人同士が出場しポイントで争う。
コースはランダムで選ばれ、4コースを走る。
「頑張れ〜!」
「アイテムアイテム!」
「惜しい...!」
【相変わらずニコさんはっやw】
【どっかのコースで日本ランキング上位入ってなかったっけ...】
【そんなん勝てるわけないやん...w】
4コースのレースが終わり、赤チームが勝利した。
久しぶりに大声を出して応援していたが、赤チームのニコさんがずば抜けた上手さで全コース一位、白チームも健闘したのだが常に一位を取られるとなかなか勝つことは難しかった。
「一種目目は赤チームの勝利!」
「相変わらずニコは速いな...」
「ゲームは慣れていますので」
「イオも頑張ったから頑張ったで賞とかあっても良いと思うのだ!」
「残念だけどゲームのポイントで争うからね」
次の二種目目、パーティーゲームのミニゲーム勝負で先に5勝した方が勝ちというルールだ。
さっきのレースに参加しなかった僕とソラさん、パンさんとドクロちゃんで対決する。
「二種目目、ミニゲーム対決!
コメントでも推しを応援しような!」
【頑張れ〜!】
【ドクロちゃんホラゲじゃないけど頑張れ!】
【ソラさん後輩を引っ張ってやってくれ!】
【パンちゃんの良いとこ見てみたい!】
【狐狐ちゃんファイト!】
コメントに応援され、僕はやる気で満ち溢れた。
「ソラさん、頑張ろう...!」
「もちろん!」
【あの狐狐ちゃんが!?】
【狐狐ちゃん!?】
【今日の狐狐ちゃんは何か違う...!】
「さあ、ゲームスタートだ!」
ルーさんの声に合わせゲームスタートボタンを押す。
僕は深呼吸をしてコントローラーを握り直した。




