152話 3D狐狐ちゃん①
「狐狐ちゃん!ジャンプしてジャンプ!」
「尻尾揺らしてみて!」
「ここ、スクショタイムだね」
「はぁ...はぁ...」
僕はみんなのリクエストに答え、息絶え絶えになりながら体を動かす。
どうしてこうなったのか...
『僕の3Dモデルですか!?』
なんと収益が3Dモデルを製作できる額に達した為、制作が始まったそうだ。
Monster Live内最速のモデル制作らしい...
そう言われると嬉しいような信じられないような...なんとも言えない感情が芽生える。
もちろん、今すぐに完成するわけもなくしばらくかかるそうだ。
それまでに準備するものがあるそうで、それに必要な道具を僕の家まで送るらしい。
それはなんと3D配信セットだ。
前世の世界でも自宅で3Dモデルを自在に動かせる機材はあったが、今世では更に技術が発達していた。
というのも、バンドのようなものを必要箇所に巻くだけでモデルを動かせるというのだ。
例えば、頭にセンサーバンドを巻くと座標だかなんだかをパソコンに常時送信する。
それを受信してモデルに反映させるのだ。
しかも全てが軽量、受信機側もパソコンに接続するだけで良いというお手軽セット。
値段はまぁ...想像通りだ...
機材の説明を軽く受け、後は実際に届いてから詳しく説明するらしい。
僕はメッセージのやり取りを終えると見ていたアーカイブの続きを見る前に、一階へ急足で降りていった。
お母さんは休憩時間だったのか、リビングでテレビを見ていた。
「お母さん...!」
「聞いたよ〜!おめでと〜!」
「うぶぅ...」
ムギュッと抱きつかれる。
顔面がお母さんの胸に押し付けられるような状態になってしまった。
すぐに脱出し、話を戻す。
「え、えへへ...なんかMonster Liveで一番早かったんだって...!」
「そりゃこんなに可愛いんだも〜ん」
お母さんは嬉しそうに頭をワシワシと撫でる。
髪が乱れる感覚があるが、心地よさの方が勝っていた。
数秒してお母さんの手が頭から離れる。
「じゃあ今日はご馳走にしちゃおっか!」
「やった!」
「楽しみにしててね〜
っとそうだ、今日は配信しないんだっけ?」
「うん、今日は元からおやすみする予定だったよ」
「よし、それじゃ思う存分食べれるわね!」
お母さんは手をグッと握るようにして僕を見た。
僕は少食になったとは言え高カロリーなものは好きだ、前世でいっぱい食べていたからだろうか...
とにかく、こういう時のお母さんは本当にご馳走を買ってくる。
まるで大きなイベントの日のように...
「歩はお腹空かせて待っててね〜!」
「はーい」
お母さんは仕事部屋に戻っていった。
その日の夜...
ご飯に呼ばれた僕はリビングに向かう。
「おめでとう〜!」
リビングに入ると同時に、パーンッとクラッカーが鳴る。
少し焦げ臭い匂いと綺麗な色をしたテープが部屋に広がった。
壁にはおめでとうの形の小さなバルーンが掛けられていた。
「張り切りすぎじゃない...?」
「だって3D化よ!このくらい盛大に祝わなきゃ!」
「こ、この量は食べきれない...」
机にはピザ、チキン、ジュースといったパーティーならではの物が隙間を埋めるように並べられている。
お母さんにとっても、相当嬉しかったようだ。
「とにかく食べよう!」
「そうだね」
久しぶりに食べるピザ、お肉が乗ったピザやチーズのピザ、4種類が1枚になったタイプのピザだ。
お母さんは骨付きのチキンを食べ始める。
衣を齧る音が食欲をそそり、ピザを食べているというのにチキンが食べたくなるほどだった。
テレビを見ながら美味しい料理を食べ、やがてお腹いっぱいになる。
まだまだサイドメニューやジュースに残りはあるものの、もう入らない...
「ご馳走様でした...」
「私もお腹いっぱい...
また明日に取っておきましょう」
保存容器に入れていくお母さんを真似て、僕も手伝う。
明日のお昼は二次会になりそうだ...
片付けも終わり、僕は先にお風呂を済ませることになった。
少し伸びた髪を洗いつつ、マネージャーの葵さんに言われたことを思い返す。
(まだ三期生のみんなには内緒かぁ...)
苦楽を共にした同期のみんな。
僕はクソザコだった頃からずっと支えてくれたみんなにこの喜びを分かち合えないのは少し悲しいが、実はとある企画があるのだ。
そう、ドッキリである。
重大発表としてみんなを集めて雑談配信を始める。
突如僕の配信画面が切り替わり、3Dの僕が登場!
そこでみんなのリアクションを楽しむというものだ。
正直既にニヤニヤしてしまっている。
みんなどんな風に驚くかな...
人生初のドッキリに胸を躍らせながら、僕はお風呂を済ませた。
「お母さんおやすみ」
「はーい、おやすみ〜」
リビングでゆっくりするお母さんに声を掛けて、僕は自分の部屋に戻る。
美味しいものを食べて、これからの楽しみも増えて、推しのアーカイブもいっぱい見た。
(今日はいい夢を見れそう...)
ベッドに潜ると心地よい眠気に包まれる。
僕は楽しさのあまり少しニヤッとしつつ、夢の世界に入るのだった。
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