148話 Monster Liveを愛する者達③
マップを確認しながら止まることなく走り続けた。
遠くに見えていた城の目の前に辿り着き、画面が暗転する。
どうやら逃げ切れることができたようだ。
「ふぅ...どうにか行けたみたいです...」
「狐狐先輩...やっぱり最短ルート知ってました...?」
【速すぎです】
【これで初見はダウト】
【Monster Liveが絡むとすぐ覚醒するなこの狐...】
みんなから驚かれているが自分自身も上手く行き過ぎて驚いている。
辿り着いた城にいた妖怪に冥界の王の元まで案内される。
冥界で人間が逃げていると言う噂は既に聞きつけているようだ。
しかも4人の妖怪が共に行動しているのだから、より一層目立つ存在だろう。
「ボス戦とか来るのかな...?」
「冥界の王とか勝てる気しないですけど...」
「僕もそう思う...」
緊張しながら王の待つ部屋に到着すると、大きな黒い影が僕達のことを見ていた。
王は何事かと説明を求め、僕達はそれに答える。
少し考える素振りを見せた王は豪快に笑ったのだった。
そして部下に指示を出すと僕達は異世界へと繋がるゲートがある洞窟に案内された。
「よ、良かった〜...」
「威圧感が半端じゃなかったですね...」
「うん...悩んでる時の間が怖かった...」
ゲートを潜った僕達は一期生のいる異世界へと進むのだった。
画面が再度暗転し、チャプター3終了というテキストが表示される前に冥界の王の部屋に画面が戻る。
口元をにやけさせながら王は呟いた。
向かった異世界で現世に戻るゲートを開けてもらえなかった場合は冥界に帰ってくることになる。
そうなれば...
というところまで呟くと画面が暗くなり、チャプター3が終わったとテキストが表示された。
「え...これどう言うこと...?」
「意味深な場面でしたね...」
【分からん】
【何かしら冥界に利益があるとか...?】
【また王出てくるのかもしれんな...】
気になる点を残しつつもチャプター3までクリアすることができた。
チャプター4、遂に異世界へと僕達は辿り着いた。
ゲートを抜けた瞬間、僕達が入ってきたゲートから黒い霧のようなものが異世界に流れ込んできた。
「え、ちょ...何これ...!?」
「不気味な霧ですね...」
しばらくすると勢いは弱まり、ゲートは落ち着きを取り戻した。
だが、意味ありげなムービーは僕達の記憶に強く残る。
気を取り直して一期生を探す旅を始める。
冥界から異世界に入ったゲートは人が寄りつかない洞窟にあり、しかもこの洞窟は割れた地面の奥深くにあるらしい。
はるか上に見える青い空がそれを物語っていた。
なんとか妖術を駆使し地の底から這い上がった僕達は異世界アニメや小説で見るようなファンタジー世界に目を輝かせた。
辺り一面の草原、奥に見えるのは壁に囲まれた街。
かなりの大きさを持つ街であることは確かだろう。
「異世界だ...」
「なんかスライムみたいな青い敵見えますね」
「あ、本当だ」
主人公を動かせるようになり、僕達は草原を走って街を目指す。
道中でスライムに絡まれるが、妖術で強化しなくともダメージはなかった。
しばらく進んだ所で紫色のスライムが出現した。
青色と何か違うと察した僕は回避できるように身構える。
予想は的中し、凄まじい勢いで突進してきた。
カウンターで倒すことができたが、あからさまにおかしな挙動をしていた。
「なんでしょうね、紫色のスライム...」
「もしかして、さっきゲートから出た霧のせい...?」
「あ...冥界のなんかよくない魔力みたいなのが異世界に入り込んでしまった...的な感じですか...?」
「僕はそう思うな...」
疑問を残しつつも進んでいると、街に入るための列まで辿り着いた。
馬車や鎧を装備した冒険家っぽい人達に混ざり、列に並ぶ。
簡単に街に入ることができ、ファンタジー感漂う街並みを眺める。
賑わう人々を横目に僕達は冒険家ギルドを目指す。
ニコさんはギルドの受付嬢、ルドラさんは騎士団の団長だから噂くらいはあるだろう。
「異世界物の物語だとこういう時って絡まれることがテンプレなんだよね...」
「わかります、柄の悪い感じの人が...」
稲香ちゃんが最後まで言い切る前に、スキンヘッドのイカつい男性に絡まれてしまった。
どうやら僕達三期生を連れて歩く主人公が気に食わなかった様子。
まあ、可愛い女の子4人連れている細身の男見つけたら絡みに行きたくもなる...のかな?
「やっぱり...」
「この人怖いんですけど...」
主人公が殴られそうな瞬間に僕は妖術で強化した。
実は身体能力が上がるだけでなく、攻撃力も防御力も上昇する。
一般人の拳なんてノーダメだ。
「あ、僕の妖術」
「ナイスです...!」
「あー...男の人手怪我しちゃった...」
「すぐに手を出すからですよ」
医務室に向かう男性を気のすることなく、受付まで進む。
その間、周りの人達からの視線が突き刺さっていた。
受付嬢にニコさんのこと、ルドラさんのことを聞く。
レミさんソラさんはエルフなので探すのは難しいだろう。
なのでニコさんとルドラさんを先に見つける予定だ。
このチャプター4は異世界を駆け回るのかと思っていたが、最も簡単に僕達の目の前にニコさんが現れた。
「ニコさんだ!」
「めっちゃすぐに見つかりましたね...」
ニコさんは驚いた様子で僕達がここにいる理由を聞く。
僕達が説明すると、一旦ギルドマスターに連絡を入れてギルドを出た。
もちろん僕達も一緒に移動する。
人があまりいない隠れ家のような飲食店に到着すると、水やコーヒーなど簡単な飲み物を注文して席に座る。
ニコさんは深いため息を吐き、ゆっくりと口を開いた。
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