13話 記念配信開始
Monster Live全員のコラボ企画が行われたからなのか、チャンネル登録者が日に日に増えていった。
休日の朝、マネージャーさんからメッセージが届く。
『チャンネル登録者数三万人目前ですね』
そう、僕のチャンネル登録者数が三万人を越えようとしていた。
よく見る記念配信の件だろう、そう思いマネージャーに言われる前に企画のことを話す。
『ありがとうございます。
記念配信の件でしょうか?』
『流石ですね、その件で連絡した次第です』
『どんな企画が良いんですかね...』
『狐狐さんならいろんな方の記念を見ていると思うので、分かっていると思いますが基本的には余程のことをしなければ楽しんでもらえます』
『了解しました、考えてみます』
『それと、もう収益化できると思いますがどうしますか?』
『収益化ですか...』
『はい、条件は達成できているので収益化することができます』
『収益化申請してみます!』
『はい、お願いします。
記念配信頑張ってください』
『はい!』
チャットを閉じる。
そうか、チャンネル登録者が三万人か...
しかも収益化...スパチャを僕が読むのか...
今まで画面の向こうだけの世界に僕がいる、全く実感が湧かない。
だが、多くの人に見てもらえている、応援してもらえているのだと思うと自然と笑みが溢れた。
(思い切って凸待ち配信...しちゃおうかな...)
僕はMonster Liveのみんなを頭に浮かべる。
そうだ、凸待ち配信と質問箱を合わせて誰かが凸してくるまで質問に答えていこう。
そうすれば万が一凸来なくても...
早速、トイッターに質問箱を設置するのだった。
チャンネル登録者数三万人...!!
その日の夕方、僕のチャンネルを確認すると三万人を突破していた。
ピッタリ三万人の瞬間を見ることはできなかったが、並んだその数字を見ると嬉しい感情が込み上げてくる。
こんな僕でも誰かを楽しませることができているんだ、と自信が出てきた。
トイッターで記念配信の告知をする。
@九尾狐狐 Monster Live三期生
チャンネル登録者数三万人突破しました!
記念配信で凸待ちと質問箱に答えようと思います!
ぜひ見に来てください!
♯狐狐ライブ
すぐにコメントでお祝いムードになる。
そのコメント一つ一つが嬉しく、全員に返事したいくらいだった。
Monster Liveではトイッターで送られたコメントには出来るだけ返事せず、心の中で感謝するようにと言われている。
同じコメントをしたのにあの人には返事して自分には返事されない、という状況を防ぐためであり元々視聴者目線だった僕には痛いほど分かることだった。
確認すると質問箱は凄まじい速度で溜まっていた。
記念配信で事故は怖いので、三期生コラボの時と同じく事故につながりそうな質問だけを抜き取り配信に備える。
そして配信当日になった。
開始前の告知もして待機場も作った、ファンアートで描いてもらったイラストを使わせてもらったサムネイルもいい感じだ。
初配信のような緊張感に包まれる。
「頑張ろう...!」
【三万人記念】皆さんありがとうございます!三万人、収益化記念凸待ち&質問箱読み!【九尾狐狐】配信中
【来ちゃ!!】
【5000円:おめでとう!!!】
【10000円:スパチャ投げられるやん!】
【50000円:いきなり赤スパはびっくりさせるやろやめておけよ】
【↑おまいう】
【↑赤スパだし上限額なんよ】
「あの...スパチャ早いです...まだ何もしてないのに...」
【あ...】
【あ...】
【声聞こえたw】
【すっごい申し訳なさそうな声】
「えっと...ここにちは...!
Monster Live三期生の九尾狐狐です!
この度はチャンネル登録者三万人!そして収益化を記念しまして配信をしていきます...!
皆さん本当にありがとうございます...!」
【本当におめでとうやで】
【2000円:おめでとう!】
【3000円:今日は宴だ!】
【9550円:九尾(9)狐狐(55)じゃ少ないと思ったので0足しました!】
【赤スパギリギリいかないのなw】
「あの...無理しないで下さいね、財布と相談してください...」
【50000円:財布と相談しました】
【10000円:財布が払えって言いました】
【9550円:赤スパじゃないから実質無料】
どんどんスパチャが送られて来る、スパチャの欄にユーザーの名前が増えていく。
凄まじい速度で...
「ちょっちょちょ...!?
皆さん落ち着いてください本当に待ってください...お金大事ですよ!」
【9550円:そういう声が聞きたかった】
【3000円:ボイス代】
【9550円:今月の家賃代】
「家賃代!?」
【家賃スパチャニキはお金大切にしてもろて】
【リアクション助かるなぁ...】
「と、とりあえず記念配信ですので企画進めていきます...!」
【狐狐ちゃん凸待ち大丈夫?】
【コミュ障の凸待ち...どうなってしまうのか...】
【頑張って】
「僕も少しは成長していると思います...!
それに皆さん良い人なので大丈夫なはずです!」
僕はMonster Liveのグループに凸待ちの通話部屋を作り、一人で入室する。
ドキドキしながら質問箱を準備した。
「それでは、凸待ちしながら質問箱を読んでいきたいと思います...!」
【がんばえ〜】
【待ってた】
【誰が来るかな?】