133話 Monster Live family一期生④
一期生のデビュー配信もついに最後となった。
骨掘わんこさん、夢中メアさん、長閑稲香さん。
3人の配信から来た大勢のファンが配信が始まるのを待っていた。
【初配信】はじめまして！【ファリー】配信待機中
待機画面がフェードアウトし、花畑の風景が映し出された。
配信が始まり、コメントが加速する。
『みんな〜はじめまして〜！』
右下に小さく緑色の髪が映る。
他の3人に比べて少しモデルが小さく見えた。
【はじめまして！】
【キタ〜！】
【めっちゃお姉さんボイスだ...！】
【どんな見た目してるんだろう】
夜も遅くなりはじめているのにコメントの流れはいまだに加速し続けている。
そのコメントに答えるようにファリーさんが話を続けた。
『私の姿気になる〜？気になるかな〜？
じゃあ見せてあげよう！』
ファリーさんのモデルが少しずつ上に動き、全身が映し出された。
緑色の髪は腰まで伸び、真っ白なワンピースのような服、背中からは二対の小さい羽が生えている。
小さい姿からお姉さんの雰囲気を感じる。
『じゃ〜ん！これが私だ〜！
ってことで、改めて自己紹介！
私はフラワーフェアリーのファリー、よろしくね！』
【可愛い〜！！】
【ファリーお姉ちゃーん！】
【小さいのに凄いお姉さん感がする...！】
【 family一期生のママ枠かな？】
【一期生ママ枠だなw】
初めて見る小さいモデルに僕もテンションが上がっていた。
アニメーションで羽が動き、本当にそこで生きているような動きをする。
しばらくファリーさんがモデルを見せ、話を再開する。
『私は人を癒してあげたいからこうやって配信を始めてみようと思ったんだ！
悩み事の相談とかみんなを元気にしてあげる配信をしていきたいな。
みんなが帰って来れる第二のお家を目標にしようと思ってるよ！』
ファリーさんは自分のやりたい配信や目標を嬉しそうに話す。
聞き取りやすい声、ハキハキとした声は聞いているだけで元気をもらえそうだ。
コメント欄もファリーさんの配信の雰囲気に癒されている人が多く見えた。
自己紹介も終え、雑談タイムになる。
ファリーさんは同期の話を始めた。
『みんなは他の3人のデビュー配信見た？』
【もちろん！】
【めっちゃ良かった〜】
【また新しい推しが増えてしまった...】
【みんな可愛かった！】
【新しい生きがい見つけた...】
『うん、みんな最高だったよね〜...
これから同じ一期生として配信していけるのすごく嬉しい！』
小さなモデルの顔がにぱっと笑顔になる。
【仲ええなぁ...】
骨掘わんこ【一緒に頑張るワン！】
【てぇてぇ】
【おるやんけ！？】
夢中メア【あたしも見てるよ〜】
【みんなおるw】
『みんな初配信お疲れ様〜！
お気に入り登録させてもらったよ！
これから頑張っていこうね！』
稲香さん以外の一期生が揃い、コメント欄も盛り上がる。
稲香さんのことが少し心配になる。
僕が意地悪な問題を出したからなんじゃないか、そう感じてしまう...
『稲香ちゃんはいるかな...？
まさか本当に初配信で狐狐先輩とMonster Liveクイズ対決するとはね〜
2人とも本当にMonster Liveが好きなんだね〜』
【凄かったw】
【何も分かんなかったもん俺w】
【どれだけ見ればあそこまで細かいことに気付くのか...】
【狐狐ちゃんのライバルが出てきた感じだったよな】
【狐と狸だし確実にライバルでしょ】
『あの2人が並んでMonster Liveについて語るところ見てみたいな〜...』
僕は自分の話題が出て驚いてしまう。
確かに稲香さんとMonster Liveのことで語り合いたいなとは思うが、今の状態だと自分から絡みに行っても嫌われるかもしれない...
そんな考えが頭をよぎりながらも、ファリーさんの配信を楽しんだ。
『それじゃあこれでMonster Live familyのデビュー配信を終わるね！
これからいろんな配信をやっていくから遊びにきてね〜
遅くまで見てくれてありがとう！またね！』
【お疲れ様〜！】
【おつかれ！】
【応援するからね〜！】
【頑張って！】
ファリーさんがデビュー配信リレーを締め、Monster Live family一期生のデビュー配信は幕を閉じた。
僕は時計を見て目を擦る。
デビュー配信が見ていて楽しくて、気付けばこんな時間だ。
あくびをしながら、パソコンを閉じベッドに潜り込む。
結構眠気が来ていたのか横になって電気を消すとうとうとし始める。
静かな部屋、先程までの楽しい配信が頭に浮かび思わずニヤけてしまう。
やはり新しいMonster Liveがデビューするのは心の底から嬉しい。
(僕も頑張っていかないとな...)
休暇の期間はまだあるが、僕は配信の楽しさを思い出していた。
数日配信しなかっただけでずっと配信していないような感覚になっている。
ネットでも僕のことを心配しているコメントやファンアートが投稿される。
それを見るたび、僕を待ってくれている人がいるんだと思い嬉しく思った。
(早く元気にならなくちゃ...)
配信をリアルタイムで見ていくと長時間配信の場合、夜遅くまで起きてしまう。
僕は休暇が明けるまでは早寝早起きを徹底すると誓った。
配信はアーカイブで追い、寝る前の配信の視聴は控える。
具体的な内容をいろいろ考えながら僕は意識を手放すのだった。
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