132話 Monster Live family一期生③
【初配信】狐狐さんには負けません【長閑稲香】配信待機中
僕は配信タイトルを見て目を見開いた。
まさかの名指し...とてつもない圧を感じる...
緊張しながらも配信にお邪魔する。
【狐狐ちゃんアンチみたいなタイトルしてるって...】
【ライバル的な立ち位置か...?】
【心配になってきた...w】
視聴者のみんなも緊張しながら、配信が始まるのを待っていた。
張り詰めた雰囲気の中配信が始まる...
『どうも、初めまして。
長閑稲香です、一応化け狸やってます...』
【どもども〜!】
【めっちゃイケボ女子だ...】
【狸と狐...そういうことか...】
画面に映ったのは、目の下にクマがある茶髪の狸娘。
片方の肩が見えるくらいヨレヨレの伸びたシャツを着ており、下は何も履いてないように見える。
体も少しふっくらしており、仕事に疲れて引きこもってしまった人のような見た目をしている。
『私は狐狐さんよりもMonster Liveを愛している自信があります、絶対に...』
【め、メンヘラ...?】
【愛が怖いほど強い...】
【低い声が怖さを引き立ててやがる...】
【かなり歪んでそうw】
【でもちゃんとさん付けで読んでるあたり根はいい子w】
『狐狐さん、いますよね、出てきてください...』
低い声で言われると怖さが倍増してしまう。
下手なことをすれば怒られると思いコメントできない。
【そんな圧かけちゃったら狐狐ちゃん出てこないぞ...】
【もうちょっと優しく...w】
【Monster Liveのマニアックな問題出せば出てくるんじゃない?】
『...それだ、狐狐さん問題です。
ルドラさんがゲーム配信でコントローラーを使用中、苦手と言っていた操作は?』
僕の頭の中にルドラさんの配信が一瞬で思い浮かぶ。
その時に言っていた言葉もはっきりと思い出せた。
九尾狐狐【視点移動】
右スティックで視点移動をすると微調整が難しいとルドラさんは言っていた。
しかもその時はホラーゲームをプレイしていたので苦手な操作+恐怖で視点が定まらず、画面酔いする人が多発した配信になってしまった。
【はっやw】
【おいこれ調べてすぐ分かるものでもないだろw】
【んで現れたなw】
【流石すぎるし、これを問題にしてる稲ちゃんもよう見とるw】
思わずコメントしてしまった...
だが、そう言った場面をしっかり見ていて問題として出している。
稲香さんもMonster Liveが大好きだということが伝わって僕は勝手に親近感を持った。
『...ま、まぁこれくらいは義務教育ですからね』
【俺義務教育受けれてないんですけどw】
【レベルたっけw】
【Monster Liveクイズ大会優勝候補2人目か?】
視聴者を気にせず稲香さんは2問目を出題してきた。
『次です、イオさんの歌練習配信で裏返ってしまった文字は?』
頭の中に歌っているイオちゃんの配信が浮かぶ。
裏返ってしまったフレーズが脳内に流れ、答えがわかった。
九尾狐狐⭐︎【に】
歌が苦手だと言って練習配信をしていたイオちゃんだが、最後の曲のラスサビでたった一箇所だけ「〜に」の部分で裏返ってしまったのだ。
見ている方は可愛いと思ったが、イオちゃんは悔しがってもう一曲歌った配信だった。
【だからなんで分かる?w】
【お気に入りちゃんと付けてくれてるしw】
【さてはただの厄介オタク狸か?】
【これは狐狐ちゃんのライバルだな...w】
『...正解、こ...狐狐さんは何か問題はありますか?
絶対答えて見せますよ』
稲香さんにそう言われて僕はみんなの配信を必死に振り返る。
問題にできそうな部分を探す。
九尾狐狐⭐︎【ニコさんがFPSで得意としているフリックショットはどの方向のフリックでしょう?】
【フリックショットか...】
【分からない人に説明すると一瞬で敵にエイムを合わせることやで】
【↑説明ありがとう、FPS分かんないから助かった】
『ニコさんが得意なフリックショットは...確か左フリックです』
【左って言ってた気がする...!】
【え、いつ言ってた...?】
【分からんw】
【正直得意でも苦手でもクソ上手いからなw】
『ニコさんの結構初期のFPS配信で左が得意と言っていたはずです...
狐狐さん、どうですか...!』
僕はやっぱりそう答えたかと内心ニヤリとした。
実はニコさんは初期のFPS配信で左フリックが得意と言っていたが、右フリックを練習し続けていた結果右フリックの方が得意になったと言っているのだ。
しかも右フリックが得意だと判明したのが、右フリックで敵を倒した際に「こちらの方が得意ですね」と呟いただけ。
それに加えてその配信はランクが上がるまでの耐久配信なので7時間やっている、その中でのたった一言なので見逃しても仕方ない。
九尾狐狐⭐︎【正解は右フリックです】
【マ?】
【こっちもいつ言ったんだw】
『う、嘘です嘘です...!
だってしっかり配信で左フリックの方が得意だって...』
ニコ・ウラナ【すみません、最近は右フリックの方が当たるようになっています。
苦手を克服しようとしたら得意になってしまいました】
【おるやんけ!?】
【正解が現れたw】
【マジか...右フリック得意とかいつ言ったんだ...】
ニコ・ウラナ⭐︎【ランク上げ耐久配信で7時間配信した時に言った記憶があります】
【あ、お気に入り付いてる】
【お気に入り付けるの早w】
ニコ・ウラナ⭐︎【ありがとうございます】
『わ、わざわざ正解発表ありがとうございます...
ちゃんと見てきたはずなのに...』
【狐狐ちゃんはぶっ飛んでるレベルで見てるから勝つのは難しいと思うぞ】
【Monster Live関係のことなら狐狐ちゃんに聞けば分かるレベルだしな...】
【それで寝てなくて今回休暇になったんやろ多分...w】
【推し活しながら大会練習だろ?タヒぬぞw】
『く...悔しいですけど、今度のMonster Liveクイズ大会で勝負です!
配信はこれで終わります!次に移動!』
少し泣きそうな声でそう言うと、稲香さんは配信を閉じてしまった。
コメント欄は驚いたコメントで溢れたが、稲香さんが負けず嫌いのMonster Live厄介オタクということが分かったとみんな納得した。
嫌うコメントは無く、逆に僕とMonster Live 愛で戦う猛者が現れたと騒いでいる。
盛り上がるコメント欄を尻目に、最後の配信に移動するのだった。
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