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前世がコミュ障男な僕がVtuberになれますか?  作者: カムカム
10章 コミュ障、戦場に行く!?
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127話 MG杯決戦戦④

第3マップ、追い込まれた僕達は連続で3マップ取らなければ優勝は無い。

そんな状況でもチームのみんなは変わらなかった。


「ここ負けたら終わるな〜」


「俺まだこの6人で試合してぇよ...」


「このマップを取得することができれば、まだ試合できますね」


「じゃあもう取っちゃうしかないでしょ!」


「ソーだね?ここから逆転したら伝説なるよ!」


「チーム名のここからだけにってか!?」


「お前声でっか...」


「報告は大きい声の方が通るやろが」


「例えば?」


「サイト内ツー!!!!1人やったぁああ!!!」


「......椿さんの音量下げました」


「頭痛い...」


「ニコさん狐狐ちゃんごめーん!」


「ちなみにその声もばかうるせぇぞ...?」


いつもの雰囲気に思わず笑ってしまう。

そうだ、勝ちたいのはもちろんだけどこのチームで強敵と戦いたかったんだ。

初心を忘れないって本当に大切なんだね...


頭に浮かんでいた『負けてしまう』『勝たなくちゃ』、その言葉が全て消えたように感じた。

ゲーム画面には第3マップが映し出される。


「頑張るぞ〜!」


「おうよ!」


みんなが声を出す中、少しカッコつけたくなってしまった僕は口を開く。


「みんな、本気で遊ぼう...!」


「お、狐狐ちゃんいい事言うね〜」


「全力で楽しめば自然と結果が着いてくるんやから!」


「そうですね、変に緊張してしまっても何もいいことはありません」


「そうと決まれば最っ高に遊んじゃうよ!!」


「ミンナ!楽しんでね!」


ライトさんの声でみんなの心がより一つになったように感じた。


第3マップは僕達のチームが選択できる、迷う事なくエルフが必須級のマップを選択。

相手もエルフを出してきた。

僕達はアタッカーサイドからのスタートになる。


「スモーク欲しい時に言ってね!」


小豆さんが準備万端と言わんばかりに言う。

完璧にスモークを炊き、相手の進行を遅らせる小豆さん。

そのスモークのおかげで何ラウンド取れたことか。


「初っ端からラッシュ行っちゃうか!」


「カバーするぞ」


つばロバの2人、前線をこじ開け相手の守りや攻めの流れを崩す。

どちらかが倒されても、必ず倒し返すカバー力。

そして雰囲気を盛り上げる頼もしいリーダー。

この2人がいなければここまで楽しくゲームができなかっただろう。


「裏は任せてください」


ニコさんの声が少し笑っているように聞こえた。

裏からの敵を完璧に対処し、前線が正面だけを見られるようにしてくれた。

ニコさんが後ろにいるから大丈夫、そう思うだけでチームはより前線で戦える。


「索敵矢は角待ち対策で撃つね」


僕はチームの役に立てているだろうか。

撃ち合いは勝てて1割、それも僕の方を見ていない敵を撃てた時だけ。

正面からの撃ち合いは奇跡的に勝てた場合以外は全敗だ。


それでも、僕は敵の居場所を味方に知らせるのが役目だ。

サポート専で良い、僕のチームは強いんだから。

僕は仲間を活かせる立ち回りをする、その為に定点もオリジナルも頭に詰め込んだ。




全力で遊びたいのは本心だ、それでもやっぱり勝ちたい。

勝った時に聞こえるみんなの声がもう一度聞きたい。

後一回だけでも良い、マップを取得してみんなの声を聞きたいんだ...


「ごめん!めっちゃ詰めてきてる!!」


「120カット!うっわマジか...」


「え!?もうここまで詰めてるの!?」


ラウンド数10:8、相手チームのマッチポイント。

なんとか食らいついて2ラウンド差から離されないようにしていたが、遂に相手チームのマッチポイントになってしまった。


僕達は前回のラウンドで魔力を使い果たし、それでもラウンドは取れなかった。

絶対落とせないラウンドだと言うのに強力な武器を持っているのはニコさんだけ。

つばロバの2人は角待ちで意表を突く作戦だった。


小豆さんもスモークを使い、前線を押し上げキルに繋げる立ち回りをしようとした。

だが、相手はそのことも読んでいたように3人を撃ち倒す。

残されたのは僕とニコさん。


2人でBサイトを守っていたが、Aサイトの3人がやられてしまい諦めムードが漂う。


「先程Bの通路にスナイパーを持った敵がいました。

狐狐さん、注意して下さい」


「う、うん...!」


ニコさんの緊張した声が聞こえた。

つばロバの2人と小豆さんの情報から、本命はAサイトだろう。

Bに来た敵は敵の裏を取る動きをしているはずだ。

ここでAサイトに寄っても挟まれる状況になってしまう。


「勝負します...」


ニコさんが振り絞るように声を出した。

相手が持つスナイパー武器は足以外、胴体か頭に当たれば一発で倒されてしまう。

エイムが良い人が持てば最強の武器だ。


ニコさんが顔を覗かせスナイパーを持ったキラリちゃんと勝負する。

画面右上に流れたキルログには、ニコさんが倒されたと表示された。


「......すみません、40カットです」


悔しそうなニコさんの声、残されたのは僕1人...

誰も声を出せないのか賑やかだった通話から声が失われる。

人数状況1:5、残ったのは始めたばかりの僕だけ。

もう勝ち目はない、1番強くそう思ったのは僕自身だろう。


それでも勝ちたい、負けたくない...

でももう勝てない...


矛盾した感情が僕の中で渦巻く。

そんな時だった。

一瞬、体が浮遊したように軽くなる。

途端、視界が限りなく広くなり全ての情報が整理された状態で頭に入ってくる。

体の全ての細胞を意のままに操れる感覚に陥る。

僕はなぜか今の状態を簡単に理解することができた。


(これって...ゾーン...?)


そう考える余裕もあるほど今の僕は何かスイッチが入った状態だった。

そしてこの状況なのに負ける気が一切しない。

どんな撃ち合いの場面を想定しても負けない。

僕は倒されたニコさんが持っていた武器を拾うと、キラリちゃんがいた通路を一瞬だけ覗き一発だけ弾を撃った。

その弾は頭に吸い込まれた、これで人数状況1:4だ。


「...え」


「は?」


つばロバの2人の驚いた声が少しだけ遠くから聞こえる。

みんなが僕に教えてくれた物全てを完璧に発揮できれば必ず勝てる。


Aサイトに爆弾が設置された。

僕は今の自分の状況が長く続かないことも何故か自覚していた。

僕は足音も気にせず全力で爆弾解除に向かう。


「狐狐さん、頑張って下さい...」


ニコさんの僅かに震えた声が聞こえる。

絶対に負けるわけにはいかない。


「うん...頑張る...」


僕は静かにそう伝えた。

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