121話 MG杯解説席(寺付耀視点)
俺は下トーナメント二回戦のインターバル中に水で喉を潤す。
今実況解説を担当しているのがチームここから対チームモンブランの試合だ。
もう一つの試合は別の解説系Vtuberがやっている。
いろんなVtuberのゲーム大会を実況したいとVtuberになってみたが、まさかここまで有名な試合の実況解説をすることになるとは思わなかった。
黒縁メガネでマイク付のヘッドフォン、スーツに身を包んだ俺、寺付耀は今この瞬間を楽しんでいる。
「それにしても椿さんは強いですねぇ...」
隣に座っている実況解説者、青葉正太さん。
この人は世界大会を実況解説するような凄い人だ。
仕事はなんでも断らないと言っていたがここで一緒に実況解説できるとは...
「そうですね、人数有利の時は人数差を活かして囲むように動き、人数不利の時は1対1になるような立ち回りをしていましたね」
「しかもその動きにチーム全体が着いて行っているんですよ、短い練習期間でかなり完成度を上げてきましたね」
「チームモンブランもまだまだ負けてないですからね、2マップ目が楽しみです」
軽く雑談をしてちょうどインターバルが終わった。
配信画面が青葉さんと俺を映す画面に切り替わり、インターバル中に流していたBGMが止まる。
「はい、皆様お待たせ致しました。
チームここからvsチームモンブラン、第2マップが始まります。
1マップ目はチームここからが取得し、勝利にリーチを掛けました。
第2マップはチームモンブランのピックマップ、果たしてどうなるのでしょうか」
「それではキャラピックに移ります」
この配信は世界大会と同じような画面で配信されている。
出場者の名前の上にピックしたキャラが映し出された。
全員のキャラ選択が終了し、画面はドローンでマップを飛んでいるような画面が映し出される。
「さあ、運命の第2マップが始まります。
前半アタッカーサイドはチームここから、ディフェンダーサイドがチームモンブランとなっています。
皆様コメントにてここからWIN、モンブランWIN、応援していきましょう!」
青葉さんの言葉でコメントが応援メッセージで埋め尽くされていく。
俺も実況解説をしながら、この試合を見届けたい気持ちで溢れた。
試合展開はモンブランがやや優勢といった感じで進む。
裏を取ろうとしたニコさんをマロンさんが撃ち倒した。
マロンさんは1キルした後にしっかり引き、チームに合流する。
「ニコが倒されたことでチームここからは情報が少ないですね」
青葉さんのパスにしっかりと回答する。
「そうですね、裏を取ろうと1人で行動していたしたニコを倒したことで狙っているサイトがバレてしまいました。
更にそのまま裏を詰めているかもしれないとチームここからは裏も警戒しながらサイトへ向かわなければなりません」
「人数、状況共に不利なのがチームここから。
幸先のいいスタートを切ったのがチームモンブラン」
「ローバーが裏を警戒しながらチームここからは最初に狙っていたAサイトへ進みます」
「チームここからのエントリーが始まるか...!
小豆のスモークで射線を切り、椿のドラゴンがAサイトへエントリー、サイトの入り口へスモークを炊くがチームここからは全員でエントリーしています。
爆弾の設置...はエルフのダメージ矢で遅延、その間にチームモンブランがチームここからを囲みます。
裏に回ったマロン、残り4人で正面から撃ち合いが始まるでしょう」
「爆弾が設置されました、スモークが無くなった時が撃ち合いの合図になりそうです」
「そうですね、お互いのスモークはほとんど時間差がありません。
スモークが晴れればお互いサイト内全域が見渡せるでしょう」
「狐狐の索敵矢が裏に放たれた!
マロンは壊すか隠れるしかありません、ここは隠れる判断。
ここで椿とローバーが前線を押し上げる!
小豆、椿が1人落とし、人数差逆転!
索敵矢が消えマロンがサイトへ入るがそこはもぬけの殻。
チームここからは4人でディフェンダーサイドまで前線を押し上げています」
「後はサイトを上から見下ろせる高台を陣取っている2人を落とせばチームここからのラウンド取得は固いでしょう」
「あそこで守るのではなく攻める判断。
やはり椿の作戦でしょうか」
「椿は大胆且つ自分が実行できると信じた作戦を立てますからね、チームの全員も信用した作戦でしょう」
「高台にいた1人も倒し人数状況4:2、爆弾は設置済みなのでチームモンブランは解除しなければファーストラウンドを取られてしまいます。
椿、ローバー共にHPは削れているが倒すことはできるか」
「ここでチームモンブランはマロン以外倒されてしまい4:1の状況、マロンは爆発に巻き込まれるようです」
「相手に倒されると必殺技ゲージを貯められてしまいますからね」
爆弾を設置したエリアが爆発し、隠れていたマロンさんが爆発に巻き込まれに行く。
青葉さんの声が大きく響いた。
「ファーストラウンドはチームここからが取得しました!」
「前線を上げる作戦が上手く噛み合いましたね」
「セカンドラウンドはチームここからが有利な状況でスタートすることになるでしょう」
何度聞いても青葉さんのゲームの情報を整理する力と言語化する力を目の当たりにして、流石愛されるキャスターだなと感心してしまう。
俺も青葉さんのようなキャスターを目標に頑張っていこうと決意を固める。
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