105話 椿チーム顔合わせ
遂に発表されたMG杯ファンタジーボム部門のメンバー。
計八チームによるダブルトーナメント形式で試合が行われる。
ダブルトーナメントは勝者トーナメントと敗者トーナメントに分かれるルールだ。
一試合目負けたチームは敗者トーナメントの一番下へ行く。
一試合目勝者はそのまま二回戦へ、二回戦目負けたチームは敗者トーナメント一回戦の勝利チームと戦う。
こうして勝者トーナメント一位と敗者トーナメント一位が決勝を行う。
かなりの試合数になり、一日で二試合、三日目に決勝が行われる。
プロチームが開催することもあり優勝チームには賞金が出るそうだ。
今日はそのMG杯顔合わせ配信の日。
椿チームのメンバーはつばロバの二人、僕、個人Vtuberの小粒小豆さん、そしてニコさんだ。
まさかニコさんも招待されていたとは気付かなかった。
小粒小豆さんだが、このファンタジーボムをメインで配信しているFPSプレイヤーなのだ。
やはり大会である以上それなりのレベルが要求される。
僕をチームに入れる為にレベルの高い人を集めた結果、僕が入っても大丈夫となったらしい。
シャベルに作られた椿チームサーバーに入室する。
既にみんな配信を始めており、僕が最後の一人だった。
「お!狐狐ちゃん来たね〜!」
「狐狐さん、こんばんは」
「こ、こんばんは!」
「本物だぁ!はじめまして!
小粒小豆です!よろしくお願いします!」
可愛いキャピキャピとした『女声』。
そう、小粒小豆さんは小型犬の可愛いモデルに女声で活動するバ美肉おじさんなのだ。
だが、言われないと分からないレベルの可愛い声。
何人が騙されたことか...
「早速今日はフリーマッチしながら色々しますか!」
「とりあえずフレンドになろうか」
「そうですね、私はそのままニコって名前です」
「私も小粒小豆だよ〜!」
「ぼ、僕も狐狐です」
ファンボを起動してフレンド申請を送る。
全員が同じルームに集まったことを確認して配信を始めた。
【MG杯顔合わせ】椿チーム顔合わせ!【椿/ローバー/ニコ・ウラナ/小粒小豆/九尾狐狐】配信中
@九尾狐狐 Monster Live三期生
MG杯顔合わせ配信です!
心強い仲間達と頑張ります!
♯狐狐ライブ
♯MG杯顔合わせ
配信が始まると一気にコメントが加速する。
「っしゃ〜、じゃあマッチするまで話すか〜!」
「もう全員配信開始してるの?」
「私は配信開始していますよ」
「僕も配信中です」
「私もはじめたよ〜!」
「みんな開始してるね、って事でどうも!...」
椿さんが自己紹介しようとした瞬間にマッチングする。
試合が始まるカウントダウンが虚しく響いた。
「いやお前タイミングヤバいだろ」
「なんで出鼻挫かれないといけないんだよ...」
「配信者だねぇ〜」
「こんな所で配信者見せたくないわ...」
「マップは天界ですか」
「うへぇ...私このマップ苦手なんだよね...」
「確か爆弾設置箇所が三箇所あるんですよね」
「お!狐狐ちゃん予習してきたな?」
「動画を少し...」
「キャラは何を使いますか?
私は皆さんに合わせますよ」
「私も合わせるよ〜」
「じゃあ俺アタッカーのドラゴン〜」
「俺もアタッカーの亡霊使う〜」
「狐狐ちゃんは何使うの?」
「じゃ、じゃあエルフで...」
「いいね〜!」
「小豆さんはどのキャラを使用しますか?」
「選んでいいの?じゃあ精霊使うね!」
「スモーク役自分から選ぶ人初めて見たぞ!」
「それは盛りすぎやろ」
「まあまあ任せなさいな!」
「では私は呪術師を選びますね」
「結構いい編成じゃない?」
「アタッカー二人、索敵一人、スモーク一人、エリア管理一人か...いいなぁ」
「試合始まるよ!」
「そうですね、対戦よろしくお願いします」
「対よろってやつやね」
「よ、よろしくお願いします!」
対戦相手のキャラ選択も終わり、遂に試合が始まる。
小豆さん以外は知り合いだと言うのに緊張感に包まれた。
試合に入る前に全員のキャラ性能を簡単にメモした付箋を見て復習する。
椿さんの選んだドラゴン。
翼を使って高所に登ったり、高速で短い距離を移動できる。
煙を飛ばすことで少しの間敵の射線を切れる。
必殺技は高火力の炎を五発吐くことができる。
その炎で相手を倒せれば魔力が回復し、また五発撃てる。
かなり前線に出るアタッカーだ。
ローバーさんの選んだ亡霊。
自分と同じ形の亡霊を動かして相手を混乱させる、更に怨念を飛ばすしてそこまでテレポートできるスキルもある。
火の玉を使ったフラッシュまで持っており、かなり相手をかき乱す性能をしている。
必殺技は完全に姿を消して一定時間フィールドを走り回れると言うものだ。
もちろんその時に攻撃はできない。
僕の選んだエルフ。
様々な効果を持った魔石を矢にして戦う索敵キャラクターだ。
探知魔法を込めた矢で相手の位置を索敵、爆破魔法を込めた矢で着弾地点にダメージを与える。
他には視界共有した使い魔を飛ばし、索敵すると言った索敵メインのキャラ性能をしている。
だが必殺技は攻撃系で、貫通効果を持った風魔法でかまいたちを起こし自分の狙った方向一直線に大ダメージを与えるものだ。
しかもそのかまいたちが当たると当たった敵の居場所が分かる、その分当てるのが難しい。
小豆さんの選んだ精霊。
精霊は使いをフィールドの好きな場所へ配置して、好きなタイミングで様々な効果を使える。
一つがスモーク、設置した使いを中心にスモークを炊くことができる。
二つ目が無属性の爆破で相手をスタンさせることができる。
三つ目が風魔法で敵を吸引できる。
三つ目の吸引はその場で移動しにくくなるので相手が攻め込んできた時に使うとかなり強力なスキルになっている。
必殺技はフィールドを分断する巨大な結界を張る。
この結界は向こう側が見えず、弾も通さない。
やることが多いのでかなり難しいと有名なキャラだ。
最後はニコさんの選んだ呪術師。
呪いのトーテムや呪いの人形を設置して、敵の居場所を探れるキャラクターだ。
トーテムは射線上に入った敵に向かって自動で弾を撃つ、ダメージは少ないが敵の居場所が分かる。
人形は設置すると姿を消し、敵が範囲内に入ると襲って居場所を知らせるスキルだ。
他には呪いのカプセルを投げたり設置することで、カプセルを中心に一定範囲ダメージを与えるフィールドを張ることができる。
必殺技は儀式の供物をフィールドに設置し、広範囲を拘束状態にするものだ。
だが、儀式が完了するまでの間に供物を破壊されたりすると広範囲の拘束は無かったことになる。
この五キャラで今から試合が行われる。
僕は覚えた索敵スキルでみんなをサポートしたいと意気込んだ。
読んでいただきありがとうございます!
誤字脱字等ありましたら報告していただけると助かります...!
Twitter作ってみました!
気軽にフォロー、DMなどどうぞ!
感想やご意見など励みになります!
@_Kamu_Kamu