104話 ゲーム大会の招待状
お久しぶりです！
それは突然だった。
椿さんからメッセージが届いたのだ。
僕はその内容を見て驚く。
『狐狐ちゃん！
俺のチームが開催するゲーム大会一緒に出ない？』
椿さんとローバーさんが所属するプロチームが開催するイベント。
チーム名『Memorial gamers』の頭文字をとり、MG杯と言われている。
大抵のファン達はマグカップと呼び、毎回いろんな配信者が参加する大きな大会だ。
そのMG杯のファンタジーボム部門に一緒に出ないかというメッセージだった。
既に何度か開催されており、僕がつばロバの二人を調べた時に見た動画もMG杯だ。
『僕全然上手くないけど大丈夫ですか？』
『全然大丈夫！
俺とロバが固定で入るからカバーは任せてくれ！
あと強制じゃないから断ってくれても問題ないぞ！』
せっかく誘ってくれたんだから是非とも参加したい...
だが、このMG杯は練習配信や顔合わせ配信。
別チームとの練習試合など多くの時間を取られてしまう。
流石に僕だけの判断だけでは決定できないのでマネージャーさんに連絡を入れる。
『大丈夫です。
狐狐さんの意見を尊重しますよ』
なんと一瞬で許可が出た。
僕は椿さんに返信する、もちろん参加したいという返事だ。
まさか動画で見た大会に僕が出ることになるとは...
そう思いつつ、早速ファンボの練習を始めるのだった。
今日は普通の雑談配信をやる日だ。
MG杯は開催される時期が大体決まっているので、ファンの人達はもうすぐだなと思っているだろう。
だが、出場する人はメンバーが公式から発表されるまでは配信等で言ってはいけないそうだ。
僕はつい言ってしまわないようにMG杯の話題は避けることにした。
既に待機場には多くの人が僕の配信を待ってくれている。
いつものルーティンの深呼吸をして配信開始ボタンを押す。
【雑談】推しの話をしたい狐【九尾狐狐】配信中
@九尾狐狐 Monster Live三期生
今日は語りたい気分です！
一緒に盛り上がりましょう！
#狐狐ライブ
「ここにちは〜」
【ここにちは！】
【狐狐ちゃんの推し語りだと聞いて】
【ここにちは〜】
【ここにちは〜！】
いつものようにココ友のみんなが挨拶を返してくれる。
「皆さん、一期生の先輩達がコンビニとコラボしたの知ってますか？」
【遂に来たかって感じだよな】
【コンビニでルドラさん見て発狂しかけたw】
【コラボ知らなくて運転中コンビニ凝視しちゃって事故りかけた】
【コンビニの服着てるみんなめっちゃよかった...】
実は少し前から一期生が大手コンビニとコラボし、コンビニ前の看板には制服姿の一期生が描かれているのだ。
対象商品を買うとくじでハンカチやカードサイズのブロマイドがもらえる。
一番のあたりは制服姿の限定ミニフィギュアだ。
「僕もコラボしてるコンビニ行きたいんですよね...」
【あ...】
【もしかして、田舎】
【狐狐ちゃんこそ行ってほしいのにw】
【狐狐ちゃん専用のコラボコンビニ建てようw】
「本当に羨ましすぎる...
だってまず看板の絵だけで何枚の写真撮れるのか...
しかも対象商品買ったらグッズついてくるんですよね！？
めちゃくちゃ欲しい...
でも絶対転売からは買わないです。
推しでお金稼がれるとか...とここまでにしましょうか。
とにかくどうにかしてコンビニ限定グッズは手に入れます」
【勢いがすごいw】
【被ったグッズあげたいw】
【俺はルドラさんのハンカチ出た】
【ニコさんのハンカチもデザイン良かったぞ】
「羨ましい...
大切に使うか飾って下さいね...」
【血涙流してそうw】
【マジで狐狐ちゃんの住んでる山にコンビニ建ててあげて...】
【いっそ運営から直接貰っちゃえば？】
「確かに運営さんにお願いすればもらえる可能性はあると思いますけど、やっぱり自分の手で手に入れたいじゃないですか...
それに他のファンの人達に申し訳ないです」
【俺だったら運営に言っちゃうな〜】
【流石狐狐ちゃんw】
【ここまで自グループへの愛強いVtuberいないんじゃね？w】
【やっぱりちゃんとしたオタクの狐だ...】
「いやぁ...
画像使っていいって許可もらってるので出します。
...このフィギュア本当に可愛い、可愛すぎる。
ルドラさんがコンビニ店員やってたら毎日寄ります」
【マジで行きそうなんだよなw】
【絶対行くよな〜】
【狐狐ちゃん破産するまで物買いそう】
「コラボコンビニ行くために遠出するしかないのかな...
また電車に乗らないといけない...」
【狐狐ちゃん...初めての都会...うっ...】
【奈女々ちゃんが雑談で話してたけど、マジで狐狐ちゃん可愛そうだったw】
【ボロボロになった狐狐ちゃんのイラストあったけど、めっちゃ保護欲掻き立てられたw】
「僕も多分同じイラスト見たんですけど、大体合ってましたよ...
都会はヤバいところでした」
【今度オフコラボしに行く時は充電しとこうな...】
【モバイルバッテリーもね...】
「はい...気を付けます...」
気付けば配信が終わる時間。
僕はMG杯のことは上手く内緒にできたと思いながら配信を終えようとしていた。
そんな時、コメントがMG杯の話になってしまう。
「そうですね、時期的にMG杯開催されますね。
椿さんとローバーさんのチームがやっぱり気になります。
僕が二人を知ったきっかけがMG杯なので」
【狐狐ちゃん頑張ってね！】
【つばロバ狐狐がまた見れるの嬉しい】
【あと二人が誰になるかだよな〜】
おかしい、明らかに僕がつばロバのチームに入ることがバレている。
振り返ってみるが僕が話した記憶はない。
「え、ぼ、僕がつつ椿さんのチームに...？」
【バラしてるようなもんで草】
【その反応は確定なのよ】
【まあ、椿がバラしたんだけどな】
「えぇ！？椿さんバラしたんですか！？」
【あいつ嬉しそうに雑談枠でバラしてたぞw】
【オーナーにめっちゃ怒られてたw】
【よほど嬉しかったんやろな】
椿⭐︎【ごめん、言っちゃった】
【狐狐ちゃん参加してくれるやったーって言ってた】
【おるやんけ】
【おい狐狐ちゃんはバラさなかったぞ】
【椿君口軽いってよく言われない？】
椿⭐︎【嬉しかったんだからしゃーない！】
「椿さん...これ連帯責任とかないですよね...？」
【椿見捨てられて草】
【明らかに壁ができたなw】
【はい、チーム崩壊です】
椿⭐︎【狐狐ちゃんごめんよ〜！！！！！】
「バレたなら仕方ないです。
ということで、次のMG杯に僕も出ます！
応援よろしくお願いしますね」
配信を終えるが、コメントでは椿さんがいつものように視聴者に叩かれていた。
叩かれると言っても、視聴者と椿さんがいつもやるプロレスみたいな物だ。
流石に炎上ほどではない、と思う。
僕のコメント欄が落ち着くのはもう少し経ってからだった。
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