101話 十万人記念!④
次はドクロちゃんと通話が繋がる。
通話部屋の入室音とほぼ同時に声が聞こえた。
「狐狐ちゃん、十万人おめでとう...!」
「ドクロちゃんありがとう!」
「十万人本当にすごい。
狐狐ちゃんも立派になったね...」
「お、お母さん目線...?」
「うん、お母さん的存在だからね」
【確かに狐狐ちゃんが初めて懐いたの三期生達だもんな】
【懐くってw】
【最初の狐狐ちゃん見たら懐くって意味分かると思うw】
「それにしても十万人って想像できないね」
「想像できない...」
「それだけ多くのココ友がいるんだから、自信持って頑張って...!」
「うん、頑張る!」
「それじゃ私はこれで、まだまだ話したい人いっぱいいると思うから」
「来てくれてありがとう!」
「うん、またね」
ドクロちゃんはそう言い残して通話部屋を後にする。
するとすぐに次の通話が掛かってきた。
鳴子ちゃんが通話部屋が空いた瞬間を狙っていたのだろう。
「狐狐ちゃんおめでとう!」
ドクロちゃんと同様、入室と同時に声がした。
「ありがとう!」
「狐狐ちゃんがものすごく立派に見えるわね〜...
成長する子供を見る親ってこんな気持ちなのかしらね」
「ドクロちゃんもだけど、みんな親目線だね」
「当たり前じゃない、狐狐ちゃんがこの世界にデビューする前を知っているんだもの。
あの頃の狐狐ちゃんは放っておけなかったわね...
今もだけれど」
「し、心配しすぎ...」
「それくらい大切にしたい仲間なのよ。
これからも仲良くして欲しいわ」
「あ、あ、当たり前じゃん!」
【照れてるw】
【声裏返ったぞw】
【てぇてぇな〜】
【Monster Liveあったかすぎないか?】
自分でも顔が熱くなっているのが分かる。
かっこいい感じの言葉を恥ずかしがらずに言えるなんて...
「またオフコラボしたいわね。
そうそう、私の五万人記念のプレゼント覚えてるかしら?」
「確か、鳴子ちゃんがやりたい企画を運営さんがサポートしてくれるやつだよね?」
「ええ、正解よ」
「え、もしかしてオフコラボで使うの...?」
「ふふふ、それは秘密よ」
【マ?】
【次のオフいつだ!?】
【狐狐ちゃんもう一回都会へ行くw】
「期待しててね!
じゃあ私はここら辺で失礼するわ」
「う、うん!来てくれてありがとう!」
「ええ、また一緒にゲームでもしましょうね」
次のオフコラボで何かしらの企画をすると予告するような言葉を残して、鳴子ちゃんは通話を切った。
楽しみがまたひとつ増えた僕はより一層口角が上がってしまう。
次に繋がったのはパンさんだ。
パンさんは今日別の企画で配信をしていたはずなのだが...
「もしもし?聞こえるかしら」
「聞こえてるよ!」
「嬉しそうね、まあ実際十万人は凄いもの。
ちゃんとファンのみんなに感謝しなさいよ」
「もちろん感謝してるよ!」
「それでいいわ、私達は支えてくれる人がいないといけない存在なんだから。
天狗になっちゃダメだからね。
......狐狐ちゃんは狐だけど」
「へへ、うん、狐です...」
【パンちゃんかなりしっかり者なんよな】
【マジで努力家】
【ダンス練習配信とかするVtuberほかにおらんぞw】
「とにかく!
ここがゴールじゃないわよ、もっともっと上を目指しなさいね!
私は忙しいから切るわよ」
「うん!カラオケ頑張ってね!」
「な!?い、言われなくても頑張るわよ!」
【流石狐、配信スケジュール把握済みだった】
【今カラオケの最高点数を更新する企画やってるんだっけ?】
【そうそうw】
【カンペで狐狐ちゃんの記念配信があるって知った時の焦り方くっそ可愛かったw】
【「うそ!?狐狐ちゃん十万人記念配信してるの!?練習ばかりしてたからあること自体知らなかったんだけど...!!」←可愛いw】
水を飲んで少し休憩する。
なんだかんだでずっと話しているから多少は疲れていくのだ。
配信で慣れているとはいえ、記念配信はまた別の緊張感がある。
通知が届き、今度はニコさんと通話を繋げる。
「狐狐さん、聞こえていますか?」
「うん、聞こえてるよ」
「十万人おめでとうございます。
狐狐さんのことですので、なにかしなければと使命感に駆られていると思いますが、焦らないでください。
ファンの皆さんはあなたのそのままが好きな方々ですので、無理しないでくださいね。」
「わ、わかった!ありがとう!」
【ニコさん後輩が十万人行って喜んでるw】
【声色ガチで変わらんなw】
【よく話す時は嬉しい時だぞ】
【ニコさん嬉しいと口数増えるんだw】
「狐狐さんとはいろんなゲームで対戦したいと思っていますので、機会があればコラボしましょう」
「うん!ニコさんにはいつか勝ちたいからね!」
「いつでもお待ちしています。
では失礼します」
そう言ってニコさんは退出した。
声が一定なので少し怖い印象があるが、優しい先輩だ。
僕がデビューする前からニコさんが不器用なことは知っている。
何人かがコメントで【怖そう】と言っていたので、ニコさんの魅力を語りたかったが今日はせっかくの記念日。
グッと堪えて別の機会に語ることにする。
次に繋がったのはルーさんだ。
イヤホンの向こう側から、聴き慣れた声が聞こえる。
「やぁ狐狐ちゃん!
十万人おめでとう!
僕は先輩として誇らしいよ!」
「ありがとう!」
「同じ僕っ子だからつい親近感が湧いてしまってね、一番配信を見ていると言っても過言ではないくらい見ているよ!」
「あ、ありがとう...!」
「初めて出会った日が懐かしいね...
捨てられてしまった小動物のような狐狐ちゃんが今は十万人というファンや仲間に囲まれていると思うと僕も嬉しく思うんだ!」
「そうだね...感謝しても仕切れないよ...」
「恩返しするのは簡単さ!
今までのように配信で元気な狐狐ちゃんの姿を見せてあげれば、それだけでもファンは嬉しいものさ!そうだろう!!」
【ルーさんが仕切ってるw】
【当たり前だよなぁ!】
【狐狐ちゃんを見るだけで明日の仕事頑張れる】
【狐狐ちゃんも頑張ってるし俺も頑張ろうって思えるw】
【いつまでも元気でいてくれ】
ルーさんの声に誘われるように、コメントがどんどん流れる。
それを見て思わず泣きそうになってしまう。
「だから、これからも無理せず頑張ってほしい」
「も、もちろん!」
「じゃあ、僕はこれで失礼するよ」
「うん、来てくれてありがとう!」
「ああ!」
ルーさんとの通話を終え、コメント欄がざわつき始める。
僕もなんとなく気付いていた。
まだルドラさんと話していない。
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