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前世がコミュ障男な僕がVtuberになれますか?  作者: カムカム
2章 コミュ障、推しと並ぶ!?
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9話 推しと話すのが無料なんて嘘だ

何度かの配信を終え、僕は自分が成長していると実感していた。

ソロ配信のみではあるがしっかりと話せる様になり、コメントやトイッターでも褒められる。

今ならコラボでも話せるかもしれない、そう思っていた時ちょうど良いタイミングでマネージャーから連絡が入った。


『Monster Liveで一期生、二期生、三期生のコラボ企画を計画しています。

来週末は配信できますか?』

『はい、できます。

Monster Live全員でコラボになるんですか?』

『正確にはランダムで三人四組に分かれて配信を行います。

またリレー形式の配信になります。

大人数のコラボは準備に時間がかかるのでクリスマスくらいの大きなイベントの時に行う予定です』

『了解しました。

もうコラボ相手は決まってるんですか?』

『はい、狐狐さんはルドラさんとリンさんです』

「うえぇ!?」


運命の悪戯なのか奇跡なのか、最推しのルドラさんとコラボすることになり鼓動が早まる。

嬉しい反面、凄まじい緊張が襲う。

も、文字が打てない...手が震える...

打ち間違いや誤字、変換ミスを修正しながらようやく返信する。


『ルドラ先輩とリン先輩ですね、了解しました』

『大好きな先輩とコラボですね、おめでとうございます』

『バレてるんですね...』

『初配信でMonster Live全員を語っている中でもルドラさんへの愛が一番重かったので、視聴者の皆さんも気付いていると思いますよ』

『本当ですか...』

『コラボ前日までには通話で少し話し合いをしておいて下さいね。

先輩との会話に慣れる事と配信事故を防止する為でもありますので』

『分かりました』


ルドラさんとリンさんのシャベルIDを教えてもらって、連絡は以上となった。

シャベルを起動し、ルドラさんにフレンド申請を飛ばそうと思ったのだがすでにルドラさんからフレンド申請が来ていた。

もちろんリンさんからも来ている。

僕は承認ボタンを押し、フレンド欄に二人が追加されたのを確認した。

すると、リンさんがシャベルを起動していたのかフレンドになった瞬間、コラボグループに招待してくれる。

迷う事なく招待を受け、コラボグループに入場した。


・九尾狐狐が入場しました

『よろしくお願いします』

『はーい、よろしくねー♪』


すぐにリンさんからの返事が書き込まれる。

ちなみにルドラさんはオフラインになっている為、今はいないのだろう。


『どうする?二人で少しお話しする?』


そのチャットにビクリと体を震わせる。

最推しがルドラさんというだけで、他のMonster Liveの先輩達もみんな推しているのだ。

推しと二人きりで話すなんて...

だからといって今度コラボするのだ、断るわけにはいかない...

僕は一歩踏み出す意志で返信した。


『お願いします』

『よし!それじゃ通話に入っておくねー』

『了解しました』


お話しする?の返事がお願いしますって何だ...

返事を間違えたと思いながらも通話に入場する。


「やっほー、リンだよ」

「は、はじめまして...九尾狐狐、です...」

「もー、そんなに緊張しなくてもいいよー?」

「いや、えと...緊張します...すみません...」

「大丈夫大丈夫ー、謝らなくていいよ?

楽しくが一番だから、話すのキツかったら言ってねー、先輩としてしっかりフォローするよ!」

「あ、ありがとうございます...」


いつもはゆったりと一定に話すリンさんだがどこか嬉しそうな様子が聞き取れた。

先輩になれたことが嬉しいのだろうか。


リンさんはおっとり系の性格で人気なVtuberだ。

「首を長くして待ってたー?リンだよー」の挨拶に【首が長いのはお前じゃい】と視聴者がツッコむのが定番の流れになっている。

配信は雑談やほのぼのしたゲームがメインなのだが、たまにマゾゲーとも言われる理不尽なゲームを長時間耐久配信している。

常人なら台パン必須のゲームを顔色ひとつ変えずクリアまでやり遂げるという鋼の精神力を持つ。


『すまない、今から通話に入る。

狐狐も来ているみたいだな、よろしく頼むぞ』


リンさんが相変わらずのマイペースな雑談で話を振ってくれていると、チャットにルドラさんからの書き込みがあった。

どうやら今から通話に来るみたいだ、僕はこの前の配信の様に興奮してしまわない様に落ち着けと自分に言い聞かせる。


「狐狐ちゃんは本当にMonster Liveのみんなが好きねー」

「は、はい!皆さん本当にキラキラしてて、元気をもらっています...」

「今は狐狐ちゃんも元気をあげる側なんだよー?」

「そうですね...頑張ります...!」

「(ポロン♪)い、遅れてしまった」


ルドラさんが通話部屋に入場してきた。

入場音と同時に話した為、前半が聞こえなかったが「すまない」だろう。

イヤホン越しに聞こえる推しの声、ルドラさんが今画面の向こうにいる。

そう考えるともう僕の心臓は暴れて止まることはない。


「ぁっあのう...は、はじめまして...九尾こっ狐狐って言います...」

「あぁ、知っているとも。

はじめましてラゴン・ルドラだ、よろしく頼む」

「ヒャァ...」

「あははー、狐狐ちゃん可愛いねー」

「ほ、本物のルドラさんだ...」

「あ、あぁ私が本物のルドラだが...

...!本物のということは偽物の私がいるのか!?」

「そうじゃなくて、ルドラちゃんの大ファンなんだよ、狐狐ちゃんはねー」


ちなみに一期生、二期生共に仲が良くほとんどの人がオフコラボをしたことがあるほどだ。

先輩後輩の関係よりも親友と言った関係の方がしっくりくる。


「そ、そうなのか?」

「は、はいぃ...」

「狐狐ちゃんの配信でも言ってたじゃない」

「すまない...あまりにも早口で聞き取れなかったのでな...

そうか、私の大ファン...なのか...」

「はい...」

「うむ、嬉しいなありがとう、狐狐」

「はぅっ...」


あまりの衝撃に椅子から転げ落ちる。

大きな音を立てて崩れ落ちた僕、通話にも音が入ったのか耳から外れたイヤホンから心配するルドラさんの声が聞こえた。

推しに心配されている...

僕は明日死ぬのだろうか...

座り直した僕は、天国に繋がっているとも思えるイヤホンを付け直した。

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