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第 零ノ肆話  江戸崩壊

 螢空は廊下を周りを警戒しながら歩いていた。そして、 一つの戸にたどり着いた。中は暗いようだった。

 早く決着をつけないとやばい、 出血の方も・・・

 内心でそんな言葉をつぶやきながら戸を開けようとしていた。

 どうして螢空はそんなに急いでいるのか。それは出血の量でもあったのだが江戸城の今の状況にもあった。

 城に侵入するにはどうしても城の周りの役人達の目をあざむく必要があった。その手段として城の一部を爆破させたのだ。螢空は後の事のために役人や幕府を出入りする人々の中にスパイを潜ませておいたのだった。そのスパイを使って爆弾を取りつけたのだ。そして、 その爆弾によって火が城全体に広がりつつあったからだ。

 戸を開けるとやはり暗かった。

 さっきの部屋同様何も見えない。しかし、 窓の外はすごく明るかった。火がすぐそこまで迫ってきているのだ。

 部屋には誰もいないのか? そう思った瞬間であった。窓外の明かりで人の影が一瞬見える。それを見た瞬間勢い良くその影に殴りかかった。


 「とぉくぅがぁわぁぁぁぁ! 」


 すごい怒声を上げて顔には怒りが浮かんでいた。しかし、 殴りかかった手は他の男に阻まれる。


 「邪魔をするな! 」


 男を投げ飛ばそうとしたが逆に投げ飛ばされてしまった。


 ドスンッ!

 すごい音だった。たぶんこの下の部屋に人がいたらすごい驚いただろう。この男はそこまで力が強いのだ。

 そして、 螢空は気付く。男の足元に血だらけの死体が転がっていることに・・・。目は飛び出て腹は引き裂かれて足は一本ない。指は全て逆の方向に曲がっていた。螢空に恐怖が襲い掛かる。手足が震えて、 息がしずらくなる。それを見ていた家康は・・・


 「哀れだの。螢空。反逆などという馬鹿なことをするのが悪いのだ。潔くわしにこき使

われていれば良かったものを。本当、人とは哀れで仕方がないの。なぁ××××」


 家康が読んだ名前に反応を見せたのは隣の男ではなく螢空のほうであった。


 「えっ! 」


 声が出てしまった。驚きを隠せない表情を浮かべている。隣の男が口を開いた。


 「ほんと、 哀れだな。上杉螢空」


 言葉には感情がこもっていない。それを聞いた瞬間、螢空は声を上げた。


 「裏切ったのか! 俺を・・・俺を裏切ったのかぁぁぁぁぁぁぁ! 」


 螢空が大声で叫んでも男は反応しなかった。その代わり、 徳川が話し始めた。


 「ここらが潮時だ。しかし、 お前には真実を教えてやろう。「俺が生きている」とまで聞いたそうだな・・・けれど、 これには続きがある。今の将軍は家光ではない。ずっとこのわしがやってきたのだ。」

 「フフフフッハハハハハハハッ!」

 「ッ!」


 螢空は不敵に笑いだした。それに少し驚いたように徳川が反応する。


 「馬鹿かお前はこの俺が気付いていないとでも思ったか? フフッハハハハッ! へ吐が出る。徳川家康。将軍が初代から変わっていないなど。一人の人間が考えることは順序が決まってくるからな」


 自信に満ちた声で言うがそれに対抗するように徳川は言う。


 「だがここまではよめなかっただろう。城なんていうものは標的に過ぎないということに本当の江戸城は江戸全体の地下にある。ここを破壊しても無駄だ」


 「クックックックッ」


 小声で笑い、顔に笑みを浮かべて言った。


 「それくらい知っている。お前は知っているか? 江戸の住民には明日の午後まで非難していろと命じてある。江戸に人はいない。そしてもう一つお前は知らない。俺と一緒に城に侵入したのは全部で十人しかいないということを」

 「なっ・・・なんだと! しかし、 通達では二百を超えていると・・・・・・まさかっ・・・お前! 」


 徳川は意表を突かれたように目を見開いた。


 「そう、 俺の部下がそう通達した。そして、 八人は無事脱出。残ったのは俺と××××だけだ。そして、 そいつは裏切ったから、 反逆者は俺一人。」

 「お前俺と一緒に死ぬつもりか! しかし、 死ぬのはお前だけだ! 」


 徳川が螢空に跳びかかろうとする。そこで地面が揺れ始め、大きな音がした。


 ドンッ!


 「なっ! 何だ! 」


 徳川は驚きの声を上げて江戸城から、 江戸を見る。

 すると、 江戸全体が下に沈んで火の海と化していた。


 「お前! 地下を爆破させおったな! 」


 怒りの声を上げ、 螢空を見やる。


 「フフフッ! さぁ俺と一緒に死ぬがいい。徳川家康」


 江戸が崩れていく中、 螢空は笑みを浮かべたまま徳川を哀れ見た。


 「クソォォ! わしの計画がぁぁ! 」


 徳川は螢空の胸倉をつかんで揺らしながら言う。


 「わしのぉ! わしのぉ! ・・・・・・・・・・・・殺してやる・・・・・・殺してやるぅ! 」


 胸倉をつかんでいた手が首元にいく。螢空の体を窓側に押し付け、 手にぎゅっと力を込めていく。


 「殺してやる殺してやる殺してやるぅ! 」


 そして、螢空を窓から落とした。どんどん落ちていく。


 「ハハハハァァ! 馬〜鹿! ハハハハハハッハッハッハハハハ・・・・・・・・・・・・」


 地面に落ちるまで螢空は笑い続け、 その声は江戸全体に響いたらしい。

 これはまだ先の話である。

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