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第參拾參話  赤い眼・紋章

 「第特ノ型…雷神(らいしん)


 雷がこいつを…包んでいく…

 驚愕の表情を浮かべながら神流のまわりの雷に目がいってしまう。


 「光は音よりも早い。お前の人生……ここで終わりだ」


 バチチチチチッ! ドーン!!

 雷が檜都に向かって大きな音を鳴らした。弾ける地面。その地面の破片が空中に飛ぶ。

 煙が周りを包み。何も見ることができない。しかし、 神流は言った。


 「かたは付いた」


 煙が少しずつ霽れていく中、 神流は背を向けて歩き出そうとした。

 その刹那。


 「神流…………てめぇ……」


 神流が振り向く。その先には。


 「…螢空……お前も千葉に…」


 螢空の後ろにいるのは檜都であった。頭から血が出ている。神流の雷神という技を少しくらってしまったのだろう。


 「…上…杉……」

 「螢空(ほたるぞら)を使って防いだか…」

 「裏切りが表へ出たな……神流…」


 螢空は螢空(ほたるぞら)を展開したまま、 神流を睨みながら言う。

 しかし、 神流はそれを聞いて嗤った。


 「ははは…いつまで経ってもめでたい奴だな…螢空。俺は裏切ってはいない。お前らが俺を信じたのが悪いんだ」

 「……これ以上、 話しても無駄なようだな…」

 「無駄な時間だ……早くそいつを片付けなくちゃならねぇのに」


 こいつは零だな……なら螢空と蛇空でかたを付ける。

 その瞬間。

 ドクン


 『力を欲するか…螢空……』


 頭の中で声が響く。

 何なんだ……これは…………


 『おぬしのせいで周りのものが傷ついていく』


 …やめろ……

 その瞬間。視界が赤色に染まった。


 「うわぁぁぁぁぁぁ!! 」


 何かが…俺に……入ってくる……


 「ぁぁぁあぁあぁぁぁぁぁ! ………………」


 螢空の目が赤くなり、 紋章が濃くなって浮かび上がる。

 そして、 その赤い眼で神流を見た。


 「………………拗れろ……」


 やばい! 

 瞬間に危険を悟り、 神流は横へ素早く避ける。

 しかし、 避けた先には螢空がいた。

 なっ……いつのまに…


 「…弱いな……」


 螢空の手に光の刀が現れる。

 神速光刃だと!! 

 神流は光の刀を避けようとするが早すぎて避けられずに腹部を刺された。


 「ぐっ……」


 口から血を吐き出し、 地面に倒れこんだ。

 そして、 赤い眼が次に捉えたものは。


 「次はおぬしだな。怪我をしているようだな。すぐに殺せそうだ」


 キィーン

 耳鳴りにも似たような音がして、 辺りを光が包み込んだ。


 「龍殺(りゅうせつ)…」


 グサグサッザク

 檜都に刺さる何本もの光の刃。脳天に突き刺さったものもある。檜都はもう…


 「お前…………助けに来たんじゃ……なかったのかよ…」


 苦難の表情を浮かべて立ち上がろうとする神流の問いに赤い眼の螢空は答える。


 「こいつは助けに来たんだろうな。けど、 我には関係ない」

 「はは……てめぇは誰だよ……」

 「我の存在なんて関係ないだろ? おぬしには()るか殺られるかの問題の筈だが? 」

 「そりゃそうだ」


 バチチチチッ

 神流の周りに雷が走る。


 「ほう、 雷か……」


 雷が神流の右手に集中していく。しかし、 雷が強くなるのに比例して腹部からは大量の血が流れ出る。


 「それ(・・)をするにはすごい量の集中力と力がいるようだな。だから傷から血が噴き出す。このままではおぬしが先に死ぬぞ」

 「死ぬかよ…………絶対に……」


 雷がどんどん集中していく……あれは螢空(ほたるぞら)でも防げない……かもしれない…………どっちみち発動しなきゃ致命傷は避けられない…

 螢空が螢空(ほたるぞら)を展開する。光の壁が螢空を守る。


 「これで終わりだ」


 右拳を螢空(ほたるぞら)めがけて思いっきりぶつけた。

 バチチチチチ

 ぶつかり合う二つの力。

 ピキ……ピキピキ…

 光の壁にひびが入っていく。

 螢空(ほたるぞら)でも歯が立たない……どうする……


 「焦ってるな…………大丈夫だ。すぐ、 楽にしてやる」


 ひびが更に大きくなっていく。

 螢空はその赤い眼を閉ざした。

 そして。 

 パリンッ

 空中に散っていく光の破片。

 バチチッバチチチッ

 右拳が螢空に向けて近づいていく。

 瞬間。

 瞼を開けて右拳をじっと見つめて言う。


 「…拗れろ……」


 やばい…右手を止めないと…………!! …………うっ……何だ…この感触…貫かれたような…

 ゆっくりと腹部の方を見る。


 「お……お前…」

 「焦りすぎだ。集中力が乱れたな。おぬし」


 腹部には光の刀が刺さっていた。神流の右手に異変はなかった。


 「蛇空は発動していない。嘘だよ。その量の血ではもう立てまい」

 「…く……そ…………」


 地面に倒れこむ神流。


 「おぬしの存在はこいつにとって良い者ではなかったからな。死んでもらって構わない。では、 我はこれで……」


 螢空の赤かった眼が普通の色を取り戻す。


 「……神流………………お前何で血だらけで……」


 周りを見渡す螢空の視線が止まる。


 「…何で……檜都が……!! ……お前がやったのか! 神流!! 」

 「…くっ……お前…覚えて……ないのか…? 」


 カランカラン

 足音が聞こえ、 後ろを振り向く螢空。そこには。


 「随分と血を流しているのォ。神流」


 螢空はそいつを見て目を見開き、 叫んだ。


 「徳川!!! 」


 その時、 頭の中からあいつの声が聞こえてきた。


 『復讐に全てを注ぎ込むのか…………そんな事はさせない……力の有り方を考えろ…』


 その言葉を聞いた瞬間、 体が金縛りにあったみたいに動かなくなった。

 どうなってるんだ……これは…


 「体を動かすことができないのか。それは都合がいいのう」


 徳川は右手で俺の腹を殴った。その時、 体に何かが走る。

 これは……雷…


 「さよならだ。螢空。次に会う時は…━━━」


 地面に倒れて気が薄れていった。

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