表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/47

第參拾貮話  雷

 「久保が…………」

 「そうだ。俺たちが江戸城に突入する数日前に…」


 木下の目から涙が零れ落ちる。


 「…螢空も多分死んだ……」

 「…………神流……席を……外してもらえない……かな……」


 神流はすぐに立ち上がり、 部屋を出て行く。戸を閉めると木下の泣き声が静かに聞こえた。行動は木下を心配しているようであったが戸を閉めたとたん神流の口元は歪んだ。



                   *



 『多分、 蟻だ。力が強くなる。みんなはちょっと宿場を探しといてくれ』


 久保と木下だけが部屋に残り、 久保がきつそうに話し始める。


 『木下…お前は江戸には来るな』

 『何言ってんのよ。行くわよ。久保がなんと言おうと』

 『江戸に来るのはいいが俺の後を追うのはやめろ』


 久保の声は少し低い声になった。きょとんとした木下に対して久保が続ける。


 『俺は今の時代…いや、 年に疑問を持ってる。だから俺は少し、 幕府に探りを入れる。俺の言ってる意味が分かるな。幕府に探りを入れるということは死と同等だ。俺が万が一、 死んだとき俺が調べていたことや幕府のことに手を出すな』


 苦難の表情を浮かべる久保。その久保に対して木下は怒鳴る。


 『駄目よ! あなたの命が危なすぎる!! 』

 『だから!! その命を懸けるって言ってんだ!! 』


 怒鳴り返した久保は咳き込む。木下はその一言で言い返せなくなった。


 『お前を傷つけたくわないんだ……』

 『何で……そこまで……』

 『お前が……お前のことが……』


 久保の顔がどんどん赤くなっていく。


 『…好きだからだ……』

 『えっ? 』


 木下の顔もどんどん赤くなった。


 『…このことは忘れてくれ……あまり幕府に近づくな……』


 戸のほうに向かっていく久保。

 最後に見たのはその久保の背中だった。



                   *



 「うっ…………自分で勝手に死んで…………勝手に死んで……逝かないでよ……馬鹿……」


 木下の泣き声は部屋に響いた。



                   :



 人とは愚かな生き物だな…人を求めるが故に悲しみが来ると言うのにいつまでたっても教訓をしない。そして、 普通に人を信じることができる。人とは信じられない。俺が偽者のように……

 廊下を歩きながら口元を歪める神流。すると、 壁にもたれている檜都がいた。そこを通り過ぎる神流に対して口にした。


 「お前……間諜か……? 」


 神流はその言葉を聞いて足を止めた。


 「…何言っている……檜都…」


 二人とも睨みあう。


 「いや……勘違いかもしれねぇ……すまんな……」


 檜都は壁にゆだねていた背中を壁から離して歩き出した。

 その刹那。

 腰に差していた刀を抜き、 神流に刃を向けた。


 「どういうつもりだ」


 神流は刃を向けれられても何も動じはしなかった。


 「何も動じないのはこういうことは想定していたからか? それとも………………心力を持っているのか……? 」


 神流は目を見開き、 檜都の刀を掴んだ。手に血が滲んでいく。


 「表へ出よう。檜都。話したいことがある」

 「奇遇だな……俺もだよ」


 神流はそっと刀から手を離す。檜都はその刀を鞘へとしまった。



                   *



 「ここなら誰も来ないな……俺を殺すか? 清田」


 そこは誰も来そうにない。暗い路地裏。

 神流は檜都を睨みながら口にする。


 「皆には新撰組にやられたと言っておいてやるよ」


 二人とも刀の柄に手を伸ばし、 鞘から刀を抜く。


 「やられはしない。お前みたいな奴に負けねぇよ」

 「そうだな…だから本気でやらせてもらう」

 「光栄だ」


 同時に足に力を入れる。

 キンッ

 ぶつかり合う刀。しかし、 神流は。


 「第伍ノ型…光刃」


 神流の刀を持っていないもう一方の手に光の刀が現れる。


 「やはり使えるのか…」

 「終わりだよ……檜都…」


 その瞬間。

 檜都の口元が歪む。


 「いや……お前が終わりだ…」


 その刹那。

 神流の背中に無数の光の刃が刺さる。


 「な……何…………故……」


 床に手を付き、 倒れる。

 口から零れ落ちるのは赤い血。


 「俺が使えないという根拠はない」

 「くっ……」


 そうか…龍殺(りゅうせつ)を……

 神流は背中の刃を一つ一つ抜きながら立ち上がる。


 「お前も……(ゼロ)か……本当に手加減は……必要ないようだな…」


 全ての光の刃を抜き終わると神流の眼つきが変わった。


 「分かった……お前には使ってやるよ……」


 何をする気だ…こいつ…

 檜都は手に持っていた刀を鞘にしまう。


 「第伍ノ型…光刃」


 檜都の手に光の刀が現れる。


 「零の能力も武器だ。使う奴によって強さも異なる。長く使えば壊れる奴もいるし、 逆に強くなる奴もいる。お前と俺とでは使った年月が違う」


 檜都の額に汗が滲む。

 ごくりと息を飲み込み。視点を神流から逸らさない。


 「お前に見せてやるよ。俺の型を」


 神流の周りに何か光るもの、 無数がはしる。

 こ…これは……!!


 「第特ノ型…雷神(らいしん)


 雷がこいつを…包んでいく…

 驚愕の表情を浮かべながら神流のまわりの雷に目がいってしまう。


 「光は音よりも早い。お前の人生……ここで終わりだ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ