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第  拾陸話  江戸へ

 そのまま朝になり、 神流の寝ている部屋へ行く。


 「神流、 俺は江戸に行くよ。ここにいても何も始まらないから…自分で進んでいかないといけないと思うから……」


 そんなことを言っても寝ている神流に届くことはない。


 「じゃあ…」


 そして、 静かな部屋から戸を開けて出て行った。


                   *


 「これからどこに行くんですか…吏雄(りお)さん」


 女が問う。それに反応した前の男が振り返る。


 「北海道にもう用はなくなった。だから、 江戸に行く」


 男の目は不意に瞳孔がレモン型になり、 それが三つ交差しているものになった。


                   *


 木下は部屋の中で考え事をしていた。

 古松の裏切り…違う、 裏切ったのは私達だ……古松は何も悪くない。悪いのは私。けど、 それを望む…

 もうあいつは使えないわね…

 嫌そうな顔をして立ち上がり、 口を開く。


 「人を殺める……生かすことが難しいからって逃げてるだけね…」


                   *


 「隊長…私に用って…」


 その瞬間、 俺を連れてきていた男が俺の両腕をつかみ、 縛りつけた。

 えっ!

 そして、 男は俺を押し倒して部屋の中へ入れた。


 「蔵沢…ごめんね……あなたは私の手のひらで遊ばされていたのよ…」

 「えっ……何のことですか? 」

 「全然尻尾を出さなかったでしょう? 私…」

 「……なっ何を…」

 「とぼけないで!! あなたは間諜なんでしょう? 」


 なっ何故バレた。


 「あなたはこまめに報告をしすぎなのよ…ま、 どっちにしろあなたは最初から疑われていたってことね…もう終わり……」


 木下は置いてあった鎖鎌を取り出して、 刃の部分に首をつきたてる。


 「さようなら。あなたが報告していた男には私が挨拶をしておくわ…」


 ザンッ

 返り血を浴びた木下の顔はやはり殺めることに戸惑っていた。


                   *


 螢空は木下とある話をして、 江戸に向かうべくここを立ち去ろうとした。そのときだった。


 「待って!! 」


 後ろを振り向くそこにいたのは木下とその部下数名であった。


 「私も行く」

 「えっ…どうしてですか……」

 「いいから行くの! さぁ早く行くわよ」


 よく分からないが木下と部下(数名)も行くことになってしまった。こんな大人数で動いて良いのだろうかと思いながら先を行く。

 何日かかるのだろうか? そう思えば他の藩へ行くのは初めてだと気が付く。どんな風景なんだろう。山もたくさん越えなければならないのだろうか? そんな期待もむなしく裏切られた。


 「ここを通れと? 」

 「そう」


 驚きの表情を浮かべて前をゆっくりと見直す。


 「本当に? 」

 「そう。早く行って」


 そこは地下であった。暗く酸素の薄そうな不気味な空洞。しかし、 所々には蝋燭がある。


 「何でこんなものが……地面の下に? 」

 「あるものはあるんだもの。しょうがないわよ」


 そんな簡単に……けど、 今の世の中は常識は通じないか…不死もいたし、 変な能力を使う奴もいたし、 認めたくないけど認めざる終えないのか…


 「ほら、 さっさと歩きなさいよ」


 木下から押され少し速くなる。入り口から離れていくほど暑くなり、 酸素も薄くなる。後ろの木下はすっごい苛々していた。

 あいつ…こんなに暑くなるって言ってなかったじゃない…くっそ〜暑すぎる〜


                   *


 「徳川は地下を造っていた。わけは分からない。けど、 それを武力の増量に使用しているのは確かだと思う」


 久保が言った言葉にはてなを出して木下は問う。


 「増量? 」

 「そう。武士の武力は各藩に分布されているだろう? それをあいつは壊そうとしている」

 「何で? 自分で分布してなんで壊す必要があるのよ…それなら初めから分布しなきゃいいじゃない…」


 久保はふうっとため息をつき、 話を続ける。


 「そんなこと俺にも分からない…けど、 あいつは銃などもその地下を使って運ばせているのも確かだ! 新撰組だって動いているんだただ事じゃないのは一目瞭然だろう」

 「……」

 「お前江戸にその地下を通って来い。知っておいた方がいいだろう。入り口は教えてやる━━━━」


                  *



 こんなところを何時間も通れないわよ…だからといって十人で外を歩くわけにも行かないし…どうしよう……ん〜暑くて頭が回らない…


 「んーーーーー……」


 後ろから木下の唸り声が聞こえてくる。俺も上げたいところだ。けど、まだ一時間もたっていないのにこんなのでは絶対に江戸へはいけない。九州の生まれだったら耐えられたかもな・・・


 「もういや…上から行きましょう」

 「えっ!!」


 早っ! いくらなんでも早すぎだろ! 東北を越えるくらいまでは行こうよ! 

 さすがに身分の差があるので上の言葉は口に出せない。あとは木下の部下が反対するのを願うまでだ。反対しろ〜反対しろ〜


 「あの隊長、 東北を越えるくらいまでは行きましょうよ」


 来た! それを認めろ木下!


 「ああ!! 何か言った? 私は隊長よ? 指図しないで! 」


 おいぃぃぃぃぃぃ!! 何言ってんだ木下ぁ! 暑さに負けすぎだ!

 やばい! 今の木下は頭が回ってない! 何とかして止めなくては! 


 「ハァ…ハァ……」


 暑い…考えすぎた…もうもたない…

 汗をだらだらと流しながら視界が霞んでいく…

 視界が霞みながらも歩き続け、 足は進んでいた。


 「久保たちは…ハァハァ…よくこんなところで戦えたわ…」


 どういうことだ? 久保? 江戸の隊長か…そいつと接触したという事か…しかし、 戦った? 誰と?

 何個も疑問がわいてくる。その疑問を歩きながらまとめていき、 木下に問う。


 「戦った? 」


 木下が気付き、 話を始める。


 「そういえば皆聞いてないわね…一休みしましょう。私の部下も聞いたほうがいいと思うから…それと、 名前と顔も覚えてもらいたいしね」


 俺と木下が止まり座ると、 その後ろの部下達も止まって座った。

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