第 拾參話 新撰組
彩捺は敬語を使うのが基本だ。それは感情に身を任せたりすることが少ないと分かる。
それに比べて彩捺と戦っている男は彩捺とは真逆だ。
彩捺は戦いのタイプには3つ種類があると考えている。
一つ目は感情に少し、 まかせるタイプ。
こういう奴は土壇場に強い方。怒ったときやリミッターが外れたりしたときなどに感情にまかせる。しかし、 そのときには冷静な判断を失いやすい。
二つ目は感情にまかせっぱなしのタイプ。
そいつの人格の問題で強さは変わるが、 ほとんどの奴が野性の本能を持ち合わせていることが多い。
三つ目は感情にまかせないタイプ。
冷静な判断が出来る上に頭で考えながら行動できる。しかし、 深読みしすぎることもある。
この三つの種類があるのだが彩捺と戦っている男は断然二つ目のだろう。
普通の二つ目のタイプであれば、 少々てこずりはするが彩捺であれば勝てるだろう。
しかし、普通のと戦っている男には違いがある。
能力だ。それを踏まえた上で彩捺はどんなことを考えたのだろうか・・・
「衝撃はなんていうものは斬れるもの」
空中に飛んだ彩捺が木の枝にも似た刀を構えて、 彩捺に向かって飛んできている衝撃波をザンッと斬る。
先ほどまで笑みを浮かべていた男が驚きの表情を浮かべて、 空中から自分の方へ来る彩捺に向けて何回も衝撃波を投げる。それを素早く斬っていく彩捺。
そして、 彩捺と男がぶつかり合った。
彩捺は刀の先を矛のようにして、 男は手でそれを受け止めた。
「うっ! 」
男が痛そうに言い、 歯を食いしばってそれを我慢する。
彩捺は地面に降り、 男の手に突き刺さっている刀を痛みを感じさせるようにゆっくりと抜いた。
左手で防いだので、 左手から血がどくどく出ていた。
刀についた血を地面に振り、 彩捺は言う。
「左手の神経が切断されたようですね・・・まぁ、 血管を斬られなくて良かったでしょう? 」
彩捺が言ったとおり、 手のひらには大きな血管と神経がある。その大きな血管を傷つけると大量出血死になる確立が高い。
一方、 神経を傷つけると、 手が麻痺することがある。
この二つの大きな神経や官が通っている手の平は傷つけると大変なことになる。
「恐怖・・・・・・しましたか? 」
「・・・・・・いいや」
男の体は震えていた。手からは血がだらだらと出ている。
「武者震いがしてるよ・・・・・・・・・・・・だが・・・もうここまでのようだね・・・」
男は後ろを向いた。その方向には・・・・・・
*
体が少し軽くなったような気がした。
はぁ・・・いよいよ死ぬのか・・・・・・
その瞬間、 すごい痛みが戻ってきて、薄っすらと目を開けることが出来た。
けど、まだぼやけていて良く見えない。
だんだんとそのぼやけがなくなっていって、 その場の光景が広がった。
「うっ! 」
うめき声を上げると、 視線が俺の方へ来た。
そして、 俺は初めてそいつを認識することが出来た。
驚きの表情を浮かべて久保は言う。
「し・・・ん・・・撰・・・・・・組・・・・・・だと? 」
必死に声を上げて言う。
「久保・・・・・・目が覚めたか・・・で・・・お前らのこの状況は? 」
久保は顔をうつむける。その行動を見て、 新撰組一番組長、 沖田総司は今の状況を察した様であった。
「そうか・・・・・・で・・・後、 どれくらいの事を隠している。古松 籠」
その言葉を聞いた後、 古松はフッと笑い、 口を開いた。
「フフフフフフフッ! 沖田・・・君は今どこまで予想がつきましたか・・・」
沖田は古松の目を睨みつけて言った。
「この場では、 お前が敵だと言うことまで・・・・・・・・・・・・そして、 お前の目を見て何か隠していると分かった」
古松を睨みつけていた目を久保に移して続けた。
「お前ら・・・いつから崩れ始めたんだ? 」
久保は黙り込んで、 変わりに古松が話し始めた。
「初めからつながってなどいなかったんですよ。こいつらとは・・・
そして、 君達は徳川には信用されていない」
笑みを浮かべて淡々と語る古松に対して沖田は言う。
「徳川に信用されてても信用されてなくてもそんなことどっちでもいい。俺が聞きたいのはお前は俺の敵かどうかだ」
「少し厄介なことになってきました・・・」
古松の言葉と同時に沖田は刀を抜き始める。
「引き上げますよ!! 」
古松の大きな声は地下全体に響き渡り、 彩捺たちのところまで届いた。
:
「ちっ! 引き上げか・・・じゃあまたね、 え〜と〜、 あっ彩捺ちゃん」
男は江戸の地下の広い空間へ走り始めた。
男や武士達が去ると彩捺は言った。
「気持ち悪い・・・・・・あの人・・・」
その場に座り、 頭を抱えた。
:
「では、 また会えると良いですね。久保 之翠と沖田 総司」
古松も武士達の後についていくように行ってしまった。
「ありがとうな・・・・・・助けてくれて・・・」
久保が寝た転んだまま言う。それを見下していた沖田は後ろを向き、 広い空間に行きながら言った。
「礼には及ばん」
沖田の背中が離れていく中、 久保が叫んだ。
「待て!! 」
その声に反応してゆっくりと振り返る沖田。そして、 久保が話を続けた。
「お前は・・・お前はそのまま幕府側でいいのか・・・」
沖田はしばしの間、 黙りこみ言った。
「分かっていない」
「えっ! 」
久保は思わず驚きの声を上げた。言葉に驚いたのではなく、 裏でしていた幕府の行為を知っていたと分かったからである。
「これから起こることをお前らは分かっていない。明治時代に入ってはいけない」
それを言うと沖田はまた歩き始めた。沖田の言葉はその時から久保の胸にずっと引っ掛かった。
*
古松は地下から出ると以上に日差しが眩しく感じた。その日差しを手で遮りながら古松は内心で呟いた。
沖田・・・いや、 新撰組・・・これから起こることを予測して僕を逃がしたのですか・・・・・・全く・・・頭のいい連中は嫌いですね。
日差しの眩しさに慣れてくると古松は歩き始めた。その後には、 武士達も・・・




