第 拾壹話 螢空
「自分で探せ、上杉螢空。自分の過去は自分で知るんだ。」
:
『君は力を手に入れた。』
「君は誰?」
『・・・・・・』
「誰?」
『螢』
「ほたる?」
『君は螢を手に入れた。君は何を望む?』
「平和。」
『君は馬鹿だな。平和なんて偽りにすぎない。平和を作ることは不可能ではないが作れたとしてもそれは偽りだ。』
「違うよ。人々が平和を望めば、明日を望めば。」
『君はまだ分かっていない。それを実現させるためにどれだけの犠牲が出るか。』
「・・・・・」
『君の考えはまだ子供だ。』
「それでも、皆が望むのであれば。」
『命を捨てると?』
「明日のために。」
『それが出来ると?』
「ああ。」
『君の覚悟受け取った。』
*
「なっ!!何だお前は!!」
銃を持った男の手が震え始め驚きの声を上げた。
螢空の前には光り輝く透明な壁みたいなものがあった。その壁は螢空を中心にドーム型に包んでいた。四方八方から撃っても光の壁に遮られるだろう。
「くそっ!!お前らも撃て!撃て!!」
男が後ろにいる部下に指示を出し銃を撃たせた。
バンッババンッバンッバンッ
何回も撃つが光の壁に遮られる。
「何だ。これは。」
光の壁の正体は螢空本人も分かっていなかった。
「あれは・・・・」
神流を運び終え、戻ってきた木下が驚きの声を漏らした。
「螢空!!」
「ほたるぞら?」
木下の部下が疑問気に繰り返す。
「螢、蜂、蝶、蚊、蟻、蜘、蛾、蛇、蠏、蠍」
「何ですか?それは?」
「幕府は裏ですごい実験をしていた時期があったのよ。それで、その実験をを受けた実験体はある薬を飲まされたの。」
「ある薬?」
「そう、それは不死の薬。」
「不死!!」
「けど、成功例はなかったと聞いたわ。」
「じゃあ、あの上杉って言う奴は・・・・」
「成功例はなかっただけで実験体にされた人が八人生きていることは分かっているわ。それよりも不死の薬を飲まされて生き残った人たちには特別な能力が身についていると聞いたの。
能力は未知数だけど、私は螢の能力だけは徳川から教えてもらったわ。その能力は絶対防御の境界、名前は螢空。」
「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
銃を持った男達は立ち上がり、銃を捨てて全員逃げ出した。
そこには、悲しい目をして遠くを見ていた目の瞳孔はまだレモン型のままだった。そして不意に不死の男のほうへ走り、言った。
「箕芭。お前は・・・・・・・・」
「ゴフッ!!」
不死の男はまだかろうじて生きているようだった。
「う・・・・・上杉・・・お前に俺の・・・・能力を・・・・・やる・・」
手を一生懸命に伸ばし、螢空の額を触り、手を止めた。
「これで・・・・・・お前・・・の・・・・・望みは叶う・・・・そして・・・俺は・・・・お前の中で・・生・・・き続・・・ける・・これは・・・俺の・願いでも・・・・・ある・・・頼む・・・」
「その願い受け取った。」
「あり・・・が・・・と・・・・・ぅ・・・」
螢空の瞳孔はレモン型が二つ、交差しているものになった。
そして、その場から立ち上がり、誰とも口を利かずに建物の中へと戻り、休んだ。
*
起きるともう朝になっていて、周りはすごく静かで、夢を見た。
:
「ここは?」
そこは暗いところ、何も見えない中、声だけが聞こえる。
『蛇」
「蛇?」
『君があの男からもらったのは蛇空。』
「へびぞら・・・・」
『君はもう終わりだ。』
「なにが・・」
『・・・・・』
「何が終わりなんだ!!お前」
『・・・・・』
「お前は誰なんだ!!答えろ!!」
『君が俺のことを知ろうとしないように僕も自分のことは教えない。』
「知ろうとしてる!!」
『さようなら』
*
「逃げてきただと?」
「でも、しょうがなかったんだ。あいつ銃が利かなかった。」
「銃が利かなかった?そんなことあるわけないだろ!!」
「嘘じゃない。本当に利かなかったんだ!!そいつの前には光の壁みたいなものがあって!!」
「光の壁?」
「そうだ!!」
「・・・・・そうか、そいつはたぶん螢だな。」
「螢?」
「おいっ!!もう一回そいつのところ行ってそいつをここに持って来い。」
「そんなの無理です。兄貴!!」
「泣き言を抜かすんじゃねえよ!!黙ってつれて来い。」
「はいー。」
男はしょんぼりとした背中を見せながら部屋を後にした。
「能力者か・・・・・箕芭も死んだし、そいつを入れるか?」
*
昨日。
「ぐはっ!!」
鍼霞が血を吐いて後方へ倒れこんだ。
「鍼霞!!」
上杉が鍼霞に駆け寄る。鍼霞は気絶していた。
「くそっ!あいつ能力者かよ!!」
後ろの櫂坐が声を上げて言う。
櫂坐たちの前にいる奴は瞳孔がレモン型になっている。そう、櫂坐たちの前にいる奴は能力者だったのだ。
「は〜君の血はおいしくないね。」
「お前は蚊空か・・・」
「そうだけど、それが何か?」
「こいつの血、全部吸いやがったのか!!」
「三分の一ぐらいかな?まずいからいっぱい吸えなかったよ。血はね女のほうがおいしいんだ。だから、そこの人のを吸いたいな〜」
男は彩捺を見て言った。そして、彩捺は一歩前へ出た。
「おい、彩捺っ!お前がやらなくていいんだぞ。」
「いいえ。私がやります。あっちは私を指定しているのですから。」
「いいね〜。女は。」




