第 拾話 覚醒
「冷静になれ上杉!こいつはまだ息がある。今すぐ処置すればなんとかなる。」
叫ぶ螢空を木下が冷静に止めた。
「ああ分かった。神流を頼む。」
「お前あいつとやる気か?今の見たろ。あいつは死なない。」
「俺が殺す。」
「殺せないから言ってんだろ!冷静になれって!」
「黙れ。お前から殺すぞ木下。」
螢空の目は瞳孔が開いていた。
不死の男は自分で地面に落ちていた頭をを手に取り、首にくっつけた。そして、みるみる首はつながっていき元に戻った。細胞を活性化する事ができるのだろう。
「あ〜、それにしても痛かったな。だが、こいつのおかげで早く掃除をする事が出来た。」
そして、螢空を見た。すると、男は驚きの表情を浮かべた。
こいつのX粒子はなんだ。周りに気が満ちているようだ。やばい、こいつ覚醒しやがったのか。くそ、X粒子は探るしかないか。
螢空は地面を勢い良く蹴り、男に突っ込む。
何!!見えない!!
バン!!
早いこぶしが男の腹へと吸い込まれる。
メリメリメリ
肋が何本も折れた音がした。
目で・・・・・・追いきれない・・・
「ぐはぁぁぁ!」
男は門へと吹っ飛ばされた。
ドン!!
門が壊れその門に向かって螢空は歩き出す。
男は生きているが再生が追いついていない。
螢空は男を殴ろうと構え男の腹に向けてもう一発入れようとした。が
「ねじれろぉぉ!!」
男の瞳孔がレモンの形に変化した。
その時螢空の右手は弾き飛ばされた。
何!!何故ねじれない!!そうか、お前も俺と同等の力を俺にぶつけようとしたからか。
螢空は驚きの表情を浮かべて右拳を見ている。
「ふはははっはっはっ!!面白いぞ名前はなんていうんだ実験体。」
男は起き上がるがまだ腹は回復していないようだった。口からは血を出している。
「上杉螢空。お前の名前は。」
「俺には名前なんかない。これからが本番だ上杉螢空。」
*
「じゃあ僕達も始めましょうか。」
「何を。」
「このままじっとしていたってつまらないだけでしょう。久保 之翠。」
古松は久保の腕を下にすり抜けて久保の目の前に立った。
「僕が本気を出せば君なんてすぐに殺せます。」
古松は腰に差した二本の刀を抜き構えた。
「それはどうかな。古松 籠。」
久保も腰に差した刀を抜き構える。
「では。」
刀と刀がぶつかり合い激しい音がする。
キンッ!!カンッ!!キンッ!!
「どうしたよすぐ殺せるんじゃなかったのか?」
古松に向けて刀を振るが片方の刀に遮られた。
「本気を出していませんから。」
もう一本の刀で久保に向けて刀を振るがそれを紙一重でよけて久保は後ろに身を退いた。
「本気を出せよ。古松。」
「君こそ。」
*
「ねじれろぉぉぉぉぉぉ!!」
男の瞳孔がレモンのような形になり衝撃波のようなものが螢空めがけて飛んでいく。それを紙一重でよける。その後ろにあった建物が壊れた。
ドーン!!
「チッ!!」
螢空は舌打ちをして男に突っ込んだ。
「くそぉ!!ねじれろぉぉぉ!!」
また、螢空の拳は弾き飛ばされた。しかし、今度は驚かずに男に向かって蹴りを入れた。
「ゴフッ!」
口から血を出して倒れそうになる。その血は螢空が蹴って血が出たのではなかった。
「うっうあっく・・・・・薬・・・・」
男は胸を押さえ苦しみだし懐にある薬を取り出して呑み始めた。
「うっ・・・・はぁはぁはぁ・・・・・・・俺はもう長くはないようだ。一方的に話す聞いてくれ。俺は物心ついたときにどこかにつれてこられた。そこで俺は地獄を見た。不死の薬を勝手に飲まされいろいろな実験をされた。生きたまま臓器を引き抜かれ、体を焼かれ、両手両足を引き裂かれたくさんの実験を奴らにされた。だがそれと引き換えに力を手に入れた。人をねじる能力だ。そして、俺に実験をした幕府の言いなりになってこれまでやってきた。しかし、実験体でありながら普通に生きているお前を見て悔しかった。」
「実験体?俺が・・・・・何の!!」
「お前が何の実験をされたのかは俺にもわからない。でも、薬も飲まずに生きているお前が羨ましかった。もう俺は生きてはいけない。もう無理だ。お前とは戦えない。同じ苦しみを知っているお前とは戦えない。」
「けど、お前は何百人の人を殺してきた。何故だ。」
「・・・・・・・・」
「何故答えられない!!」
螢空は男の胸倉をつかんで男を問いただした。
「くそ!!何でお前達は!!」
「・・・・・・・・」
「答えろ!!」
バンッ
男の後ろから銃声が響いた。
「何もしゃべるなと言ったろ。しかも仕事が片付いていないではないか。箕芭。」
銃を持っている男が言った。
「えっ!!」
螢空の手には血がついていた。撃たれたのは螢空の前にいた男だった。
「ゴフッ!!」
口から血を吐き出し目は生気を失いつつあった。
「おい!!お前不死じゃないのかよ!!」
「不死・・・は・・・不・・完全・・・だ・・・」
「おいっ死ぬなよ!!おいっ!!箕芭って言ったっけ。死ぬなよ箕芭!!」
「はは・・・・・・・もう・・・駄目・・・だ・・・・・何百人も・・・殺し・・・てきた・・罰・・・・・だ」
「馬鹿が。敵に情けなどかけるからだ。」
銃を持った男が馬鹿にし、もう一度銃を構える。
箕芭は目を閉じ、息をしなくなった。
螢空は箕芭を地面に置き立ち上がった。
「はっ!!何をする気だ。銃と素手では決着はついている。」
螢空は銃を持っている男のほうへ歩き始めた。
「なっ何をする気だ。」
男は銃を構え螢空に向けて銃の引き鉄を引いた。
バンッ




