第7話 ちょっと遊びに行ってくるね~
この話で転生篇終了です。次回は奏多の回顧録1を挟んで新章に入ります。
「さ・く・らちゅわぁ~ん~、遊びましょ~♪ 」
奏多がゼノバゼロス神と、真琴の今後を話し合っていた同時刻、当の真琴と言えば、自身の現世日本でのペットである桜を相手に(桜には大変迷惑な)、本人にとっては至福の時を過ごしていた。
「いやー、死んで転生した時はヤバイって思ったけど、
なんだよ〜俺って凄くついてるじゃん!
なぁー桜ー、心配してた桜を偶然呼び寄せられたし、なんか奏多もこっち来たしさ。
奏多はああ見えて、俺の弟的存在だから、急に俺が居なくなったら、
わんわん泣いてただろうしな〜ウンウン良かった良かった」
なんとも自己中でお気楽モードの真琴だが、本人は至って本気だ。
奏多にしてみれば、誰が弟なんだと反論するところだろうが……。
「う~ん、なんだい?桜。最近のお気に入りの遊びは糞飛ばしかな?でもな、俺こんな姿だから桜の糞がさ、身体にベッタベタに引っ付くんだよ。『キーキーキー』うん?この姿がお気に召さないと?だよねー、まってな」
大きさ的にも、桜の世話をするにも、この姿では不便だと、気分はかなり微妙だが前世の姿に変身。もっともカラフルロングヘアーバージョンだが、今まで変化した中では、この姿が一番まともで、諦めもつく姿だった。
「桜~どうかな?不満だろうが我慢してな。『キキュー』分かってくれるか、流石は俺の桜だな! 」
「おおーい真琴、なに独り言を、大きな声でほざいてるんだ。何時からお前は、ハムスターと会話が出来る様になったんだ。まさか、神獣スキルのおかげだとかぬかすんじゃないだろうな?それにしても、前世の真琴の姿に、髪をアニメもびっくり、カラフルロングにしたら、こんな姿になりましたって感じだな。」
「ふんっ、ほっとけよ。好きでこんな姿になってんじゃねーよ」
「まあ、そうだな、それより真琴、ちょっと話がある」
「ん?ゼノバゼロス様に、俺のスキルの使用方法とか聞いた?
神様なのに、説明が下手なんだよ、奏多教えろ~ 」
「わかった、わかった、焦るな。ゼノバゼロス様に許可を貰って、俺もしばらく、こっちにいることに決めたんだ、これからも傍にいるから、ゆっくり教える。だいたい、神様の教え方云々じゃない、真琴の覚えの悪さだし」
「なぁーに言ってやがる!俺は、興味の無いことは覚えにくい……って、
こっちに残る?マジ!いいの?」
「ああ、せっかく呼び出して貰ったことだしな、それに俺と桜は、お前と違って死んでいないから、いつでも日本に帰れるみたいだし、少しも気にしなくていいぞ」
「奏多はそうだろうが、桜も帰れると言われると悲しいな。でも、これから神様と二人っきりかと思ったら、暇そうで憂鬱だったけど安心だ」
「お前、それは流石に失礼だと思うぞ。ゼノバゼロス様はかなりお忙しい身だから、お前にそうそう構えないんだ。だから俺が真琴の傍で、色々教えるように、取り図って貰ったんだぞ」
「えっ、そうなの? まぁ、どうでもいいや、ねー桜ちゃぁーん」
「真琴、お前って奴は……、それから、今すぐって訳じゃないけど、ゼノバゼロス様が、俺たちで地球以外の星々を巡る視察に行って欲しいって話だ、出発までにスキルや能力の把握と使い方をマスターするから、そのつもりでいろよ」
「へー、地球以外の星へ観光旅行に行くのか、それはいいね。桜も楽しみだねぇー、
準備は全て奏多に任せる、好きにしていいぞ」
相変わらず全然人の話を聞いていない、自分の欲望と本能に忠実な真琴に、何を言ってもダメだと諦める奏多であった。
◇◇◇◇◇
「これでどうだ!おっ? いい感じに出来たんじゃない。次はこれをこうしてっと。
おー完璧でしょう」
奏多の特訓の成果で、擬態を使いこなせる様になった真琴は、カラフル姿に一応さよなら出来るが、不満もあった。様々な種族に擬態出来るが、人間姿は前世で見た他人への擬態であり、真琴オリジナルのイケメン姿は、どうあっても実現出来なかった。変身魔法の場合は、かならずカラフル仕様であり、現世日本でお馴染みの真琴本人+カラフルロングヘアーは、どうあっても変えようがなかった。
一度見たもの、はどんな姿でも擬態出来る真琴が、望む姿には変身出来ない。無論現世で見たアイドルに擬態は出来るが、それは真琴本来の姿ではないので、流石の真琴も諦めるしかなかった。
変身以外は、全て完璧に使いこなせてる真琴、その裏で、真琴の幼馴染である奏多の献身的な努力があったのだが、本人は俺って天才!と自画自賛を繰り返していた。
今後の旅に備え、ペットの桜を真琴のお付きにと、ゼノバゼロス神の力で獣人化し、獣人化したその姿が理知的なイケメンで、優秀な頭脳を持っていたことは、お気楽な真琴にも幾分衝撃を与えたが、流石俺の桜で終わる。
しかしそれとは別に、獣人化した桜の性別が『男』だったのが、メスだと信じて桜と名付けた真琴には、信じられない出来事だった。
もっとも、奏多と同じ系統のイケメンだったことが幸いして、オスでも真琴からの愛情は消え去ることはなかったようだ。そして、桜の獣人化と同時期に、奏多も真琴並みのスキルを授けられ、真琴のお付きと保護者として、異世界の旅に出発することになる。
【名 前】神代 奏多
【種 族】人 族(異世界人)
【称 号】宇宙神獣バニボー真琴の調教兼保護者代理
【体 力】 SSS
【魔 力】 S
【スキル】時空間移動、高速飛行魔法、
絶対防御、既存魔法の無限使用(魔力量範囲内)
【加 護】宇宙創造神ゼノバゼロスの加護
【名 前】桜
【種 族】獣人族(異世界ハムスター)
【称 号】宇宙神獣バニボー真琴の従者
【体 力】 S
【防御力】 SSS
【スキル】絶対防御、時空間移動、高速飛行魔法
【加 護】宇宙神獣バニボー
ゼノバゼロス神から授けられた奏多の能力は、やはり神々に匹敵する能力であった。
桜の能力は、真琴が与えられる、精一杯の能力値と、防御に至っては、愛を感じさせる守り能力オーバーになっていた。
「準備は終わったようじゃの、奏多、桜、二人とも真琴をよろしく頼むぞ。
これはワシの代理の証じゃ、これに念じれば、いつでもワシと連絡が取れるからの」
ゼノバゼロス神から、与えられた指輪型の証は、神様特性マジックアイテムで、
行き先を示すナビも搭載された、近代的な優れものであったが、何故か真琴には無かった。
「ゼノバゼロス様!なんで俺に無いんですかっ!
なにそれ?神様のいじめっ!?ううっ~~ないわ~」
「フォフォフォ、何を言うかと思えば。真琴は別じゃ、
特製の証を用意してあるぞ、ほれ、これじゃて」
ゼノバゼロス神が真琴に差し出したのは何故か首輪。
ただしかなり豪華で煌びやかな造りに、真琴の名前入りだったりする。
機能も奏多達の機能と遜色なく、逆に迷子センサー付きで、
ゼノバゼロス神のペットにふさわしい逸品になっていた。
「わぁー、ゼノバゼロス様ありがとう!すんごいキレイだなー
やっぱり俺様くらいになると、これくらいのモノを身につけないとね」
「フォフォフォ、そうじゃの真琴に似合うと思っての、
久々に気合を入れて創ったぞ、気に入ったようでなりよりじゃ」
「うんうん、最高!キラキラ光って宝石がいっぱいだよ~」
「「………… 」」
あれってホンマもののペットアイテムなんじゃ?
奏多と桜は互いに相手を見やり、二人同時に理解する。
自分たちには付いていない迷子機能が全て物語っていた。
きっとあれは、現世で言うところのマイクロチップなのだろう。
それも高性能な追跡ナビが搭載されている一品らしい。
元々現世でペットだった桜は、特に微妙な気持ちになっていた。
ゼノバゼロス様から獣人化してもらった影響か、元々の出来か、
全ての能力が向上し、飼い主の真琴より頭脳的な面では、
かなり上になってしまった為だ。
「ああ、桜、気にしなくていいからな」
「…… はい、ただ、真琴様のはしゃぐ姿が、何故か切ないです」
「ふっ、桜、分かってないな。たとえ自分がペットになったとしても、アイツは自分にプラスになることは全て受け入れる、ある意味ニブすぎる程、大らかな精神と心の持ち主だ、気にするだけ無駄だし一切心配無用だ」
「奏多様がそう、おっしゃるならきっとそうなのでしょう。
まだ、真琴様との付き合いは二年弱ですから、理解出来るよう努力いたします」
「桜は真面目だな、まぁ、これからは三人でいることが殆どだから、嫌でもなれてくるだろうさ」
「三人ともそろそろよいか、星を巡る順番は証に入っておるからの」
「「はい、行ってきます」」
「じゃ、ゼノバゼロス様、ちょっと遊びに行ってくるね~ 」
「「「………… 」」」
ゼノバゼロス神が指し示す星へ、一瞬にして旅立つ三人。
何故か旅立つ真琴の姿は、本人が嫌がっていた、『宇宙神獣バニボー』だった。
転移後、最初の星に着いた時、真琴らしい言い分に呆れる、事になる奏多と桜であった。
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