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第20話 微かな災厄の兆し

 

「ここが首都フォルトザか、やっぱりそれなりに大きい街みたいだな」


 奏多は首都フォルトザを囲むように、優に10m近く高さはあろうかと思える塀を見上げて呟いていた。

 桜はそれに同意を示しながら、一緒に順番を待つ真琴を気遣っていた。


「あの大門を抜けるまでもうしばらく掛かりそうです、

 真琴様お疲れではありませんか?」


『平気だよ桜、ありがとね。でもこの塀の高さって普通なのかな?

 それに並んでいる人達の様子が変じゃない? (ウッキュー)

 ほら、マシュマロもそうだって』


 すっかり真琴の肩が定位置になったウカルガンのマシュマロまで、そうだよと言うようにタイミングよく鳴き声を上げていた。

 それを聞いていた奏多が周りを見れば、真琴が言っていることも、あながち外れていないような雰囲気が漂っていた。

 自分たちより後方に並んでいる者たちは、皆かなり憔悴し焦っている様子も見受けられ、混雑に拍車がかかっているようだった。


「本当だな、どうしたんだろうな、何かあるのか聞いてみるか」


 奏多は自分たちと同じように、並んでいる馬車の一台に座っている御者にに声を掛けてみた。


「すみません、街に入る行列はいつもこんなに混雑しているのですか」


「ああ、違うぞ、今回が特別だ。2,3日前からヴァーロスとの国境近くで、

 見たこともない化け物が現れたって噂が流れてな、噂を聞きつけた近村の村人達が、

 一斉に逃げ出して来たからだろうな」


「化け物ですか? ハルフルでそんな噂は聞かなかったな」


「お前さんたちハルフルから来たのか、だったら噂を聞かないのも無理ないな、

 化け物が出た場所はハルフルとは反対側のサイハル村だそうだ」


 奏多は御者の男にお礼を言いながら、今聞いた話を二人に話して聞かせた。


挿絵(By みてみん)


「化け物ですか、なんだかとても物騒ですね、

 この星はそんなモノとは無縁だと思っていましたが…… 」


『ホントだね、ここは原種族の星で種族の棲み分けしてて、

 ヤバかった破壊神?だっけか、あれだって魔族の星で掃除したのにね』


「まぁ、大丈夫だとは思うが、一応気を付けて行動しようぜ」


 3人三様であれこれ話をしているうちに、首都フォルトザに無事に到着した。


『思ったより賑わってるね。でも兵隊が多くない?

 気のせいだと思いたいけど、さっきの化け物騒動かな』


 フォルトザの街の賑やかさを感心していた真琴達は、物々しい出で立ちで、今自分たちが入ってきた門から、一糸乱れぬ隊列を組んだ兵士達と、冒険者じゃないかと思われる風体の者たちが数十人、兵士の後を付いて行くように出ていく所に出くわした。


「あれってやっぱり、さっき聞いた化け物を退治しに行くんだろうか」


「そのようですね」(ウキュキュー)


『今回の件はアム神に何も言われていないから、きっとこの国で解決できることなんだよ。

 そんなこと気にしても始まらないよ、早く街の観光行にレッツゴー』


 相変わらず暢気な真琴は、今見た兵士たちや冒険者のことなど、すっかり頭から抜けたように桜に声を掛け、ウキュキュと話しているマシュマロを肩に乗せながら、街の探検に突入して行った。


「おい、そんなに急がなくても街は逃げないぞ真琴、

 お? あれは遺跡のミニチュアではないか! 真琴急げーーー!! 」


『およよ、奏多のマニアック病が始まりました。

 適当な所で奏多は放置しようか』


「真琴様、何やら甘い匂いがいたしませんか、あのお店のようです」


 真琴と桜は、果物を焼いたその上に、蜂蜜をたっぷりかけたお菓子の店に入り込み、まるで女子会のようにキャッキャ言いながら、期待していなかったお菓子に舌鼓を打っていた。


『マシュマロ、ほらあ~ん(ウキュウーモグモグ)美味しいね。

 桜、この果物美味しいね、日本じゃみない果物だよね』


「そうですね、イチゴやブドウの酸味に似ている気もしますが、

 糖度はずっと高いですね、バナナとリンゴの甘さに酸味をプラスした味でしょうか」


『ああ、言われてみればそんな感じかもね。奏多も一緒にたべ…… ? 』


 ド、ガゴン!!!!!ゴオーーーグラグラグラ


「『?????』」(キュッ!)


 大きな振動と音にビックリして、食べるのを中断してしまった真琴たちの所に、大慌てで奏多が飛び込んできた。


「真琴、大変だ! 塀の外側に大きな噴煙が舞い上がっているぞ。

 さっきの兵士たちが向かった方角だと思うが…… 」


 ガゴン!!!!!ゴオーーー

 ドゴン!ダダダンド~~~~ングラグラグラ


 奏多が話し終わらない内に、第二波とでも言うような爆音と振動が再び響き渡り、辺りは騒然とした雰囲気に飲み込まれて行くのであった。



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