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第17話 もう、歩きたくなーい

涼しくなれば書き始める……

すんません、なめてますわ。

意気揚々とハルフルを旅立った真琴だったが、そこはやはり真琴である、直ぐに音を上げ始めて二人相手に駄々を捏ね始める。


『奏多~桜~もう歩きたくないー』


「真琴、まだハルフル出てから1時間だぞ、首都があるフォルトザは馬車で2日の距離だ。

急いで歩いたって4、5日はかかるんだから頑張れよ」


「真琴様、私のポケットでおやすみになられますか? 」


「桜、あんまり甘やかすな。この世界に来てからの真琴は、怠け癖が目に余るんだからな」


『奏多くん、ボクが不憫ではないのかね? 現世であんなにイカしていたのにこの有様だ。

親友をもう少し労わってくれても良いのではないかね』


「はは、何言ってんの? イカしてたこと無いよな? 俺の記憶には無いな。

モテたいが口癖だったろう、転生したショックで記憶喪失ですか」


『もおーなによ、奏多のイケずー 夢見させてよ~』


「はいはい、ほら行くぞ。飯が不味くてハルフル出て来たのはお前だろうが。

勢いで出てくるからこんなことになるんだぞ」


『ういっす、しかし歩くのは効率悪いな。奏多、車だそうか? 』


「車? ダメだ車の免許ないだろう? 」


『ええっ、やっぱりダメ? 異世界なんだからいいじゃんか。 

奏多は堅物だねえ。あっ、運転手付きならOKじゃん? 』


「却下!! 一々説明するのも面倒だしエンジン音が煩い。

いくら神様の精神干渉があるとは言っても、なるべくこの世界に合わせるぞ、

今後の事を考えて馬車はあってもいいかもな」


『馬車か、二頭立てでいいかな。なんか希望ある? 』


「いや、全然わからないから真琴に任せる。桜もいいか? 」


「もちろんです。真琴様のご希望通りにして下さい。

それに私は、動物と話せますから馬車の御者も出来ると思います」


『わお! さすが俺の桜だな、御者は桜に任せるね。

じゃあ、桜に似合う馬車にしようかな~でも凛々しい感じの馬車もいいな』


真琴は何の気負いもなく馬車を思い浮かべ、右手を軽く振ったと同時に辺りにお馴染みの光が溢れ出す。

光の消えた後に現れたのは二頭立ての漆黒の大型馬車だった。


「凄い馬車だな、イギリス辺りの貴族の馬車って雰囲気だな。

馬は競馬で見かけるサラブレッドよりもがたいがしっかりしてて、

ばんえい競馬に出てくる馬に近い気がする。でもこの印は…… 」


『奏多、相変わらずオヤジ臭い博識ありがとう。そして鋭い! 

実は馬車に馴染みが無くてさ、ゼノバゼロス様を思い浮かべた瞬間に

この馬車が現れたんだよね。きっとこの馬車ゼノバゼロス様のだよ』


「「…… 」ああ確かにそうだ、この印は真琴の首輪と同じだな」


『でしょう? やっぱりゼノバゼロス様のだよね。

きっと心配して送ってくれたんだね。優しいなぁー』


奏多と桜は本当にそうなんだろうかと、疑問を感じながら、懸命にも言葉にすることはなかった。


そして当のゼノバゼロス神は、危うく真琴にお取り寄せされる寸前に気が付き、大慌てで馬車を転送していたのだ。


「フォフォフォ、ビックリしたわい。ワシを取り寄せしようとするとは、

我がペットながら油断出来んの、フォフォフォ」


マイペットの能力値の高さを知っていたゼノバゼロス神だったが、対象が自身となりかけたことで、最果ての宇宙空間で一人再認識しながら、暢気に笑っていたりする豪胆な神であった。



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