表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/23

第15話 そこはやっぱりプロでしょう~

食い意地のはったペットは動かないなー

 真琴が鉱山豚の串焼きに、猛烈な勢いで食の改善を求めていたが、それは氷山の一角に過ぎなかった。

 ハルフルの街に立ち並ぶ、飲食系の店で売られている食べ物のほとんどが、不味いのだ、激マズなのだ。

 真琴は露店で売っていた、リンゴに似た果実をシャリシャリと頬張りながら、ブツブツ文句を言っていた。


「真琴、 いい加減機嫌直せよ。口直しに日本産串焼きでも食べようぜ。

 桜、串焼きあったよな? 俺はネギまにするか。桜はどうする? 」


「私は先程の衝撃が抜けきっておりませんので、

 真琴様と同じく果物で結構です。真琴様? 何か召し上がりますか? 」


『…… それってどこの串焼きだっけ? 』


「確か駅前にあったやきとり〇吉じゃなかったか?

 よく俺のオヤジが一杯飲んでくる居酒屋の焼き鳥だな」


『んじゃ、目一杯たれのかかった豚バラと辛さが癖になる辛トンを

 10本ずつ頂戴。飲み物はコークでね』


 少し機嫌が直った真琴は、桜に用意してもらった焼き鳥を屋台裏の空きスペースを借り、

いつもの簡易テーブルセットで美味しそうに食べ始めた。


(((((じゅるじゅる。じゅるる。タラーリ、ごっくん)))))


 真琴達が焼き鳥や豚串をそれぞれモグモグと食べていると、絡み付くような視線をあちらこちらから感じ始めていた。その視線を受け止め見渡しながら、真琴は何故か安堵していた。


『…… ん? 食べる? 』


(((((コクコク)))))


 大きく頷く街の住人ら数人を手招きして、真琴は桜に用意して貰った焼き鳥を手渡してやった。


(((((うめぇー! なんだこれはぁー! )))))


『オゥ、良かったよ~ 味覚は正常だね』


「「??? 」」


『ああ、二人には何のことか分かんないよね。

 あんなにゲロ不味い食べ物を普通に食べてるからさ、

 この街の住人全て味覚障害でもあるかと思ったんだよ』


 真琴は二人にこの星が、宇宙で初めて生命を創り出した原始の星だから、種族そのものが未だ進化手前の存在ではないかと、少々危ぶんでいたことを話して聞かせた。


「なるほどな、言われてみれば有りえなくないな」


「そうですね。云わばこの星は地球人の祖先もいる星、

 生物としては完成されていても文明としては、

 発展していないように見えます」


『でしょう? やっぱり桜は俺が言いたいこと分かるね。

 この星はさ、今後も生まれる星の生物実験場や倉庫で、

 文化文明は二の次三の次、食なんて生きるのに不都合がなければ、

 全然発展させる必要が無いくらいだと思うんだよ』



 そんな珍しくも真面目に聞こえるやり取りをしつつ、三人は手を止めずに完食していた。

 消えて無くなった焼き鳥の串を、遠巻きに悲しく見つめる街の住民は、何故か三人から視線を外す事が出来なくなっていた。


『げに恐ろしきは、食なり』


「いや、食じゃねーよ。"人"ね? 使い方も違うぞ』


『分かってんよ! なんとなくだよ! 桜~~ 』


「はい真琴様、この場を和ませるテクですね 」


『…… ああ、まあ、そうね』



 そんなやり取りをしながら始まるのは、

《五感を呼び起せ"ハルフルの街"食への飽くなき挑戦》と、

銘打った真琴が始める改革だった。


 手始めに行ったのが、日本からスキル"お取り寄せ"でその道のプロを呼び出した。

 仕事中だったのか、焼き鳥のいい匂いをさせながらねじり鉢巻きをしたお兄ちゃんが、

目の前の現状にあたふたしていたが、そこは奏多と桜に丸投げしていた。


『お兄さん落ち着いた? 大丈夫だよー食の改革を手伝ってくれれば、直ぐに帰れるから』


 ともかく何故呼び出されたのか、焼き鳥屋店長に例のブツを食べて貰うことにした。


 《っうぐぅ、これは酷い味だな、バツゲームかこれは》


『でしょう? 街の人たちが哀れ過ぎてお兄さんに来てもらったんだ。

 必要なモノは何でも用意するよ』


 真琴は自身の食と観光を充実させる為に、思ってもいない事を並べ立て、

焼き鳥屋店長の感動を誘い、《五感を呼び起せ"ハルフルの街"食への飽くなき挑戦》の、

異世界スタッフ責任者を店長に任命していた。

 更に店長から、指名で呼び出された日本の店のスタッフ3人と、

何故か市販のたれを作っている会社の社員数人とフード研究者も数人呼び出され、

地球からの総勢十名による、食の大改善プロジェクトがここに始まった。


 ここからいよいよ、真琴が中心となった一大プロジェクトが始まると思ったが、やはりそこは真琴である、異世界に呼び出されたばかりの店長にオール丸投げしていた。


 店長に自分たちとの専用回線通信機を渡し、空いている土地に日本産大型プレハブ住宅を取り寄せ、プロジェクトスタッフの宿舎とした。

彼らの身の回りの世話は、真琴から貰った串焼きの虜になった住民が中心になり、取り計らってくれることになっていた。


誤字脱字等気になる箇所がありましたらご指摘頂けると嬉しいです。

感想など頂ければ飛び上がるほど嬉しいです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ