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泣き虫工藤君はこれから青春を謳歌する!??  作者: グッドリッチ忠勝
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 翌日教室に入ると、みんなの視線がこちらに集中する。

 特に声をかけられることもないのだが···。


 それにしても普段泣くときしか注目されない俺に視線が集まるのはなぜなのだろうか?

 変なキャラとしてみんなから認めてもらって人気になったのか? 

 いやそれはない。変というよりただのキモい奴で終わるだろう。

 それにしてもチラチラと見られ、コソコソと話をされると俺の風船より軟なハートには堪えるものだ。

朝から早々涙が流れてきた。


 あれ? 

 これは俺虐められてる? 

 不安に思いながらハマショウに尋ねる。


 「なあ? ハマショウよ、俺は何か悪いことでもしたのか? 人に恨まれるようなことはするなと昔から母に言われていたのだが」


 「げっ! 朝っぱらから泣いてんじゃねーかよ! 別にみんなお前の事を虐めたりしてるわけじゃねーよ、昨日帰りに2年の先輩に連れられてっただろ? みんなその事を話してるんだよ」


 そうだったのか!

 それなら安心だ!

 でも先輩に連れられてっただけでなぜ噂されなければならないのだろう?

 それは俺を連れていった先輩が原因だった。


 どうやら夏希先輩はこの学校でも3本指に入るほどの美女らしく、男女問わずファンが多いらしい。

 そんな先輩が泣き虫変人の俺を連れて行ったもんだから、みんな不思議に思っているそうだ。


 「連れられてったって言っても、生徒会に勧誘されただけなんだけど···。ハマショウよどうにかならんのか?」


 「俺がどうにかできるほどクラスに影響のある人間だったら、こんなとこでお前と話してねーよ」


 相変わらずズバズバと言う男だ。

 こんなやつだが顔だけはいいので他のクラスの女子から告白されることも多いらしい。


 まったくこんなやつは全世界の男の敵だ!

 こいつにはずっと俺と友達でいる呪いをかけてやる。

 せいぜい変なやつの友達というレッテルを貼られるといいさ!

 ···うん、自虐は悲しい。


 「まあ、おさまるまで待つしかないか···。 それで先輩が3本指に入るってことはあと2人いるってことだろ? どんな人なんだ?」


 「俺は興味ないからあんま知らないんだが、なんか三人の名前を取って夏秋冬かしゅんとうと呼ばれてるらしい」


 「うーんすごく微妙なネーミングセンスだな! 春がいないとこんなに締まらないのか」


 結局その日、1日中俺と夏希先輩の話題が途絶えることはなかった。


 放課後になると夏希先輩がどこからともなく教室に現れた。

 先輩に来てもらえるのはすごく嬉しいんだけど、今日の状況を見ていると、また根も葉もない噂を立てられてしまう。


 これでは俺の精神が持たない。

 というかすでにまた泣いている。

 泣きながら先輩に状況を話すことにした。


 「夏希先輩その···教室に来るのはちょっと···」


 「どうしてだね?なんか嫌な思いでもさせてしまったのだろうか?」


 「先輩が美人なんで来られるとみんな変に噂するんですよ」


 「私は気にしないが?」


 キョトンとした顔でこちらを見る先輩。

 気にしないとか俺が恋人でもいいんですか?

 有難くいただきますよ?

 それにしてもこの人は学校で自分がどう思われてるとか気にしていないのだろうか?

 まあ俺も今朝いろいろ知ったんですが。


 「とりあえず逃げたり、隠れたりしないんで生徒会室には先に行ってください!」

 

 「まあ、工藤君がそこまでこれからは言うならそうしよう」


 生徒会室に入ると昨日いなかった執行部の面々が着席していた。

 俺は先輩に言われるがまま自己紹介をすることになった。


 「く、工藤悟といいます!よ、宜しくお願いしましゅ」


 うん、俺は予想を裏切らない男だ。

 当然泣いてしまった。

 だがそんな俺を見て笑うこともなく執行部の人たちは温かく拍手をくれた。


 「工藤君ありがとう、じゃあこれから執行部の者たちを紹介するわ」


 机の左端から順に自己紹介をしていく執行部。

 最初はメガネをかけた、体格のいいマッチョな男子が自己紹介を始めた。


 「副会長の中根 隆史たかしだ! 僕も岡崎さんと同じ2年生なんだが気軽にたかしと呼んでくれたまえ!」


 なんか少し暑苦しい先輩だな。

 しかも先輩を気軽にたかしとか呼べるわけがないだろう。


 「あはは、中根先輩と呼びます···」


 次は隣にいるポニーテールの少し色黒い女子が自己紹介を始める。


 「2年生で書記の鳳来美鈴ほうらいみすずよ! 宜しくね工藤くん!」


 おー! この人は普通そうだ中根先輩の出現でちょっと変な人ばっかりじゃないのお父さんと思った俺、ごめんなさい。


 「鳳来先輩宜しくお願いします!」

 

 「んーなんか鳳来先輩だとどっかの番長ぽいから、おねーちゃんって呼んでね」


 ん?

 鳳来が番長?

 確かに強そうだが、なぜおねーちゃんなんだよ!?

 俺はあなたの弟ではないのですよ?おねーちゃん!

 ちょっと先行きが怪しくなってきましたよ。


 最後にツインテールの小柄な女子が自己紹介をした。


 「えーっと、んーっと2年会計の刈谷凛かりやりんっていいまふ。工藤くんよろしくでふ」


 んーなにこのかわいい生き物は!

 これはロリっ子なのですか?

 そうなのですか?

 今すぐにでもこの生き物にエサをあげたい!


 「以上私を含めた4名が生徒会執行部だ!」


 俺は予想を斜め上行く生徒会の人たちに一抹の不安を抱きながら活動していくことになりました。

 そしていよいよ俺の初仕事が始まる。

 

 





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