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泣き虫工藤君はこれから青春を謳歌する!??  作者: グッドリッチ忠勝
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 涙とはなんだろう?

 嬉しくて流す涙、悲しくて流す涙。

 そもそも人はなぜ泣くのか?

 泣いていることをアピールしたいから?周りに構ってほしいから?

 きっと涙とは美しくて、尊ぶべきものなのだろう。


 だが、俺にとって、涙とは···ただの汚水だ。


 俺の名は工藤 さとる

 少し変わった体質の高校1年生。

 この体質が原因で俺は高校初日からみんなに気持ち悪がられることになる。


 その体質とは少しの感情の変化で泣いてしまうことだ。

 例えば、普通の人では決して泣くような場面じゃない時でも俺は泣いてしまう。

 この体質のお陰でこれまでの人生ろくなことがなかった。


 幼少期の時は単に泣き虫なだけだと、親やみんなに思われていた。

 だが小学生になると状況は一変した。


 例えば学芸会の時、俺は緊張のあまり開始早々、すでに涙を流していた。

 劇は確か『オズの魔法使い』泣くことがすでに分かっていたので、顔を隠せるブリキ役をやったのだ。

 しかし泣いているわ、顔が隠れているわで全くなにを言っているかわからなかったらしい。


 その劇が原因で付けられたあだ名は『フンガッー』。

 フガッフガッ言っていたのでそう名付けられたらしい。


 中学時代にはより、事態は深刻になった。

 今まで笑ってくれていた人たちも徐々に気持ち悪いと俺から離れていった···。

 女子からの反応はより残酷だった。

 あれは、1年の文化祭での合宿コンクールでの出来事。


 コスモスという曲を歌った時だっただろうか、サビの部分で大号泣。

 理由は特になかったのです。

 なぜかわからないがサビになるとすぐに泣いてしまう。


 サビになると聞こえる『ウッウッ』とうずく声。

 これに男子は大爆笑、女子には失笑をかっていた。


 「悟くんさ? 本当にやる気あんの?」


 クラスの小うるさいリーダー的な女子に責められる俺。

 しかしその怒られている時でさえ泣いてしまっている。

 

 「あの···そんなにビビられて泣かれたら私が悪いみたいじゃん?」


 「すいまじぇん〜!」


 俺は決して責られて泣いたわけでもなければ、この女子が怖くてないたわけでもない。

 理由はまったくないのだ。


 そんな体質をどうにかしようと頑張ったこともある。

 感動する映画を見て泣くことに堪えたり、角に小指をぶつけてみて泣くのを堪えたりといろいろなことをしてみた。


 だが、すべて泣くだけでなんの効果もなく終わってしまった。


 中学を卒業して高校に入学する時には、中学のようにはならないようにしようと気を張っていた。

 だがそれが良くなかったのだろう。


 入学式ですでに号泣していた俺をみた周りの反応は鮮明に覚えている。

 なぜこいつは卒業式でもないのに、泣いているのか?

 みんなの注目はハゲた校長ではなく、俺に集まっていた。


 確かに入学式で泣いているやつなど、いろんなことを乗り越えてやっと入学できた人とかそんな人たちだろう。


 だが俺は特に高校に入学できて嬉しいとかそんな感情はない。

 そんなこんなで入学式を終えた俺はクラスでの自己紹介で壊滅的ダメージを受けてしまう。


 入学式では泣いてしまったが、この自己紹介では···!

 またもここで気を張ってしまい、緊張も相まってか号泣。


 「く···くどょうしゃとるでぅえす!ウッウッ」 


 クラスメイトの失笑、先生も笑っていただろうか。

 この時俺は悟った。高校3年間さようなら!

 俺の青春さようなら。


 『涙と共に散りさった青春』こう言うとなんだかかっこいい。


 それからもう1ヶ月。

 俺にも友達は少ないけどできた。

 しかし相変わらず女子との会話はない。


 だが5月20日俺の運命を変える出来事が起こった。



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