兄に声帯模写される妹・安々(あんあん) その1 1940字
あらすじ
大学受験敗北後、失意から自宅にこもり始めた兄。
彼の心の拠り所は、美貌の中学生の妹・安々でした。
ですが妹は、自信を失い変わってしまった兄をまるで相手にしません。
欲求不満が募る兄は、苦悩の果てに、ある秘策を編み出しました。
本編開始です↓
「おにいちゃん! だいすき!」
「あん! だめだよ! おにいちゃん! そんなとこ……さわっちゃ!」
「おかあさん! かえってきちゃうからぁ……!」
「あんあん! おにいちゃん! だいすき! いっちゃう! わたしのなか……おにいちゃんでいっぱいにされて…………いっちゃうよぉぉぉぉぉ!」
──完璧だ──。
俺は自分の声に酔い痴れていた。
今のあられもない台詞群は、俺の声帯模写だ。
模写のコピー元は俺の妹、安々。
こいつは性格のきつい女で、思春期に突入して以降、兄の俺には絶対に懐かない。おそろしく冷たい女だ。
しかしその反面、見た目はおそろしく良い。
流れる黒髪。巨乳。しっとりした生足。何より顔が超絶に可愛い。……本当にうちの家系か? 病院で取り違えたんじゃないのか?
そんな二面性を抱く妹を持ったものだから、俺のフラストレーション、つまりイライラとムラムラは同時に高まりもう爆発の臨界点に達していた。
しかし血の繋がった実の兄妹。妹に俺から手を出す事はルール違反だ。人としての尊厳に関わるし、何より妹の悲しむ顔は絶対に見たくない。
散々悩み抜いた俺は、長き苦しみの果てに、ある妥協点に到達した。
……そうだ。妹の声を真似して、録音し、エロい音声作品を作ろう。その録音を聴きながら、散々シコり倒してやろう……と。
俺の決断は早い。
その日から俺の、地獄の声帯トレーニングが始まった──。中略。
ついに──ついに俺は、妹の完璧な声帯模写を実現したぞおおおおおおおおおお!!!!
俺は日頃から妹に言って欲しかった台詞をノートにびっしり書き留めると、ネットで中古で買ったマイクの前でおそるおそる発音してみたのだ。
「お、お……おにい……ちゃん…………」
はわわ……。
──すごい。ヤバイ──。本当に……本当に安々が喋ってるみてえだ!!
も、もう一度……!
「お、おにいちゃん……。あんあんね、おにいちゃんのことが……だいすき」
──完璧だ……。まさに、パーフェクトゥッ!
イェスッ! やった! 勝った!!
この勝負、俺の勝ちだッ!! ざまあみろ安々!
調子が出てきた俺は、ノートに書き込んだ台詞──おはよう、おやすみ、いっしょにねよう、いっしょにおふろはいろう、あんあん……なんか……あつくなってきちゃった……、おにいちゃんも……おようふく……ぬごっ? ──等々、ありとあらゆるボイスをマイクに吹き込んだ。
──そして──。
……完成だ……。ついに、完成した……。
俺の、俺だけの、安々の妹ボイス集…………。
はじめてのおつかいから、ありとあらゆる過酷状況に対応した俺だけの、世界でたった一枚の妹ゴールドディスクが、ここに誕生したのだ!
さて……。
では早速、これでシコるとしますか。フヒヒヒヒヒヒ…………。
俺が学習机の椅子に腰かけてズボンを下ろした、その時。
「隣で聞いてりゃ…………きめえんだよオメエはよおおおおおおおおおお!!!」
突然!
安々が俺の部屋に乱入してきて、録音データの入ったPCを素手で粉々に破壊した。
グッバイ、俺のゴールドディスク!
「ああああああああああ! 何してくれてんだよ安々ンンンンンンン!!!」
俺は俺の血と汗と努力の結晶を目の前で無にされ、思わず叫んだ。
そう…………妹そっくりの声で!
「だからそのアタシの声真似やめろってんだよ!!!!!」
「直らないんだよー!! どんなに直そうとしても、元の俺の声に戻らないんだよーーっ!」
人類の進歩に、犠牲は付きものだ。
俺は妹の声を手に入れた代わりに、かけがえのない、大切なモノを失っていた。──俺の、オリジナルの声である──。
「なら病院行けっ! 声帯取ってもらえっ!!」
安々は俺を学習机から引き倒し、床に仰向けに転がった俺の腹を足で踏みつけてきた!
中学3年生になってけしからんスタイルに更に磨きがかかったのか、ひと踏みひと踏みが重く、めり込んで来る!
おまけにこのローアングルから安々の綺麗な生足と、ミニスカートの奥の暗がりに桃色のパンツがよく見える!
「……俺は……俺はただ…………お前に、『おにいちゃんだいすき!』って……言ってほしかっただけなんだ…………」
「アタシが言うわけねーだろっ! そんなキモイ事!」
美貌の妹は俺を踏み躙りながら心底嫌そうな顔をした。……だよね。トホホ……。
「それにっ……! ……そーやって、ウジウジして抜け穴探す態度が気に入らねえっ! ……アタシに好かれたかったら、もっと正面からぶつかって来いよ。……アタシの兄ならさ…………もっと頼れるアニキになってくれよ……」
「ごめん…………情けない兄で…………」
妹は俺の腹から生足を下ろすと、静かに部屋を出て行った。
俺は心底惨めな気分になりながら、とりあえず、さっき見えた妹のパンチラで抜く事にした。
安々、ごめんな。
俺が頼れるアニキになれる日は、まだまだ遠そうだ。