episode12
「とうっちゃーく! 」
あれから程なくして【クリウム鉱石】のある洞窟の前にたどり着いた。
その洞窟は決してわかりやすいような入口を持つものではない。
洞窟の入り口の前に大きな岩が積んであり、それが人ほどの大きさの洞窟の入り口を隠していた。
そっとその岩から顔をのぞかせて洞窟内を覗くと、洞窟内を照らすように点々と松明が設置されていた。
だが緊迫感といったものはほとんどなかった。
洞窟内の壁際の床にはいくつもの木箱が置かれており、あけられた箱からは干し肉のようなアイテムが顔をのぞかせていた。
それ以外にも木材の束が積まれていたり、木製の古い家具が置かれていたりと、なんだか生活感あふれる風景がそこにあった。
「あれ?なんか増えてない? 」
ラクと同じように岩から顔をのぞかせたクリュが、同じように洞窟内を見ながらそうつぶやいた。
どうやら以前からこういったものは置かれているようで、以前よりもものが増えているみたいだった。
ハリュはラクたちの横から顔を……ではなく、その岩の横を通って洞窟の入り口前に立った。
「驚きましたか?ここって私たちが物置として使ってるんですよ」
「物置として? 」
「はい。ですからあの鉱石のことも忘れてました」
ハリュは苦笑しながらそういうと、その洞窟の入り口に一番近い木箱の中から一つのオレンジ色の干し果物を一つ取り出して口に放り込んだ。
それからもう一度箱の中から同じ果実を2つ取り出して一つをラクに、一つをクリュに手渡した。
「ありがとー! 」
「ありがとう」
ラクはそういうと、受け取った干し果実を口に放り込んだ。
見た目と食感は干し柿のようだけど、味は干し柿というよりも柑橘系のような甘酸っぱい味がした。
これはいけるかも……
もともと柑橘系があまり好みではないラクだが、この柑橘系の味がする干し果実はおいしく、すこし好きになった。
「これって何て名前の果実なの? 」
「これですか?これは【コルカの実】……だったと思います」
「へぇ……どこで取れるの? 」
「さっきの家の付近で取れますよ」
「え?こんな実なってなかったよね? 」
「家の裏手にたくさんありますよ」
「へえ……帰りに少し取っていってもいい? 」
「せっかくならこれ少し持っていきますか? 」
「いいの? 」
「はい。いっぱいありますので」
そういうと、ハリュは【干しコルカの実】が入った木箱の隣の箱を抱え上げると、それをラクのもとに運んでいった。
「どうぞ」
「あ、ありがと……って重! 」
その箱を受け取ると、ラクの腕の関節を予想だにしない重さが襲った。
その重さによってバランスを崩しそうになったラクはどうにか踏ん張ると、箱ごとインベントリにしまった。
それから三人はゆっくりと洞窟内に入っていった。
ちなみに【ハンターフェンリル】は洞窟前で見張り兼お留守番……。
〇――〇
様々なものが側面に置かれている洞窟内を松明沿いに進んでいくと、しばらくして開けた空間にたどり着いた。
その空間は楕円に近い空間になっており、その空間から何本もの分岐通路が伸びていた。
三人はその空間の中心まで歩いて行くと、それらの分岐通路を前にしてラクに話しかけた。
「あの……実は一つ言ってなかったことがあるんです」
ハリュはすこしこわばった表情でそういうと、クリュに目線で合図をしてから続きを言った。
「実はここ。迷宮なんです」
「……迷宮? 」
正直耳を疑った。
ここが迷宮?ということはダンジョンということ……?
「もしかしてここから先強い敵がたくさんいるってこと? 」
「うーん…いると言えばいるしいないと言えばいないかな」
そう答えたのはクリュだった。
そのクリュはラクの後ろでなぜか準備運動をしながらそういうと、ハリュの横まで歩いて行ってラクと向かい合った。
「えっと……いまから詳しいことを説明しますね」
そういうハリュと、隣でそれを聞いているクリュはなぜかわくわくしており、ラクがその理由を知るのはわずか数分後のことだった……
さてこの洞窟の正体とはなんなのか
白黒姉妹の感情の高まりは何なのか
お楽しみに!
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