episode9
ラクと白い肌の少女は褐色肌の少女の元まで歩いて行くと、ラクは2人を切株に座らせ、自身はしゃがんだ【ハンターフェンリル】の背中に腰かけた。
「それで……お姉さんはここに何しに来たの? 」
最初に切り出したのは、足をパタパタと前後に動かしている褐色肌の少女だった。
褐色肌の少女は怪訝そうな顔でラクを見つめてそういった。
「ここにはいろんなものを取りに来たの」
ラクは素直に少女の質問に答えた。
「例えば? 」
「えっと……【ランスクリスタル】とか……【クリウム鉱石】とかだよ」
「では私達を訪ねたのはどうしてですか? 」
今度は白い肌の少女が口を開いた。
「最初は誰かいるのか気になったからかな。でもその子を見つけてからは鉱石がどこにあるか聞きたかったからだよ」
「そうなんですか。なら私達で良ければちょっとはご案内できるかもしれません」
「え、本当? 」
「でも本当に少しだけですよ?私たちもここのことはよくわからないので」
白い肌の少女は苦笑いをしてそういうと、立ち上がって家のほうに歩いて行った。
「お姉ちゃんどうしたの~? 」
「ちょっと準備してくるー!クリュはそこで待ってて―」
「はーい」
「――ところでお姉ちゃんの名前は何? 」
ふと思いついたように褐色肌の少女は再び足をパタパタと前後に揺らしながら訪ねてきた。
「私はラクよ。いまは知り合いに頼まれたものを取りにこの森に来ているの。あなたは? 」
「ボク?ボクはクリュだよ。それでさっき行っちゃったのがお姉ちゃんのハリュ。いまはこの場所に住んでるんだ」
「この場所? 」
「うん。まえは人と動物がいっぱいいるところにある村に住んでたんだけどね」
「お父さんとお母さんは? 」
「ここにはいないよ。村を離れるときにはぐれちゃったから」
そういうクリュはどこか寂しそうな、作ったような笑顔で空を見上げた。
その言葉と仕草に、ラクは胸がしめつけられるような感覚に襲われ、立ち上がってクリュの前でしゃがみこんだ。
「ごめんね。辛いこと言わせて」
「気にしないで。結構今の生活も楽しいから」
「無理しちゃだめだよ? 」
「ボクは大丈夫。でも……お姉ちゃんが心配だよ」
「ハリュちゃんだっけ? 」
「うん。お姉ちゃんすごい無理してるような気がするんだ。――でもボクができることは少ないし……」
クリュは膝の上に置いた両手をきゅっと握り、悔しそうにうつむいた。
クリュを見ているといつかのアキレア、陽優のことを思い出す……。
いつだったか、私が高熱で倒れたときに陽優が似たようなことを言っていたような。
あの時はお母さんが陽優に教えていろいろできるようになったんだっけ。
ラクは懐かしい感覚に浸りながらもクリュの手をそっと包んだ。
それからできる限り優しい声でささやいた。
「大丈夫。クリュちゃんはクリュちゃんができることをしてあげればいいんだよ」
「でもボクお姉ちゃんより弱いし。料理も下手だし……」
「じゃあ練習する?私もあんまり強くないけど練習にはなると思うよ? 」
「え?いいの? 」
「いいよ。でもいまは無理かな。ハリュちゃんも戻ってきたし」
ラクはクリュの肩越しに、視線の先にある家から戻ってきたハリュを見てそういった。
「お待たせしました。では行きましょうか」
「わかった。ラクさん、行こ!」
「ラクサン? 」
「うん。このお姉さんの名前だよ」
「へぇ~。ラクさんですか。私は……」
「ハリュちゃんでしょ?クリュちゃんに聞いたよ。すごいお姉ちゃんだって」
「そ、そんなことはないですよ。私だってクリュに助けられてばっかです」
ハリュは顔を赤く染めながらそういうと、背負っていた2つのバックの内1つをクリュに渡した。
「いつものお菓子入ってるからね」
「やった!お姉ちゃんありがと!」
「どういたしまして。じゃあラクさん。ほしいもの教えてください」
「わかった。ちょっと待ってね」
ラクはウィンドウを開き、インベントリからアステシアからもらったアイテムリストを取り出し、その中から適当に1つのアイテムを選んだ。
「じゃあこの【クリウム鉱石】ってのにしようかな」
「【クリウム鉱石】ですか……確か洞窟の中にあったような……」
「ねぇお姉ちゃん。これってあの透明でキラキラしたあの石のこと? 」
「うん。たしか洞窟の中だったよね? 」
「うん」
「なら早速行きましょうか」
そういうとハリュは目的地に向かって歩き出そうとしたが、突然クリュがハリュの前を離れてラクの前に立った。
「ねぇねぇラクさん! 」
「なに? 」
「競争しようよ!!」
どこかクリュは楽しそうな表情をしていた。
ちなみに【ハンターフェンリル】は、その光景を眺めながらもラクの指示が来るのを座りながらじっと待っていた。
白黒姉妹の名前が公開されましたね。
「クリュ」と「ハリュ」
文体では少々わかりずらいですが、この名前が気に入ってしまったのでご了承ください.
それではまた次回!!
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