episode4
「それで、ラクはどんな場所に建てたいんだ? 」
ラクはそういわれると、カウンター上に広げられた地図をざっと見まわし、それからアスティアに向き直った。
「えっと……まずどこに作れるか教えてくれませんか? 」
「ん?なんだセロ教えてないのか? 」
「まぁな。やっぱアスティアから説明したほうがいいだろ? 」
「そういうもん……か。わかった、じゃあ詳しい説明をするよ」
「まずはどこに建てれるかだけど……正直いうとどこにでも建てれるんだ。それこそ【草原エリア】でも【第二の街】の先の海の上でもな」
「へぇ。――でもそれってMOBとか大丈夫なんですか? 」
「――それは家が攻撃されないかってこと? 」
「はい」
「当然攻撃されるね。だから基本的にはMOBの少ない場所か、街の近くに建てることが多いんだよ。実際俺の店も【第二の街】の周辺にあるし」
「じゃあ作るならどのあたりがいいでしょうか?私、地図だけ見てもどこがどこだかわからないんですが……」
アスティアはそれを聞くや否や、唸りながらいくつかの場所にポーチから取り出した針を数か所、まばらにさしていった。
「まぁ……ざっとこんなものかな」
それは【第一の街】の外周付近だったり、【西:森林エリア】の入り口付近だったり……。
【第二の街】の海岸沿いだったり、北側の【森林エリア】のど真ん中だったり、いたるところに針を突き刺していった。
その中でも針は【第一の街】【第二の街】の周辺に多く刺さっており、次に各森林エリアに数か所刺されているといった感じだった。
「この中、あるいはこの周辺から選ぶのが無難かな。場所的にも行きやすいし。そこまで強いものも出てこないし。でもラクが建てたい場所を選んでくれればいいから。場所次第では何とかなるし」
「本当にいいんですか? 」
「ああ、本当に好きな場所を選んでほしい。――けどせめて俺の行ける場所にしてくれよ?行けなかったら作れないし」
「ま、最悪護衛しながら行けばいいんじゃないか?それならアスティアもどこだって行けるしラクも戦闘できるだろ? 」
「セロナイスアイディア!というわけでラクはどこでも選んでいいぞ! 」
そういうとラクは地図全体、特にこれまで一度でも行ったことのありそうな場所を中心に探し始めた。
まず最初に交通面だけを見るなら街の近くが一番いい。
街の近くならすぐにアイテムを置きに行くことができるし、気軽に休憩できる場所としては有力候補だ。
逆に静かで落ち着けるような家を作りたいなら森の中などの街かエア離れた場所のほうが適していそうだ。
だがMOBに襲われる危険もある。
最悪の場合家が壊されてしまう可能性もある。
「あの、聞いていいですか? 」
「なんだい? 」
「もし、もしかしたらの場合ですが、MOBが来るような場所に家を建てたらどうやってそれを守るんですか? 」
「どうやっててそりゃあれだよ」
「あれ?」
「守らせればいいんだよ。よく言うだろ?目には目を、歯には歯をって」
「え?じゃあMOBに守らせるってことですか? 」
「そういうこと。もしMOBの来るような場所に建てるならMOBを使役するところからはじめないといけない可能性があるよ」
「あ、それなら大丈夫です」
ラクにとってはそれは全く問題ない事だった。
なぜなら「あのこ」がいるから……。
ラクはそういうと、今度は別にセロシアに向かって質問をした。
「セロシアさん。あの場所ってどこだかわかりますか? 」
「あの場所ってどこのこと? 」
「ほら、最初【西:森林エリア】に行ったときに連れて行ってくれた場所ですよ。滝のある」
「滝?ああ、あの場所か。それならこのあたりのはずだぞ」
そういいながらセロシアはおもむろにアスティアから針を奪い取って地図に突き刺した。
「え?こんな場所だったんですか? 」
「意外だろ?でもここなんだ。――もしかしてここにするのか? 」
「はい。私がプレイスタイル決めたきっかけの場所なので」
「いいんじゃないか?完成したら頻繁に遊びに行くよ」
「頻繁に家にいるかどうかはわからないですけどね」
「決まりだな。それで建物自体の要望はあるか?きっと【倉庫】と【居住】は決定事項だろう?それ以外に何かあるか? 」
「なら広いテラスをお願いします。あと設備の整ってるキッチンって用意できますか? 」
「できるぞ。ただその場合北側にいろいろ取りに行ってもらわないといけないが……大丈夫か? 」
「……たぶんMOBからのドロップアイテムでなければ大丈夫だと思います」
「なら安心していいよ。必要なのは鉱石類だから。それにドロップアイテムは西と東のものをつかうから倒せると思うよ。――あとは何かあるか? 」
「あと……。うーん……あ、なら明るい家でお願いします」
「了解。――よし大体イメージできた。最後の一枠はこっちで決めてもいいんだな?」
「はい。よさそうなもの一つお願いします」
「オッケー。じゃあこれ、現段階での必要なアイテムだから取ってきてくれる? 」
そういってアスティアはラクにいつ書いたのか、数枚の紙を渡した。
そこには今まで聞いたことのないいくつものアイテム名と、どの入手場所が事細かく書かれていた。
鉱石や採取アイテムが中心で、ドロップアイテムのなかには【猛進牛の骨】や【角】が含まれていた。
中でも一番両ア多いのは木材で、その数は優に100本を越えていた。
次に多いのは例の鉱石系。一種類の必要数はそこまでないものの、種類が3つほどあり、足せばぎりぎり100を越えないといった感じだった。
「集まったらセロシアに渡してくれればいいよ。そこから経由して持ってきてもらうから」
「おい、なんでそういうことになるんだ?」
「いいじゃないかー。ちゃんと報酬も出すから。ね?いいでしょ? 」
「――まったく。で、報酬ってのは何だ? 」
「それは……」
アスティアはセロシアの耳元でラクに聞こえないように話すと、セロシアは目を丸くし、次の瞬間にはラクの肩を強くつかんで嬉しそうだった。
「ラク!集まったらいつも通り持ってきてくれ!待ってるぜ! 」
「は……はぁ……」
「セロ……もうすこし感情を隠せ……下心まるだし過ぎてみてるこっちがかなしくなってくる……」
「おい!いくらなんでもそれはないんじゃないか!? 」
「だったら直せよ……せめて顔に出すな」
「で、できれば苦労しないわ! 」
「はいはい。じゃあ頼んだよ。何かあったらセロにうちの店の場所聞いて尋ねてきてくれ」
「わかりました」
「じゃぁセロ、ラク。今日は落ちるな」
「お疲れー。仕事頑張れよー」
「お疲れ様です。あとよろしくお願いします」
アスティアはそれを聞くと、「最高なものを作るから期待してな!」といってアバターが消滅、意識を現実へと戻したのだった。




