episode2
「それで……システムってどんなものなんですか?」
ラクは楽しそうな表情で地図を見ているセロシアに向かって訪ねた。
倉庫、アイテム保管をするためのシステム以外にあるいいシステムとは一体何なのか。
基本的な家の機能であるリラックスできる空間のことであるならそう驚かない。
だがセロシアの表情から察するのそうではないのは間違いないだろう。
「あの……セロシアさん?聞こえてます?」
「ん?きいてるよ。システムについては今から説明するよ」
そういうとセロシアは広げた地図をいったんしまい、代わりに人差し指サイズのカギを取り出した。
そのカギはシンプルなデザインのものに軽く細い金属線が装飾が施されたもので、何も知らなけれ本棚のカギと間違えてもおかしくはなさそうだった。
それをカウンターの上に置くと、つんっとカギをつついていくつかのウィンドウを表示させた。
「この鍵はこの店の物なんだが、【店舗】【居住】【保管】の三つがあるだろ。これがこの店の機能なんだよ。【店舗】は文字通り、店としての機能が追加されるんだ。【居住】はここでいう奥のリビングのこと、つまり生活区間だね。【保管】はラクの求めているアイテムの保存を可能とする機能だよ。ここまではいい?」
「はぁ……大丈夫です」
「わかった。――で、ここからが重要なんだが、このシステムはこの4つ以外にもいろんなシステムがあるんだよ」
セロシアは鍵から表示されているウィンドウの一つを操作し、なにかの一覧を表示してラクの前に移動させた。
そのウィンドウを上下にスライドさせて書かれていることをざっと見たラクは、まさかっと言わんばかりにひきつった表情でセロシアを見た。
「これってもしかして……」
「そうだよ。全部家に付けることのできるシステムだよ」
ラクはもう一度ウィンドウを見た。
そこに書かれているものだけでもざっと50は超える選択肢。
現実世界でできることは可能な限り再現可能なようだった。
「まぁそれだけ見てもわからないだろうな」
半笑いでそう言ったセロシアはウィンドウを自分の前までもってくると、いくつかの選択肢を選び、個別にウィンドウに表示させた。
それらには【ギルド】【保管】【居住】が一つずつウィンドウに表示されていた。
「ますは【ギルド】。これは家を【ギルドホール】に設定するってものなんだ。カデンやギンヨウさんたちもこの機能をホールに入れてるんだよ。まぁギルド自体の説明は……いらないか」
「そうですね。今のところは作る予定はないので」
「だろうな。【保管】と【居住】は必要ないな。あ、言い忘れたが設定機能はできるのは3つまでだから気をつけろよ?」
「えっと……質問いい?」
「なんだ?」
「これって三つまでしかつけれないんですか?」
「そうだよ。まぁつけようと思えば追加できないこともないんだが……なにせ相当手間がかかるからな。やる人は少ないんだよ」
「なるほど……でもいいかも……」
実際ラクはこの話を聞いた時からかなり興味があった。
いままでこっちで休憩するときは街かセーフティゾーンという誰かしらプレイヤーがいるという状況で休まなければならなかったので、本当の意味で休憩でいる場所はほとんどなかった。
それにインベントリの問題も解決できる。
これ以上今のラクが求めていたものはない。
しかしそれ相応の問題もあった。
ラクはしばらく悩み、決断した。
「家の作り方。教えてくれませんか?」
「そういってくれると思ったよ。でも少し待ってくれ。さっき適任者を数人呼んだから。詳しいことはそいつらに聞くといいよ」
「じゃあその間どうすれば……」
「そこで一つ私の要望を聞いてくれないか?」
セロシアはカウンターから身を乗り出してそういうと、ラクの肩をがしっとつかんで真剣な眼差しでラクを見つめた。
「えっと……なんでしょうか?」
「一周年イベントの報酬でチケットもらったよな?」
「チケット?――ああ、新エリアへの先行招待券のことですか?」
「そうそれ!」
「あれがどうかしたんですか?」
セロシアは目を閉じ、肩から手を離して身をひっこめると、顔の前で手を合わせて少し頭を下げた。
「私も連れて行ってほしいの!お願い!」
「いいですよ」
ラクはあっさりと回答をし、ウィンドウを立ち上げてメモページに書かれているいくつかの名前の中にセロシアの名前を追加した。
それからウィンドウをとじ、ラクは改めてセロシアの顔を見たが、その表情に首を傾げた。
「どうしたんですか?」
「――いや。やけにあっさり許可してくれたなぁっと思って」
「ああ、そのことですか。もともとこっちでのフレンドで『旋風団』の入っていない人は限られているんで、ある程度頼まれるだろうなぁって予想していたんですよ」
「はっ。お見通しだったか」
セロシアは連れて行ってくれることに安心したのか、急に体から力が抜けたように椅子に座り込むと、頬杖をついて大きなため息をついた。
それから「無駄に緊張して損したぁ~」っとつぶやいてラクを見た。
「どうしたんですか?」
なにやら考え事をしながら見つめてくるセロシアの目線に気が付き、ラクはいぶかしげな顔をして質問した。
「いや、ラクって相当頭いいんだなぁって思って。」
「ん?ふどうしてそう思うんですか?」
「だってどんどん実力をつけていってるし、私よりもゲームの進行速度速いからね。――はぁ~いつか抜かされるんじゃないかなぁ私」
セロシアが何度もため息つきながらつぶやき、それをラクが苦笑しながら眺めていると、突然背後にあった店の扉があき、数人のプレイヤーが入ってくる足音が聞こえ始めた。
まずは以前言ったように、明日の投稿でいったん投稿をお休みしたいと思います。
具体的には土日を投稿休憩日にし、月曜日から投稿を再開したいと思います。
修正作業を可能な範囲で致しますのでご理解のほどよろしくお願いいたします
それではまた次回。
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