episode23
「ではまずはは最終的な保有者から発表しよう。モニターを見てくれ!」
Pじゃそういうと勢いよく振り返り、ステージ奥に設置されている大型モニターの横に立って指をパチンと鳴らした。
するといままで『祝!一周年!』と書かれておる画像が表示されていたが、それに代わって『結果発表』と書かれて画像が表示された。
「さて今回は制限時間内にターゲットのこの二人から箱を奪うというのがクエスト目標だったが、現在の所有者は次の二名だ!!」
もう一度パチンっと指を鳴らすと、『結果発表』とかかれた画像の下余白に二人のプレイヤーの名前が表示された。
それを見た観客のプレイヤーたちの中からは歓声や悲しみの声が上がっていた。
そのモニターにはこう書かれていた。
『1の箱 所有者:無所属 ラク』
『2の箱 所有者:旋風団 ヒナツ』
「まじかよ。あの子守り抜いたのか!?」
「それになんでヒナツってプレイヤーが箱持っているんだ?草原にはいなかったろ?」
「確かに…じゃあなんで持ってるんだ?」
ステージ下からはそんな声が聞こえる。
表情は疑問と感心、興味といった感じだ。
「ではこの二名のプレイヤーはステージ中央に集まってくれ!」
「さてと、箱はいるんだよね」
ラクはそうつぶやくと、おもむろに【ハンターフェンリル】の首元の毛並みに手を突っ込み、中からあの箱を取り出した。
それからラクはステージ中央に歩いて行くと、ちょうどほぼ同じタイミングでヒナツがステージ上に上がってきた。
「お姉ちゃん……まさか二個持ってたなんて……」
「ハハハ…まぁ作戦でしたので。圧倒的不利な状況でどうやって勝つかを考えたとき、この作戦をアキレアと考えたんですよ」
「そうなんだいろいろ聞きたいことがあるから。終わったら話がしたい」
「わ、わかりました……」
なんだか目がキラキラしているような気がしたが、ラクは視線をPへと向け、コクリとうなずいた。
「さて!では報酬の進呈を始めよう!まずは『旋風団』所属、ヒナツさん」
その合図でPはステージ上に立っているヒナツの前まで歩いてくると、ヒナツから箱を受け取って専用コードを箱に送り込んだ。
するとパキンっという軽い音を立て、箱が砕け散った。
そして箱が光の粒子ななって消滅、代わりにヒナツの正面によく見るウィンドウが表示された。
そこにはヒナツ達が普段高難易度ダンジョンに挑む際に使っているアイテムセット一式だった。
そしてもう一つ、【新エリア先行招待チケット】が入っていた。
それらを確認し、ウィンドウを閉じたヒナツは一歩後ろに下がった。
そしてPはラクの前に移動し、箱を渡すように手を出した。
だがラクは躊躇するようなそぶりを見せたが、そっとPの手のひらに箱を置いた。
「どうした?何か不満でもあったのか?」
どうやらPはラクが納得していないような表情に気が付いたようだ。
「えっと、私これもらっても困るんだけど……」
「困る?なぜだい?」
「ほら、私こんないいものつかうほどの実力ないし、チケットもギルド入ってないから意味がないと思うし……やっぱこれはいらないかなぁ」
「でもそうわけにはいかないんだ。――ならこうしよう。アイテムは全プレイヤーに改めて同じものを配布しよう。ただし【チケット】はラク、君だけに進呈しよう。招待者は好きなプレイヤーを10人まで同行させていいとしよう。これでいいか?」
「まぁ……それならいいかな」
「決まりだ。というわけで諸君!ラクの意向で報酬のアイテムセットは全プレイヤーに配布することにした!」
歓声が鼓膜を破りそうな勢いの中、ラクはこっそりとステージ脇から退場。【ハンターフェンリル】をアイテム化し、ログアウトボタンを押した。
視界が白くなっていく中、ラクは今も盛り上がっている広場を眺め、そこに交じってはしゃいでいるアキレアを見てこの世界から意識を移動させた。
【土曜日】
宿梨はキッチンに立ち、これから始まるPTの準備をしていた。
両親は招待者の送迎のため外出、今家にいるのは宿梨と陽優、の二人だった。
陽優はステージのセッティング、宿梨はPTで出す料理を作っている最中だった。
「ところで聞いてなかったけど、あのあとってどうなったの?」
「あのあと?」
「そう。あの報酬渡した後、私がこっそりログアウトした後のこと」
「あーあのあと?みんな時間忘れて盛り上がってたよ。ま、私はそのせいで寝不足だったんだけどね」
「平日に遅くまで起きてるのは次の日つらかったでしょ?」
「ほんとだよ!なんで私も誘ってくれなかったの?」
「ん?楽しそうだったからに決まってるじゃん」
「う……反論できない……」
宿梨は真剣にどう言い返そうかを悩んでいる陽優を見て楽しみながら迪夫パキと、次々と料理を完成させていった。
それを陽優がテーブルに運び、また考える。
それを何回か繰り返した後、リビングの扉越しに玄関の扉があき、にぎやかな声が家の中に入ってくるのが聞こえた。
「あ、帰ってきた!」
「そうみたいね。ちょうど料理も完成したし、挨拶に行こうか」
電気コンロの電源を落とし、キッチンの電気を消した宿梨は普通に歩けるまでには回復した足でゆっくりと玄関に向かって歩いていった。
それから数時間、高木家は【クレマチス・オンライン】の記念PTという名の飲み会で盛り上がったそうだ。
さて無事に間章2が終了いたしました。
この賞は実験的なことが多くあったものでしたので1、2、3章に比べてあっさりした内容だったと思います。
ですが4章からはしっかりとしたストーリーが展開されていきます。
これからもよろしくお願いします。
そして重要なお知らせです。
今回、この作品を応募に出すことを決断し、4章と並行して書くことは時間的都合により難しいので、4章は金曜までは通常投稿、以降から25日までは投稿をお休みさせていただきます。
修正のためですのでご理解のほどよろしくお願いいたします。
また予定より早く投稿できるようになる場合はTwitterで告知をいたします。
それではまた次回!
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