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クレマチス・オンライン~親製世界の旅路録~  作者: グリティア
リリース開始一周年!祭りの始まり!
84/209

episode20

「どういうこと?」

「言葉通りです。今回の決着は私のHP切れ。でもヒナツさんにやられるわけではありませんよ」

「よく……わからない。でも時間がないから終わりにしよ」


ヒナツは改めて薙刀を構えると、【身体強化:アタック】を発動してラクへ突進していった。

そして剣先を思いっきりラクの首元へと突き出した。

だがラクは【身体強化:スピード】を発動し、どうにか首をかすめた程度で済ませた。

そしてそのまま後方、【バスターヒリカム】の突き刺さっている方向へと、ヒナツに背中を向けて走り出した。


「なにをするのかわからないけど…させない!」


ヒナツは突き出した【クロカラス】を手元に引き戻し、右手一本で逆手に持ち、勢いよくやり投げのフォームで投擲とうてきした。

ゴウ!っという風を切る音と風を起こし、【クロカラス】はまっすぐとラクへと飛んでいった。


「っく!!まだ……まだ!」


ラクは自分の腹部を貫通し、刀身が地面に、持ち手の端のほうが楽の体に入っている【クロカラス】を体から引き抜き、自分のHPを確認した。


HP 33/217


もうほとんどこの状況ではないに等しかった。

先ほどの投擲で受けたダメージは124。

さらにその前の【森林エリア】内での戦闘では【身体強化:ディフェンス】を発動して戦ったが、それでも受けたダメージは60。

だがどうしてラクが生きているかと聞かれると、それはヒナツが【攻撃スキル】を使っていないからだろう。


「どうして……スキルを使わないんですか……?」


今はヒナツは武器を持っていない。

ラクは【クロカラス】を背にヒナツに向き合い思い切って聞いてみた。


「どうしてって。つまらないから」

「つまらない?」

「うん。【攻撃スキル】を使えばお姉ちゃんを簡単にやっつけれる。だけど私は望んでない。やりたいのは武器だけの決闘。スキルも使わない、正々堂々真剣勝負。だから使わない」

「……そう…ですか」


正直いうと前半部分は予想できていた。

回答も考えて言われても言い返せるように用意していた。

だが後半は全くの想定外。

ヒナツは箱云々より、ラクとの正々堂々の勝負を望んでいた。

そのために一人で追いかけてきたのだろう。

どうしてラクにそこまで執着するのかはわからない。

何か特別な理由があるのか、はたまたアバターが気に入ったのからなのか。


ラクはじりじりと後ろに下がりながら機会をうかがっていた。

あの剣の元まで行くチャンスを。


すると突然【バスターヒリカム】のさらに向こうから轟音が響き渡った。

ぱらぱらとラクたちのもとに半透明の水色の塊が降り注ぐ。

手で顔に当たらないようにガードしつつその方向を見ると、草原にある丘の向こうからニュっと巨大な物体が現れた。

だがそれはこちらに迫ってくることはなく、なにやらむこぅを向いて何かを出していた。


「あれって……?」

「カデン……まだやってたの」

「ああ、カデン達が。まだやってたんだ」


だがラクがそういった瞬間、何もしていないのにウィンドウが表示された。


「いきなり?これって……っ!!!」


ラクは驚愕の表情でそのウィンドウを見ると、視界左下の時刻を確認した。

残り時間7分。


「時間的に……ギリギリかぁ。できればやりたくなかったんだけどなぁ……」


ラクはぽつりとつぶやき、ヒナツに警戒することなく【バスターヒリカム】の元へと歩いて行った。


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