episode20
「どういうこと?」
「言葉通りです。今回の決着は私のHP切れ。でもヒナツさんにやられるわけではありませんよ」
「よく……わからない。でも時間がないから終わりにしよ」
ヒナツは改めて薙刀を構えると、【身体強化:アタック】を発動してラクへ突進していった。
そして剣先を思いっきりラクの首元へと突き出した。
だがラクは【身体強化:スピード】を発動し、どうにか首をかすめた程度で済ませた。
そしてそのまま後方、【バスターヒリカム】の突き刺さっている方向へと、ヒナツに背中を向けて走り出した。
「なにをするのかわからないけど…させない!」
ヒナツは突き出した【クロカラス】を手元に引き戻し、右手一本で逆手に持ち、勢いよくやり投げのフォームで投擲した。
ゴウ!っという風を切る音と風を起こし、【クロカラス】はまっすぐとラクへと飛んでいった。
「っく!!まだ……まだ!」
ラクは自分の腹部を貫通し、刀身が地面に、持ち手の端のほうが楽の体に入っている【クロカラス】を体から引き抜き、自分のHPを確認した。
HP 33/217
もうほとんどこの状況ではないに等しかった。
先ほどの投擲で受けたダメージは124。
さらにその前の【森林エリア】内での戦闘では【身体強化:ディフェンス】を発動して戦ったが、それでも受けたダメージは60。
だがどうしてラクが生きているかと聞かれると、それはヒナツが【攻撃スキル】を使っていないからだろう。
「どうして……スキルを使わないんですか……?」
今はヒナツは武器を持っていない。
ラクは【クロカラス】を背にヒナツに向き合い思い切って聞いてみた。
「どうしてって。つまらないから」
「つまらない?」
「うん。【攻撃スキル】を使えばお姉ちゃんを簡単にやっつけれる。だけど私は望んでない。やりたいのは武器だけの決闘。スキルも使わない、正々堂々真剣勝負。だから使わない」
「……そう…ですか」
正直いうと前半部分は予想できていた。
回答も考えて言われても言い返せるように用意していた。
だが後半は全くの想定外。
ヒナツは箱云々より、ラクとの正々堂々の勝負を望んでいた。
そのために一人で追いかけてきたのだろう。
どうしてラクにそこまで執着するのかはわからない。
何か特別な理由があるのか、はたまたアバターが気に入ったのからなのか。
ラクはじりじりと後ろに下がりながら機会をうかがっていた。
あの剣の元まで行くチャンスを。
すると突然【バスターヒリカム】のさらに向こうから轟音が響き渡った。
ぱらぱらとラクたちのもとに半透明の水色の塊が降り注ぐ。
手で顔に当たらないようにガードしつつその方向を見ると、草原にある丘の向こうからニュっと巨大な物体が現れた。
だがそれはこちらに迫ってくることはなく、なにやらむこぅを向いて何かを出していた。
「あれって……?」
「カデン……まだやってたの」
「ああ、カデン達が。まだやってたんだ」
だがラクがそういった瞬間、何もしていないのにウィンドウが表示された。
「いきなり?これって……っ!!!」
ラクは驚愕の表情でそのウィンドウを見ると、視界左下の時刻を確認した。
残り時間7分。
「時間的に……ギリギリかぁ。できればやりたくなかったんだけどなぁ……」
ラクはぽつりとつぶやき、ヒナツに警戒することなく【バスターヒリカム】の元へと歩いて行った。
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