episode17
「今の音って……」
なにやら隣の部屋でものすごい音が聞こえた。
それに【ハンターフェンリル】も気が付いたようで、首を盛り上げて音のした方の壁をじっと見つめていた。
唸り声をあげながら立ち上がると、フェンリルはラクの装備の襟を加えて投げ、背中に乗せた。
「きゃ、どうしたの?」
しかしフェンリルは何も答えることなく走り出し、ドアを突き破って廊下を走っていった。
ガアアァァン
またも轟音を立て、影を破壊して隣室に移動したヒナツは、そこに漂う匂いに警戒し、薙刀を前に突き出した。
「このにおい……なにかいる?」
ヒナツは警戒しつつ、室内を捜索し始めた。
窓の近くは最近何度もあけられたようで、埃はどこかに飛んで行っており、ベットのシーツはくしゃくしゃだ。
「お姉ちゃん……ここにいたんだ。――!!」
そこでようやく破壊されているドアに気が付いた。
両開きのドアの下部分にぽっかりとおおきな穴が開いており、おそらくそこから何かを使って脱出したのだろう。
そのなにかは恐らくMOB。
でなければここまで強引な方法はとらない。
ヒナツは【身体強化:スピード】に変更し、かすかに漂う獣臭をたどりながらろうかを走っていった。
階段を駆け下り、曲がり角では壁を走り、蜜が崩落している場所は飛び越えて追いかけていった。
そしてエントランスの二階部分までやってきた時、なにかがエントランスの中央を走り、外に出ていく影を見かけた。
ヒナツはそこから一階に飛び降り、さらにその陰を追いかけていった。
【西 森林エリア】
ラクは【ハンターフェンリル】にしがみつくように揺れる背中に乗り、【フェンリル】にされるがまま森林エリアを突き進んでいた。
木々にぶつかりそうになるとギリギリのところで避け、皮があると思いっきり飛んで反対岸に着地し、突き進んでいった。
「ちょっと……フェ…一度止まって……」
だがラクの声は体をかすめる木の枝や風の音でかき消され、【フェンリル】に届くことはなかった。
そしてラクたちは、今はいないが【古石板の岩巨人】のいる開けた場所まで来ていた。
【フェンリル】はなにかを聞き取ったのか、急に立ち止まり、ラクは【突進牛】の時と同じように前方に投げ飛ばされ、お尻から地面に着地した。
「いったぁ……でもいきなりどうした……」
ザク!
突然ラクの目の前に、見覚えのある薙刀が深々と突き刺さり、土がラクに降りかかった。
その薙刀は【黒刃クロカラス】
ラクはその名前はわからないが、その容姿を見ただけですぐに分かった。
「でもどうしてこれがここに……って、そうだよね。少し考えればわかるよね」
そういうとラクはゆっくりと立ち上がり、フェンリルを背中側に移動させて短剣を引き抜いた。
薙刀の持ち手の棒が傾ている方向、その方角を見ながら、ラクは【身体強化:ディフェンス】を発動。
フェンリルにしか聞こえないように音量に注意して話しかけた。
「あなたは走って逃げて。あとあれ、お願いね。また街の入り口で会いましょう」
ラクはフェンリルのおなかをポンポンとたたき、それを合図に【フェンリル】は走って逃げていった。
ラクは一度深く深呼吸をし、剣を逆手に持ち替え、構えた




