episode15
【制限時間残り30分】
激しい戦闘をしている【草原エリア】とは打って変わって、【ベイリーツ古城】に潜伏しているラクは、いまだに【ハンターフェンリル】と一緒にベットに座っていた。
インベントリの中身を整理したり、ステータスを確認したりして時間をつぶした。
あれ以降一人もここに到達しておらず、それどころか城のふもとでさえまだ一人も来ていなかった。
一通り整理等を済ませてしまい、やることがなくなったラクはベットから降り、窓を開けて外を眺め始めた。
そこから見える景色は街の跡とどこまでも広がる森。
そして眼下には【ハアラシ】との戦闘によって破壊され、孤立した城のがれきが山のように積まれていた。
あけられた窓から中に、心地よい風が室内に吹き込み、それがラクの髪や装備、【ハンターフェンリル】の毛並みをゆらゆらとなびかせていた。
そんななか、ラクは眼下の道でなにやら複数人のプレイヤーが話し合っているのを発見した。
それらはいかにも実力のありそうな装備を着こんだプレイヤーが多く、まさにこれから強敵と戦いに行くっといった感じだった。
しかし、その集団は城から離れるどころか、いくつかのグループに分かれて城の中に入ってきたのだ。
「あれってもしかしてイベント参加者?」
ラクは目を凝らしてその光景を見ると、足早にフェンリルの元まで歩いて行った。
そしてフェンリルの体を揺さぶって起こすと、扉の前でフェンリルの横に立ち、耳元でささやいた。
「もしこの扉が開いたら、思いっきり走って街に向かって。どんな道でもいいから」
ラクはフェンリルの頭をなでながらそういうと、ラクは念のためもう一度窓際まで行き、外の様子を確認した。
だがすでに外には誰もいなかった。恐らく全員が城内に入り、下から順番に捜索しているのだろう。
ならここに来るのも時間の問題だ。
それにこの城の中にどれほどのプレイヤーがいるのかわからない。
警戒するに越したことはないし、いざ接触したた時のことも念入りに考えなければならない。
ラクはフェンリルそばまで来ると、これから、フェンリルで街まで行った後のことの細かいことを考え始めた。
【ベイリーツ古城】城内
城内に入り、ラクの捜索を開始したヒナツは、1階の部屋から順番に調べ、今は2階の物置にいた。
朽ちた木箱の中から本棚に裏まで、隠れそうな場所はしらみつぶしに探していた。
途中、掘り出し物のアクセサリーやアイテムを発見し、ちゃっかりインベントリに納めてはいたが、それでもほかのプレイヤーに負けない速度で部屋部屋を捜索していった。
そんななか、ヒナツはふと手を動かすのをやめ、廊下の壁に背中を預けて考え始めた。
「お姉ちゃん。ここにいるのはわかるけど……どこに……」
そもそもここにいると予想したのはほかでもない、ヒナツ本人だ。
このイベントの参加者の大半は【蛇龍ハアラシ】との戦闘を経験していないので、この場所のことは知らない。
隠れる場所としては打ってつけの場所といえるのだ。
そう予想し、最初に街を、そして今城内を捜索しているのだが、ここまで見つからないとなるともしかしたらここにはいないかもしれない。
そうなると時間的に見つけるのは難しくなってくる。
ならここは……
ヒナツはどうするかを決めると、近くにいる重装備の男性プレイヤーに話しかけた。
「ちょっといい?」
「ん?ああ、ヒナツさん。なんですか?」
「これ以上探しても時間的に難しい。それに【ハアラシ】が確認できないからいないと判断できる。だから…」
「だからあなたたちはカデン達の音に戻って。今から急いでいけば少しだけど加勢できるから。確実に一つは取れるようにして」
「わ、分かりました。おい!聞こえたな!急いで戻るぞ!」
「あ?戻る?もう一つはどうするんだ?」
「それは私が何人か連れてこの城を捜索する。だから大丈夫」
「……わかった。頼んだぞ!」
「うん」
ヒナツに箱のことを託したプレイヤーたちは、近くにいるほかのプレイヤーに声をかけながら城を出るために来た道を戻っていった。
それを見送ったヒナツは、ウィンドウからユリにチャットをつなぐと、これからのことをざっくりと入力して送った。
それに対する返事を待つことなくヒナツはウィンドウを閉じると、【身体強化:スピード】を発動し、一番近くの窓から外に出て、城の壁を駆け上がっていった。
まずはお知らせです。
再度プロローグからep3までを修正、追加しました。
今回は主なものとしてステータスについての表記を追加しました。
これからもゆっくりと修正をしていく予定です。
もうひとつ。
この間章2を2つに分割します
詳細はおって報告いたします
作業は明日、明後日のどちらかで行う予定です
それではまた次回!
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