episode6
優しい風が髪を、装備をたなびかせた。
ラクはそっと目を開け、自分が設定した場所にいるのかどうかを確認した。
そこにはもう見慣れた木々。MOB。そしてこの景色。
【西 森林エリア セーフティゾーン】
ここがラクの設定した場所だった。
そして本当の目的地はこの森の中。
しかしアキレアが周りにいない。
ここにいるのはラクだけ。
そう、アキレアはここでではない別の場所に転移したのだ。。
ラクは手の中にあの箱があることを確認すると、左手にはいつの間にか見慣れない別の箱を握っていることに気が付いた。
「なにこれ?」
その箱は真っ白だった。
サイズは右手の守る箱と同じ大きさ。
重さはすごく軽く、まるで割れない水風船を持っているようだった。
しかしそれには、右手の箱とは大きく異なる点があった。
それはボタンだ。
赤単色の低い円柱のボタン。
いうなれば4、5枚積み重ねた10円硬貨ほどのボタンだった。
「これを…押すの?」
ラクは右手の箱をわきに挟み、空いた右手で躊躇なくボタンを押した。
すると急に箱が宙に浮かび、ある程度離れた場所で青い光を放ち始めた。
そして形を構成していく。
ふさふさとした獣の尻尾。鋭い爪の生えている4本の脚。そしてすらっとしたからだと眼。
見る見るうちに光化MOBを形成していった。
光が収まると、そこには一匹の大きな狼がお座りの態勢でいた。
そう。これは【東 森林エリア】でダリアとともに戦い、勝利したMOB。
【ハンターフェンリル】だった。
目の前に現れた【ハンターフェンリル】は急にとびかかってきてラクを押し倒した、
そしてラクの頬をぺろぺろとなめ、体に自身の体をこするつけてきた。
「ちょっと、くすぐったいよ」
ラクはそういってフェンリルの顔を抑えて起き上がると、落とした箱を拾い上げてフェンリルのおなかをなでた。
「よしよし。これからよろしくね」
「ワン!」
ラクの言葉に答えるように吼えたフェンリルはその場にしゃがみ込んだ。
そして首をひねってラクのほうを向くと、鼻先でラクの腕をつんつんとつつき始めた。
「もしかして乗れってこと?」
「ワン!」
「ありがとね。あ、その前に」
ラクはウィンドウを表示し、インベントリからあのアイテムを取り出した。
それは灰色の毛がふさふさとしているもの。
少し前に使えるようにしてもらったものだ。
それはこのフェンリルと同じ、【ハンターフェンリル】の尻尾だ。
いままでは特に何の使い道もない癒し系?アイテムだったが今は違う。
【ハアラシ】との戦闘をする数日前にこっそりセロシアに頼んで装備にしてもらった。
結果から言うと速度上昇系のパラメーター補強が施され、常時発動スキルとして【獣変化】と【移動強化】が付いた。
だがまだそのスキルがどんなものなのかが確認していないので、今回のゲームが初使用となる、。
ラクはその尻尾を装備画面の装備可能部位である腰にセットした。
その際、腰につけていたショートカット機能付きのミニバックが外れインベントリの中に入ってしまった。
そして代わりにあの尻尾が腰に装備された。
その尻尾の大きさは60センチと少し長いが、なんと自由自在に動かすことができた。
それからなにか、頭部に違和感を感じた。
なんだかいつも以上によく聞こえるような、風の音がうるさいほうな。そんな気がした。
インベントリから以前買った手鏡で自分の顔を確認した。
するとなんと、ラクの頭に尻尾と同色の二等辺三角形のような耳が付いていた
「……へぇ。結構面白い装備ね。ということはこれが【獣変化】の正体ね」
そういうと今度こそフェンリルの背中に乗り、ポンポンっと背中を数回軽くたたいた。
するとフェンリルはラクが落ちないように慎重に立ち上がり森のほうをを見た。
「じゃあ行こっか」
そういうと一人と一匹は西の森林エリアの奥に向かって歩いて行った。
選んだのは【森林エリア】の入り口!そしてハンターフェンリルでした!
ではアキレアは一体どこへ、何を選んだのか。
そして二人は無事に逃げ切ることができるのか!?
それではまた次回!
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